マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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宇宙人が存在すると言える理由

子供の時に、宇宙人はいるのかどうかとか討論する番組などを楽しんでみていました。

大きな黒目は斜めに吊り上がっているあの見た目・・・

しかし、最新の研究では、宇宙人の見た目は我々の想像と大きく違うかもしれないようです*1

有機化合物

高校の化学の復習ですが、有機化合物と言うのは、炭素を含む化合物の総称です。

地球上の生物はみな、アミノ酸や糖質、脂質、核酸などの有機化合物でできています。

生物は有機化合物でできている

これは常識なので、宇宙人を想像するときも、どうしても我々に似た有機化合物でできた”エイリアン”を想像しがちです。

例えば、我々の骨を考えてみましょう。

白くて堅い骨に重要な成分はカルシウム(無機物)ってのはみな知っています。しかし、それ以外にもタンパク質の1種のコラーゲン、つまり有機化合物でできています。

ケイ素でできた骨の生物がいるかもしれない

 

一方で、カルシウムでなくケイ素でできた骨を持つ生物がいるかもしれないという議論も長くなされています。

何故、ケイ素かと言うと、周期表を見れば、炭素と同じ14族の元素であり、性質が似ているからです。

自触媒反応

地球上の生物を語る上で重要とされる概念が、自触媒反応です。

聞きなれない言葉ですが、めちゃくちゃ簡単に言うと、自分たちだけで”複製”できる能力があるということで、要は生殖能力があるということです。

生殖は自触媒反応の1例

1つの生命からさらに複数の生命を作り出すことができます。

そして作り出す生命が増えるにつれ、その生物の多様性も増えていくのです。

生命の起源を研究する人たちがこの自触媒反応を重要視するのはそういった理由があるからです。

水銀も自触媒

紹介されている最新の研究では、過去200年ほど遡って報告されている科学論文で”自触媒反応”というキーワードを徹底的に調べつくしました。

270種類の自触媒反応を確認

すると、270もの自触媒反応を確認することができたのです。

そして、さらにおもしろいことがありました。

殆どの自触媒反応は有機化合物含まない

見つかった270の自触媒反応のほとんどは、有機化合物を含んでいなかったのです。

つまり、『生物=有機化合物』という私たちの固定概念が間違っていることを示唆しているのです。

また、中には地球上には存在しなかったり、非常にまれな元素による自触媒反応も見つかっています。

となると、地球外生命体がいてもおかしくないわけです。

多くの反応は極めて特殊な環境下でしか起こらない

しかし、見つかった多くの自触媒反応は、極めて高温だったり、逆に低温だったり、低圧だったりとかなり特殊な条件下でのみ起こりうることに留意する必要があります。

つまり、そのような完璧な条件が揃う星では、自触媒反応をして”生物”がいるかもしれません。

貴ガス

化学で希ガス(rare gases)と言うのを習ったのを覚えていますでしょうか?

ここ最近では”貴ガス(noble gases)”と名称が変更しています。

ヘリウムやネオンなど18族の元素のことです。

この18族の特徴は、非常に安定しており反応を起こしにくいと習いましたね。

安定の貴ガスでも自触媒反応を確認

その貴ガスからも4つの自触媒反応を確認したのです。

これがどういうことかと言うと、なかなか反応を起こさないと考えられている貴ガスさえも、自触媒反応を起こせるほどに、この自触媒反応は、我々が思っている以上にそこら中で起きているということです。

さいごに

いかがでしたか?

いままで、私たちは宇宙人と言えば・・・誰もが知っている頭でっかちのグレイを想像してきました。

しかし、そもそも我々人間が定義した『生物』というものが間違っている可能性があります。

炭素を含まない、他の元素でも”生殖”することができることがわかってきました。

さらに、そのような自触媒反応は我々の予想に反して、決して珍しいものではないのです。

つまり、宇宙人、地球外生命体は、我々の想像する見た目とは大きく違うでしょうが、おってもおかしくないのです。

気づかないうちにもう出会っているのかもしれません・・・

では、また(^^♪