マルチリンガル医師のよもやま話

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コウモリとコロナウイルス ~なぜコウモリは平気なのか~

ダイヤモンド・プリンセス号での対応批判ニュースの毎日。その傍らで、オランダ籍のクルーズ船 ウエステルダム号(the Westerdam)の乗客はカンボジアが2/13に受け入れてくれました。簡単な検査を行い、即日数百人が下船しました。その後 早くも2/19に全員下船しました。今後感染拡大の懸念が上がっています。

しつこいですが対策はまず手洗いです!!マスクは予防効果は限定的とされています。

 

さて、今回はこの新型コロナウイルスの発生源と言われるコウモリさんに焦点を当てて勉強していきましょう。

 

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コウモリ

日本の古語では「加波保利(カハホリ)」と表記され、のちに加宇毛利→コウモリとなりました。羽はあり飛べるけど、鳥類ではなく哺乳類に属しています。ムササビとかも飛ぶ哺乳類ですが、鳥類に匹敵する飛行ができるのはコウモリだけだそうです。

種類によっては超音波を発して水面の変化を察知して水中の魚を捕まえる優秀なコウモリモいるそうです。

 

コウモリは吸血鬼?

コウモリは果物や昆虫を食べます。南米にのみ生息するチスイコウモリはその名の通り動物の血を吸いますが、ごく少数ということになります。

西洋での悪いイメージと異なり、中国では昔から蝙蝠(コウモリ)は「蝠」の字が「福」に通ずるため縁起のいいものと考えられてきました。その影響は日本にもあり、シンボルに使われることもあります。

例えば、広島県福山市の市章は蝙蝠(コウモリ)と山です。実は福山城がある山は蝙蝠山(こうもりやま)という名前なのですが、上述の通り「蝠」→「福」となり福山に名前が変わりました。

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広島県福山市の市章

 

コウモリと感染症

はい、本題です。(前置き長いな・・・笑)

コウモリは人獣共通感染症(zoonosis)の原因となる病原体を持っていることが分かっています。有名なところでは狂犬病、SARS、日本脳炎、エボラなどのウイルスを体内に持っていることが指摘されています。

ウイルスと細菌はコチラ

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そして、今回頻繁に聞くコロナウイルスもコウモリから移る感染症では有名です。SARSもMERSもコロナウイルスです。

SARSとMERSはコチラ

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コウモリから直接人に移ることはマレで、その前に野生動物を挟みます。どのように移るかですが、コウモリに噛まれるとその唾液から感染します。また最近ニュースでよく見るエアロゾル*1による感染です。つまり、コウモリの唾液、糞便からウイルスが霧状に空中に飛散してそれを吸い込むということです。

 

なぜコウモリは大丈夫なのか?

ここで疑問が現れますね。コウモリが持っている(=感染している)ウイルスが他の動物を経由して人間に移るのであれば、なぜコウモリは大丈夫なのでしょうか?

キーワードは自然宿主です。菌類や寄生虫などはある動物の体内に入り込んで生き永らえます。それは自分たちが生きて行くのに適した環境ということです。こういう動物を自然宿主と言います。つまりコウモリはコロナウイルスの自然宿主なのです。

コウモリはコロナウイルスに感染していますが、コウモリの中で爆発的に増えてコウモリを殺してしまってはウイルス自身も死ぬので意味がありません。なので、コウモリは影響を受けません。

で、コウモリの特徴は免疫が弱いことです。なので、コウモリの体内でウイルスは殺されずにずーっといるわけですね。

 

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人間が感染すると広がるのは?

人間はコウモリに比べてはるかに免疫系はしっかりしています。一度免疫をつければそいつに負けないように戦えます。実際、SARSやMERSは終息しましたよね?それは人間がSARSウイルスやMERSウイルスに免疫を持ったからと言えるでしょう。

つまり、新しいウイルスが出てくると最初は人間はかなりヤられてしまうのです。時間とともに、気候は変化するし、人間も免疫を獲得するでしょうし、薬も開発されるので徐々に終息に向かうのではないでしょうか。

 

最後に

いかがでしたか?免疫は高度なはずのヒトはダメージを食らっているのに免疫の弱いコウモリはなんともない理由ある程度おわかりになりましたか?

中国でコウモリが「福」につながるものとして重宝され、内陸部の武漢などでそういった野生動物を食べていることを今回の感染で初めて知りました。

野生動物はたくさんの種類の人獣共通感染症の病原を持っています。海外旅行でもなるべく摂取は避けてください。

*1:簡単に言えば霧状のもの