マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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米:右車線 英:左車線 の理由

日本の車は右ハンドルで、車線は左です。

外車では左ハンドルが多く、車線は右側です。

なぜこのような違いがあるのでしょうか?CNNの記事*1を参考に学びましょう。

左車線は珍しい

CNNの記事では、米国人の記者が英国で運転したときの疑問からこの問題を調べたようです。

なぜ、同じ英語を話す国なのに、さらに米国は英国の植民地だったのに、走行車線は反対なのだろうか?

左側通行は3割の国だけ

アメリカで右側通行なのは、有名な自動車会社フォードがハンドルを左につけたからだと一般的に考えられていますが、それは違うようです。

さらに昔、開拓者らがアメリカに入植した時の話です。

Wagon Trainという、日本語では幌馬車と言うそうです。

Wagon Train

これに理由があるということがわかったのです。

後ろに大きな荷物とかも載せれる、複数の馬が引っ張る大きな乗り物です。

Wagon Train

このWagon Trainの”操縦士”は、2匹の馬の真ん中にある手綱を操作するわけですが、右利きの人が多いので、座席は馬の後部左側にある方が便利ですね。

馬の横を歩くことも

また、細かい方向の調整が必要な時などは、馬から降りて馬の横を歩くこともあります。

馬の横にいて、馬に「止まれ」とか「もっと右」とか指示をするのは言葉とロープでした。

このロープを扱うのに、右利きの人からすれば、馬の左側に立って歩いた方が都合がいいのも理由です。

で、この馬車が行違うときに、ぶつからないためには、右側通行が都合がよいのです。操縦者が対向の馬車との距離感をつかみやすいからです。

1804年 右側通行明文化 in N.Y.

そして、1804年に、ニューヨークでは全車両の右側通行が明文化されました。

こうしてアメリカでの右側通行は現在に至っています。

次に欧州を見ていきましょう。

ナポレオンの行進

18世紀末にフランス革命が起きました。

当時は恐怖政治として知られ、独裁者は反対者を投獄したり、ギロチンで処刑したりしました。

当時のフランスでは左側通行が当たり前でした。

左側通行の方が戦闘向き

理由は右利きの人が多い中で、前方からの攻撃に素早く対応するには、左側通行をしておく方が理にかなっているからです。

しかし、後の皇帝ナポレオンは軍隊で、敢えて右側通行にして対戦すると、相手も戦いにくいから?かどうかは知りませんが、次々と戦いに勝利しました。

以降、フランスでは軍だけでなくすべて右側通行に変更されました。

ナポレオン率いるフランス軍の影響

欧州を広く支配したフランスは、ナポレオンが各地を軍を率いて行進しました。

その影響を受けて、欧州各国はフランス式の右側通行となりました。

となると、車のハンドルは左側につけられることになりました。

英国は左側通行

ここまで見てきて、アメリカ、欧州の多くは右側通行となっていました。

英国は島国であり、欧州の影響を受けなかったのか、フランスに反抗の意味でなのか、左側通行を続けています。

馬車のサイズによる影響も

また、別の説によると、当時の英国では、アメリカの幌馬車のような大きな馬車はまれで、ほとんどが個人用の1頭の馬車や乗馬だったので、右側通行にする理由がなかったというのもあります。

さっき見たように、乗馬していて敵が前から来ると右手で戦うには左側通行の方がいいですね。

こうして、英国は珍しく左側通行を続けているのです。

日本の左側通行

記事にはありませんが、日本はどうでしょうか?

諸説ありますが、例えば、武士は刀を左側に差して歩いています。

右利きの人が多いですから、左に帯刀するのが理にかなっているからです。

武士道も左側通行がよい

狭い道を歩いている時に、武士同士が行き違うとどうでしょうか?

もし右側通行をしていると、お互いの刀がぶつかり、ヘタをすれば喧嘩で切り合いになるかもしれません。

ということで、左側通行に徹すれば、刀同士がぶつかることはないので、武士の世界での暗黙の了解で左側通行がありました。

歌川広重『東海道五十三次』

ちなみに、江戸時代の歌川広重の有名な東海道五十三次を見ると、「え、右側通行じゃん」と気づきます。一般人は自由にしてたんですかね。

で、左側通行が明文化されたのは明治時代に入ってからです。

人力車や馬車が街を動き回っていると、ぶつかりそうになることがあります。

そんなときにみんなが左側通行にすればぶつかりを避けることができるため、明文化されたと考えられます。

日本、右側通行化計画

戦後、GHQは日本もアメリカ同様に右側通行に変更するように検討されましたが、既に左側通行をしていた日本で、変更すると、例えばバスの乗車口をすべて反対側にしたものを新造したり、信号の置き換えなどを考慮するととんでもない期間と費用がかかることから断念されたようです*2

鉄道の運転席

日本の鉄道も、車同様に通常は左側通行を行います。

車の場合は、左側通行で右折時は右ハンドルでないと、歩行者が見にくかったり、対向車との距離感が難しいこともあります。だから右ハンドルが主流ですね。

しかし、鉄道の運転席は多く左側にあります。

日本の鉄道は左ハンドル

鉄道はレール上を走るので、車のように右折時の歩行者の確認の問題や、対向車との距離感を気にする必要はありません。

それよりも、左側にプラットホームのある駅にピッタリと停車位置を合わすことや左側にある信号を確認しやすい方が重要です。

ゆえに、日本の鉄道は左ハンドルで、左側通行が主流です。

 

では、また(^^♪