マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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はんこ注射の痕が残っている人が多い件

「はんこ注射のあとがあるから夏もノースリーブ着ません」

先日こんなことを話してくれた子がいました。

 

たしかに大人になっても痕が残っている人結構見かけますよね。

 

今日は懐かしいはんこ注射について学びましょう。

  

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BCGワクチン

「はんこ注射」はBCGワクチン、つまり結核に対する生ワクチン*1のことです。

結核は英語で tuberculosis (チュバキュロースィス)といいます。ローマ字読みしてみると・・・・

ツベルクロシス・・・

どっかで聞いたことありませんか?そう、ツベルクリンに似てますよね?

 

ツベルクリン反応

昔、小学校の時とかにツベルクリン反応(ツ反)と言って皮膚の浅いところにプクッと注射されて後日に大きさ測ったの覚えてます?あれです。

大きさが 3cm以上に腫れればツ反陽性となり、結核に感染していると判断されます。その場合治療を行ないます。

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逆に陰性だった場合は、BCGワクチンを打ちました。これがいわゆるハンコ注射です。

 

ツベルクリン反応検査省略

ところが2005年に結核予防法が改正されツ反検査が廃止となったのです。その代りに生後6か月までにBCGワクチンのみ行なうようになったのです。

父がアメリカで医師をしていたことがあり、聞きましたがアメリカではBCGワクチンしていないそうです。つまり、みんなツベルクリン反応は陰性が普通です。結核に感染してはじめてツベルクリン反応が陽性になるのです。

 しかし、日本では長年「ツ反陽性」を必要条件としていたためみんなツ反陽性ですよね?となると、結核感染で陽性となっているのか、BCGで陽性なのか判断がつかないんです。

実際、今の臨床ではT-SPOTという検査を使うので、ツベルクリン反応の結果で迷っても問題はありません。

 

乳児に打つ理由

BCGワクチンは唯一の結核予防に使えるワクチンです。乳児が結核に感染すると重症化しやすいため、予防するために行なう。

 

結核以外にも使われる

ハンセン病の原因菌はらい菌と言いますが、これは抗酸菌といって結核菌の親戚のようなものです。このハンセン病の予防にも有効とされています。

また、国家試験前に勉強した泌尿器科の知識ですが、膀胱癌の治療にもBCGが使われます。これは一部の膀胱癌や術後の再発予防に使うそうです。

メカニズムをザックリ言うとBCGワクチンと膀胱癌が反応して炎症が起こり免疫が強く働いて癌細胞を食べ殺す(貪食)からです。

 

BCGの痕はどうなる?

BCG接種後は1か月以上かけて免疫を作るので6週間くらいで接種部位は一番腫れます。生ワクチンは不活化されてはいるが生きているので効果は半永久的と言われています。痕は小さくなって行きますが、半永久的にその部位で免疫反応が起きているので痕はずっと残るものだと考えてもらえばいいかと思います。あとは体質にもよります。

ちなみに僕はほとんど痕がわかりません。

*1:弱毒化したワクチンのこと