語学習得は長期にわたります。それに耐えうるメンタリティがある人のみ到達できるのです。安易に「1か月でペラペラ」とか「聞き流すだけ」とかのうさんくさい教材に流されていてはとてもじゃないけど到達できません。
今回は語学勉強のコツを交えてお勧めの勉強法を紹介していきます。
総論を読まれてない方は先に総論から読んでください。
▼前回記事:語学習得の総論▼
全般
メンタルが重要
冒頭でも書きましたが語学習得は短期間でできるものではありません。国産バイリンガルを目指すには少なくとも5年~10年くらいの期間は受け入れましょう。
また、勉強している途中も幾度となくメンタルの試練が訪れます。実力が伸びていない気がする、他の人はどんどん上達している、など辛くなることもあります。
こういったときにいかに自分を励まし、鼓舞できるかが重要なカギになります。なにもこれは語学にかぎったことではありませんが。
以前、ご紹介したPICKY理論(と勝手に僕が呼んでいるだけ)なのですが、語学習得において重要なファクターを挙げたものです。これらすべてバランスよく、大きな五角形にしていくのが目標です。
その中でも一番大事なのはまぎれもなく Y です。人間は『習慣の生き物』です。最初は大変でも一度『習慣』になればさほど苦無く続けられるものです。
戦略を確認
何のあてもなく勉強するのは非効率ですし、継続が難しくなります。簡単なもので構いません、自分なりの戦略を練って行いましょう。長期的な目で考えて僕の戦略はコレです。
前回も言いましたが、語学は『聴』『解』『話』の総合種目です。このどれか1つが欠けてもいけません。これらを順番に勉強するのではありません。同時進行で高めていくのが重要です。
また、日本の英語教育ではスピーキング力は全く配慮されていません。ですので、常に「アウトプットを多めに!」ということを意識しておきましょう。
英語の授業では英文読解と英作文はやりましたね。これは下準備なわけです。極論を言えばこの2つの速度を超特急にできたら英語がスラスラしゃべれます。(次図参照)
英語を聞いて英語で返事するときの回路は簡単には上図のようになります。ネイティブは聞いてから理解して話すまではノンストップの新幹線ですが、日本人にはこれはできません。
『日本語駅』を経由する別の線路を走ります。しかし、ここはトレーニングにより急行→特急とスピードアップができます。最終的にはここでの時間ロスを限りなく0にすることで準ネイティブになれるわけです。
国産バイリンガルが目指すは超高速の特急列車です。
後半の英訳回路を鍛えてスピードアップするのに有名すぎる本がこのシリーズ(↑)でしょうか。
瞬間英作文。僕は実は1冊しかやってませんが、たしかに ”瞬発力” を鍛える(=後半部分の特急)にはかなり効果があったと思っています。試す価値はあります。
トレーニング法
リーディング
英文を読み理解する速度を上げるトレーニングが必要です。自分の英語レベルに応じて教材を選ぶとよいでしょう。
無料で手っ取り早いのはニュースなどの英字記事ですが、難しい単語が多すぎるとやる気が失せます。そこで、お薦めするのはNHK world の記事です。
これらの記事で、読解力を高める練習をすると同時に、良質な表現などをストックしておきましょう。
なお、僕は必ず記事を音読します。これにより英語を滑らかに話すスピーキングの練習にもなります。詰まるときは何度も練習してスラっと読めるように練習しましょう。
リーディングとスピーキングの同時トレーニングで効率よく学びましょう!
