緊急事態宣言の対象地域が7都道府県から全国に広げられました。わざわざ県外までパチンコや風俗に行っている人たちがいたり、コロナ疎開で、結局都市部だけの自粛では地方への進展もを止められないのです。
さて、前々から何度も言っていますが日本は世界各国と比べて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数が圧倒的に少ないです。
その理由は・・・わかりません!(笑)
ただ、色々と言われておりますので、そういった話を見ていきましょう。
- Japan Paradox
- アジアがうまくやっている
- 台湾の迅速な対応
- 日本で死者が少ない理由
- 靴を脱ぐ文化説
- 白血球の違い?
- HIVと似ている部分
- 再感染するってホント?
- 過去のコロナ関連記事イッキ読み
Japan Paradox
ダイヤモンド・プリンセス号(しつこいですが船籍は英国で管轄権も英国)の折、国連海洋法条約の下で日本が進んでできることは医療支援・物資支援以外ほとんどありませんでした。
外国籍の船に対して、国内での感染拡大を防ぐために日本ができることは国内法の検疫法による14日間の「停留措置」だけだったのです。
この対応についてアメリカをはじめたくさんの国が日本の対応を批判しました。このときはワイドショーの中途半端な司会者、コメンテーターもとりあえず政府批判だけしていました。(ワイドショーに恨みでもあるのか僕はw)
▼ダイヤモンド・プリンセス号を俯瞰しよう▼
この時以降、世界の見る目は日本は ”感染症対策のお粗末な国"なわけです。しかし時間が経てば、なんと対岸の火事だった欧米で一気に感染が広がり、たくさんの方が亡くなったわけです。お粗末なはずの日本での死者数が少ないことを Japan Paradox と呼んだわけです。
アジアがうまくやっている
お隣の韓国が兵役代わりの「公衆保険医」を使って検査を迅速に行い、隔離し、アプリで感染者の位置情報を公開し、うまく感染を抑え込んだ話は前回しました。日本人は「自由」と「プライバシー・人権」への主張が強い上、軍がないのでこの韓国式をそのまま導入するのは無理です。
▼日本では韓国式検査ができないワケ▼
さて今回は台湾のお話を。「台湾で新規感染者が0」というニュースがありましたね。トータルで感染者数は400人未満、死者は5人でした。人口100万人あたりの死者数は0.217人です。参考までに他国のデータは↓↓
台湾の迅速な対応
台湾は何より対策が早かったのです!外出自粛は特に設けていませんが、3月19日には外国人の入国禁止をします。また海外からの帰国者は14日間の隔離を徹底しました。この間の補償金が支払われることと、違反時の罰金も明文化されています。
なぜこれだけ迅速にできたのか。それはSARSの「教訓」です。台湾も2003年にSARSで347人の感染者を出しました。ご存じの通り、台湾は「国」として認められていない為WHOにも加盟していません。
WHOからSARSの情報を取り入れる術も乏しかったのです。独自の外交路で情報を集め国難を乗り切った、その時の教訓が今に生きているのですね。
韓国はMERS、台湾はSARSでそれぞれ痛い目にあったことを教訓にしているから迅速な対応ができました。日本はSARS、MERSとも幸い被害がなかったので、今回初期対応が遅くなりました。
ところで、これだけうまくやってるのに『韓国に学べ』というマスコミは決して『台湾に学べ』はないですね。“色々と”不思議なもんで……笑
日本で死者が少ない理由
では、インバウンド需要があるため春節(2月)のときも大量の中国からの観光客を招き入れるなど初期対応でミスっている日本がなぜ Japan Paradox と呼ばれる死者が想像以上に少なく来ているのでしょうか?
