いち早くコロナ規制撤廃したデンマークの現状については前回扱いました。
そして、段階的に撤廃を選んだ英国は2月24日にコロナ規制を完全に撤廃しました。これにより疫学的調査もやめ、新型コロナ陽性者は5日間の自宅待機のみとし濃厚接触者への検査や隔離もなくなりました。
陽性患者の増加
規制撤廃後、現在の英国では、新型コロナ陽性患者が増加しています。ま、これは当然予想されていたことです。
上図は英国政府のデータ*1を利用していますが、規制撤廃後たしかに増加傾向にありますね。死者の急増は今のところは見られていません。
現地の記事*2を見ながら詳しく学んでいきましょう。
致死率は下がったが
ワクチン2回接種率が73%、追加接種率が57%*3と高い英国で、さらにオミクロン株は重症化率が低いことも相まって現在の致死率はインフルエンザ以下になっています。
一方で、呼吸器疾患による死亡者数に限定すると、例年のインフルエンザシーズンの50%増加、つまり1.5倍ということです。
いかにオミクロン株の感染力の強さが、結果的に死者を増やしているのかがわかります。致死率が低くても感染者が多ければ死者の総数は多くなります。
致死率の推移
英国での致死率の推移をグラフ化してくれているので見てみましょう。
2020年の頃は致死率は0.5~1%で、インフルエンザの10~20倍の致死率でした。ワクチン接種に伴い2021年の致死率はインフルエンザの3倍まで下がりました。
そして、オミクロン株が主流となってさらに致死率は低下し、現在はインフルエンザと同等かそれ以下(0.04%)に至っているのがわかりますね。
しかし、喜ぶのはまだ早いのです。インフルエンザと新型コロナでは『感染者』の数が違うからです。
過去にこれほどまでに濃厚接触者や無症状陽性を調べたことはないので、新型コロナではインフルエンザと比べて陽性者が多く見つかっています。つまり、分母が増えるので致死率が低く見えるのです。
規制緩和後の増加
規制撤廃後は、最初にグラフでも確認した通り陽性者数は増えてきました。
年齢別にみると、一番多いのが高齢者での陽性者であり、増加の上がり具合も85歳以上で一番顕著(赤矢印)ですね。
これについては、昨年9月から高齢者らに追加接種を開始した英国では、抗体価低下に差し掛かる高齢者たちが出ており、そこにさらに感染力の高いステルスオミクロン(BA.2)が影響していると説明されています。
オミクロン株の感染力の強さを考えると現段階で新型コロナウイルスを『インフル並』と言うのはまだ早いという研究者の声を紹介してあります。
インフルと同じアプローチ
一方で、別の科学者は、致死率が下がったことで規制撤廃した今、新型コロナもインフルエンザと同じアプローチをするのがよいと言います。
若い人にとっては重症化率は十分に低いわけで、こういった人たちの自由を制限すべきでなく、一方で高齢者や免疫不全者らにとっては一定の割合で重症化する為、これらの人を守らなければいけない。
これらをうまくバランスを取っていくべきであり、それはインフルエンザに対するアプローチと同じだということです。
つまりは、ハイリスク者らは毎年ワクチン接種を行い、ロックダウンなど社会全体への制限をしないというものです。
さいごに
いかがでしたか?
規制を完全撤廃した英国では、予想通り感染者の増加が見られています。これについては、9月から始まった3回目接種の抗体価低下と、ステルスオミクロン(BA.2)の影響があると考えられています。
一方で、早くに高齢者の3回目接種がある程度進んでいた英国では、規制撤廃後の感染者は増加しても死者は急増していません。
致死率は新型コロナでは低く計算されてしまうため、実際はインフルエンザと同等とは言えませんが、規制撤廃した以上は、多くの人の自由を制限することなく、インフルエンザと同じような付き合い方をするのが望ましいでしょう。
日本でもこれから4月にかけてBA.2株が割合を増していくと予想されているため、これからまた感染者が増えるでしょう。
先行して規制を撤廃した欧州各国の状況は引き続き追いかけていきましょう
では、また(^.^)ノ