リスニング
聞き流すだけでは英語は聞けるようにはなりません。精聴が重要です。
このトレーニングはまず英語の音をしっかり知る必要があります。一見遠回りに見えますが、発音記号も覚えましょう。こうして音の違いを可視化でき効率があります。
また発音記号をマスターしていれば、後に初めて出逢う単語も辞書を見て正しい発音が再現できます。
発音をよくしたい人はこういう細かい部分にも気を遣いましょう。
国産バイリンガルになるには相当な努力が要ります!覚悟しましょう。
本とかでもこういう主張が見られますが、前提条件が間違えています。
ネイティブが発音記号要らないのは、子供の時から親が言ったのを真似して、間違えば親が優しく発音を直してくれる環境でずっと英語を使ってきたからです。
日本語環境で大人になった人が同じことをするのは無理です。
パスバンド
パスバンドって聞いたことありますか?各言語が優先的に使う音域があるというものです。日本語と英語では大きく違います。
日本語は低周波で狭い帯域で話しますが、英語は高周波で広い帯域で話します。
日本語は、主に母音で話す言語(≒子音の連続がない)だと思えば納得がいきますね。
周波数が上がるのは、狭いところを空気が通ると言うことです。母音は口の中で何にも邪魔されずに空気が通るので周波数は低いです。
しかし、英語では back やstreet など子音が連続する部分が頻出します。子音は舌や唇などで空気の通り道を妨げるので高周波になります。
日本人には英語の子音連続などの高周波数が日本語脳により ”雑音” と理解されて聞き取りにくいです。
対策は1つ。教材などで聞き取れない部分を念入りにチェックして何度も聞くことです。そうすると脳が「この音も重要な情報」と認識すれば "雑音" ではなくなるわけです。
もちろんこのパスバンド理論は批判も多いのは承知していますが、僕は概ね信用しています。
1冊をしっかり
とりあえずは1冊CD付きの本を買ってしっかりと学ぶことを推奨します。
何冊も買う人もいるでしょうが、英語の本なんて世の中腐るほどあります。正直、そんな本の内容に大差ないです。1冊(CD付)を完全にマスターするのがいいです。
一応有名どころを紹介しますが、コレである必要はありません。
中級以上の方向けですが、僕がリスニングの勉強で一番効果があったのはシャドウイングです。これは通訳の方のトレーニングでも行います。教材は自分で好きな youtube 番組をシャドウイングしてもいいですが、まだ自信が無い人は本を買いましょう。スクリプトを確認して何が聞き取れなかったのか確認しましょう。
ここでも1冊だけ紹介しますが、CDが付いていればどれでもいいです。
攻略! 英語リスニング 徹底シャドウイングでマスター! 長文リスニング (NHK CDブック)
- 作者:柴原 智幸,ベンジャミン・ウッドワード
- 発売日: 2014/08/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
アウトプット
英語で日記
アウトプットで最も手っ取り早いのは日記ですね。今日あった出来事や友達とこんな話をしたなど。でも、自分で書いた文が正しいのか、自然なのかわかりませんよね?
そういうときは Lang8(ランゲイト)というサイトで日記を書きましょう。
これは英語で日記を書くと、英語話者ユーザーが記事を見つけて添削してくれるものです。代わりにどんどん日本語の日記を添削してあげればポイントが貯まり、貯まれば自分の日記がネイティブに表示されやすくなるというシステムです。基本無料です。
オンライン英会話
今の時代はいつでもどこでも受けれるオンライン英会話を行わない理由はありません。僕は長く eigox でアメリカ人とトークをしています。
比較サイトなどもあるので見てみてください。フィリピン人のクラスは安く、アメリカ人のクラスは高いですが、それはみなさんの財布事情と価値観で選べばいいと思います。数をこなしたいなら安い方がいいですしね。
まったく自信がない人は日本人バイリンガル講師がいるところを選ぶと安心ですね。
オンラインレッスンについてはまた別途記事にします。
歌手と弟子
スピーキングってまず何からやったらいい?
僕はいつも『基本は自己紹介の延長』と説明しています。
自己紹介と言っても年齢とか性別とかだけでなく、もう少し広いものをいいます。あなた自身に影響を与えうるものすべてが含まれます。
回路を早くするには何百回とその言葉やフレーズを使う必要があります。人が話す内容の大部分は上記の ”歌手と弟子” に帰結します。
つまり、このテーマでどんどんアウトプットする練習をしていき、さらに詳しく広げていけばいいです。こうすることで効率は一気に上がります。
出来事というのはニュースですね、最近の話題などのことです。これはさっき紹介したNHK world で話題をINPUTしてもいいですね。
ニュース記事は自分の関心のあるものにしましょう。ここでも "picky"(=えり好み)理論なワケです(笑)
暗記でもいい
初めは自己紹介の文章などを作って丸暗記でも構いません。すぐには自分で瞬間的に英語を作る能力は身につきません。
基本はINPUTしたものをどんどんアウトプットしてfeedbackしてまたインプットするという繰り返しです。
丸暗記したものを何回も何回もアウトプットして、無意識のうちに口から出るようになることが重要です。似たような文章は自然に作れるようになります。
掛け算の九九は丸暗記しましたね?無意識にそれを使えるそのお陰で暗算がパッもできますよね?それと同じです。
そして、こうして無意識に言える者が増えていくと、PICKY理論のC(自信)も増えます。
まとめ
いかがでしたか。
何度も言っていますが、語学は総合力が問われるスポーツです。時間をかけて練習したら上達します。
野球のスイングは普段からの素振りにより、速度も上がり、無意識で滑らかにスイングできます。これと同じです。
やり方の違いで、期間などを縮めることは可能ですし、しっかりと『個別の音』も重視して発音も他の人と差をつけることもできます。
ぜひ、参考にしてみてください。
では、また(^^)ノ
▼マルチリンガル医師の語学史▼