マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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『やっぱり紙の教科書にします』

今どきの小学生はタブレットを用いたデジタル教科書とやらをも使い勉学にいそしむのだそうな。

昔、よく教科書忘れていって、授業中気まずい思いを何回したことか・・・

令和元年

日本での動きは”令和”になってからでした。

令和元年、学校教育法の一部改正があり、”デジタル教科書”を制度化することになりました。

そして、主には紙教科書を使いつつ、デジタルの教科書も併用・代用するというスタイルができましたが、タブレットの費用面などもあり普及にはハードルがありました。

誰が負担するのか問題

というのも、紙の教科書は国費無償提供ですが、デジタル教科書はその対象外というから各地域の教育委員会も二の足を踏むわけです*1

しかし、日本としては何としても進めたい・・・

コロナ禍で、在宅勤務なのにハンコ押すために出勤するとか、FAX頻用ということで世界的に”IT後進国”の烙印を押され、国としても汚名を返上したいなうです。

日本はIT後進国

そして今年、2024年は小学校の教科書改訂のタイミングになりますので、この機に段階的に進めていくこととなり、まずは英語の教科書から始まります。

そして、負担についても国費による無償配布となりました。

英語はね、音声とかも聞けるデジタル教科書の方がいいですな、失礼ながら英語の先生、発音よろしくないしね(ひ・み・つ♪)

国産バイリンガルになる方法

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電子政府

電子政府という言葉をご存じでしょうか?

要は行政サービスなどがどのくらい電子化されており、使いやすいかなどを評価したものです。国連がランキングで発表*2しています。

電子政府ランキング2022 by 国連

すると、デンマーク、フィンランド、スウェーデンという北欧の国がトップを占めているのがわかります。そして、お隣の韓国もやはり国を挙げてのデジタル推進で3位です。

例えば、高福祉国家として有名なデンマークでは2001年から20年かけて段階的に強制的に電子政府化していきました。

高福祉ゆえに高齢化社会での社会保障費増大の懸念があり、行政のコスト削減が重要と考えられました。

日本も同様の問題を抱えていますね。マイナカードなどを半ば強制的に進めているのはデンマークの真似っちゃ真似ですね。

スウェーデンで異変?

さて、2022年のランキングでも上位についた同じく北欧のスウェーデンの状況を見ていきましょう。

スウェーデンの超デジタル化、見直し

どうやらスウェーデンでは、教育現場でも積極的にデジタル化を推進したところ基礎学力の低下につながったのでは?という問題に直面した*3ようです。

”国語”の読解力のスコアが下がっているというのが問題のようです。

読解力の低下が浮き彫りに

スウェーデン語を母語としない移民が増えつつあることを加味しても大きな下落だそうです。

そして、医大にある研究所はデジタルツール使用で学力低下につながら科学的根拠があると述べます。

デジタルツールで学力低下

これは、ちょっとよろしくない流れですね(; ・`д・´)

ユネスコも懸念

2023年8月、国連のユネスコ(教育科学文化機関)も行き過ぎたデジタル化に緊急で懸念*4を示しました。

ユネスコによる緊急声明

この声明の中では、学校施設内でインターネット接続などの整備は早急に行って、情報化社会に子供達が適応できるように推奨しています。

一方で、現場でのテクノロジーの使用は、決して教師の代用にはならないし、人々の交流に代わるものではない為、適度な使用を心掛けるべきだと警告しています。

紙の教科書へ

学力低下がわかったスウェーデンでは早急に予算が組まれ、紙の教科書の配布を行うことにしました。

紙の教科書復活だぜ~

本を読むのも紙の本で読むように書籍の購入と、教科書も紙媒体を復活させることにしたのです。大胆な政策変化ですな。

一応、いつものようにもう少し深掘りおくと・・・

スウェーデンでは、2022年10月に3党連立の政権が発足しました。で、思想的には中道右派(極右政党も含む)で、保守的なんですな。

なので、NATOへの加盟*5、防衛能力の強化をも政策に挙げています。

で、保守派の人は、テクノロジーや新しいものに対する批判をしがちというのは万国共通なわけで、今回のデジタル⇒紙教科書へというのもそういう背景があるのです。

記憶に残りにくい

日本でも同様にデジタル教科書には懸念が多いです。

デジタル教科書では様々な機能があるので、集中力が途切れるとか、スクリーンタイムが長いと発達障害に関連する*6などというのはよく言われるものです。

紙教科書にはない、読み上げや文字の拡大、思ったページへのジャンプなどの機能が便利なのは間違いありません。

デジタル教科書は記憶に残りにくい

一方で、デジタル教科書では紙媒体と比べて記憶に残りにくい*7という指摘もあります。

ならば、完全デジタル化ではなく、お互いのいいところの使い分けがよさそうです。

しかし、それはそれで問題で、紙教科書とタブレットを両立すると、ランドセルが重くな*8という問題も。

中途半端なデジタル化でランドセル重く

これは難しい。

結局、紙教科書1本の方が、学力もそうだし、中途半端なデジタル化よりランドセルも軽いのか。

まさに、"ネ申”教科書って・・・

 

では、また(^^♪