▼日本人に軽症が多い理由▼
以前の記事(上リンク)でも扱った考えられる理由は・・・
この辺の解説は今回は省略しますので、知りたい方は上部リンクから読んでください。
また日本で流行したのはA型(S型とも)で、コウモリから見つかったオリジナルのものでしたが、現在欧州で暴れているのは変異したC型です。これがタチが悪いタイプなのかもしれません。これについても過去記事(上部リンク)をお読みください。
今回は他にも面白い研究結果が出てきているのでそれを紹介していきます。
靴を脱ぐ文化説
日本では家に入るときに必ず靴を脱ぎますね。欧米では、土足文化ですね。これが感染の拡大に関係しているのではないかという説があります。
この説は中国とアメリカ両方から出てきています。院内感染を調べたところ、医療情報を扱うタブレットの接触感染で医療者で広がったというのは日本でもニュースにありました。
他病棟に広がる理由として、医療者の靴底を調べたらそこにコロナウイルスがかなり付着しており、それが他病棟で広がったというものです。
日本では家に入るときに靴を脱ぐことと手洗いをすることで家の中に持ち込まないから感染拡大も比較的小さいのではないかと言うことらしいです。
白血球の違い?
これはまったく今言われていませんが。(笑)
今回のコロナウイルスの正式名称覚えていますか?はい、SARS-CoV-2です。COVID-19はそのウイルスによる呼吸器疾患のことを言います。
そう、SARSのときのコロナウイルスと遺伝情報が酷似しているので、このように名づけられました。では、SARSから学ぶこともあるのではないかと・・・私の勝手な妄想。
▼SARSとMERSについて▼
SARS(2003年)のとき日本での感染例は0でした。中国人と日本人は遺伝子的には似てそうですが何が違うのかと当時話題になっていました。「ワサビを食べるからだ」という謎な説もありました。
あとでわかったことがHLAの違いなのです。
HLAとは白血球の血液型だと思ってください。調べてみると、HLA-B46という抗原を持つ人たちはSARSにかかりやすく、持っていない人はかからないということがわかりました。
このHLA-B46は中国の南方系の民族(広東やモンゴル)、ベトナムでは多く見られ、日本人ではあまり見られないそうです。
もしかしたら、今回のコロナからもこのようなことが後でわかるかも・・・
HIVと似ている部分
今回のコロナウイルスがなんとAIDSの原因のHIVウイルスに似た特徴を持っているとされます。これはCelluar&Molecular Immunologyという雑誌に投稿されたものです。
HIVウイルスは体内でT細胞という免疫の司令塔にくっつき、その中に自らの遺伝情報を送り込んで複製させます。そして時間をかけて(10年ほど?)ジワジワと免疫を崩壊させていくのです。恐ろしい。
一方、今回の新コロちゃんは、T細胞にくっつくまでは同じですが、HIVウイルスのようにT細胞内で複製をさせません。ただし、ひっついたT細胞を破壊するので、HIVウイルスほどのパワーはありませんが、免疫細胞を破壊します。
ちなみに、SARS コロナウイルスはこのような特徴を持っていません。
再感染するってホント?
中国からの報告で、
「回復者の30%で抗体のレベルが極めて低い」
とありました。また、武漢でも3-10%で再陽性、韓国でも同様のニュースがあります。通常、抗体が作られるともう感染しません。
可能性としてはこの3つでしょうか。①としてはウイルスが想像以上に強力で、一回ウイルス量が激減したのに再度増殖できたか。②はさっきの項目でやった、T細胞を攻撃して免疫を崩壊させているからなのか・・・
③は大いにあると思いますが、RT-PCR検査の精度です。人によりますが、3割くらいの偽陰性*1があるとされます。この検査は鼻の奥を擦ってとるわけですが、その部分のウイルス量が少なく十分採れないと陰性になります。
RT-PCR検査を見境いなくやりまくることに意味がない理由もこれです。
最近、抗体検査キットが話題ですね、アメリカのAbbott 社が量産するとか言っています。中国・韓国も作っています。これは血液から15分ほどで、体内に新コロちゃんへの抗体があるか(=既に感染しているか)を調べられます。ただし、精度はPCRよりさらに落ちます。
RT-PCR検査は時間がかかる上に、「そのとき感染している」ことを証明するものです。そこが違います。
いかがでしょうか。いろいろと言われているものについてわかりやすくまとめてみました。これで少し「ハナタカ」に話ができるかもしれません。
過去のコロナ関連記事イッキ読み
休日 外出自粛している間に過去記事で学んでみませんか?
*1:陽性なのに陰性と出る