マルチリンガル医師のよもやま話

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コロナの『出口』は見え始めた・・・

オミクロン株の影響で、日本国内でもものすごい勢いで感染が拡大しています。ここ最近、欧米ではコロナ禍の『出口』についての議論が出てくるようになっています。

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日本の感染状況

現在の日本での新型コロナの状況について、まず世界的な視野で見てみましょう。

Our World in Data*1のデータを引用します。

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日本は『さざ波』

100万人当たりの感染者数で見て、日本は欧米と比べても極めて少ない、『さざ波』ですね。では、つづいて変異株の割合を見てみましょう。

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各国の変異株の割合(1/10現在)

アメリカと日本はほぼデルタ株(水色)が駆逐されオミクロン株(赤色)に置き換わりました。この割合は国によって違い、ドイツではまだデルタ株が優勢で、韓国はまだほぼデルタ株です。

オミクロン株の変異

オミクロン株はスパイク蛋白に32か所の変異があります。

例えば元のスパイク蛋白がサッカーボールだったのに、変異が起こりすぎてラグビーボールになると、人に感染するためにひっつく受容体や、ワクチンで作られた抗体がひっつける割合が低下します。

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変異が多すぎると・・・

変異により、ワクチンで作られた抗体が効きにくくなっています。が、同時にヒトの細胞へ侵入するときの入り口であるACE-2受容体への結合能がデルタ株より低い*2こともわかっています。

通常なら、細胞に入りにくいので、感染はしにくくなっていると考えられます。

感染力は非常に高い

しかし、オミクロン株の感染力はデルタ株よりもさらに高いと。あれ、矛盾してる?

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受容体結合能が落ちても・・・

そう、ワクチンにより作られた抗体が引っ付ける能力も低下(=免疫逃避)、さらに時間経過による血中抗体価の低下、つまり、人間の防御力も同時に減っています

さらに、新型コロナウイルスがフーリン切断部と呼ばれる部位にも変異を起こしており、細胞への侵入効率を高めているとも考えられています。

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感染力が高いオミクロン株

重症化しにくい

感染力は非常に強いですが、一方で、デルタ株と比べると重症化はしにくいです。

オミクロン株は過去の変異株と違い、肺で増殖しにくく、上気道で増殖する*3ので肺炎を起こしにくい(=重症化しにくい)と考えられています。

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オミクロン株は重症化しにくい

イギリス保健当局の発表*4では、オミクロン株感染での入院のリスクはデルタ株の50~70%減でした。

致死率に関しては、ブースター接種が進むイギリスでは0.2%程度*5まで下がっています。

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南アフリカでのオミクロン株

一方で、南アフリカの報告*6でも、デルタ株の波と比べて重症化率、致死率が大きく低下したことがわかりました。2.7%はイギリスと比べ非常に高いですが、これは医療水準と接種率が関係しています。

ワクチンの効果は低下

多数の変異により、ワクチンの効果は低下しています。イギリス保健当局の資料を見てみましょう。

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オミクロン株でワクチンの効果は低下

ファイザーワクチンを2回接種済の場合、デルタ株に対しては半年後も発症予防の有効率は6割以上保てるのですが、オミクロン株に対しては半年後は10%近くまで下がります。

一方で、6か月経っても重症化予防効果はまだ保たれています。なので、2回接種済みの人はオミクロンにかかっても軽症で済むことが多い*7です。

しかし、高齢者やハイリスクな人は、感染すると重症化するリスクが高いので、少しでもかかりにくくしておく必要があります。

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高齢者・高リスク群は追加接種を

ファイザーで追加接種を行うと、接種後3ヶ月は有効率50%以上、モデルナで追加接種を行うと70%以上の有効率が保たれることがわかっています。

高リスクの人たちは待つ理由はありません、今打てるワクチンで追加接種を行ってください。

社会が廻らない

新規感染症は大体の経過として、最終的に感染力は強まり、弱毒化していくと考えられています。

アメリカでは1日に140万人の感染者を出しています。このような状況で濃厚接触者の自宅隔離なども今まで通り14日間やっていると、社会が止まってしまうわけです。

沖縄でも濃厚接触者となった医療従事者の出勤停止などで病院が一時診療停止など影響が出ています。

こうなると、ルールを緩和していかないと社会が止まってしまいます。

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アメリカで隔離期間短縮

アメリカは年末に、無症状感染、または濃厚接触者は5日間の自宅待機*8に変更しました。イギリスも5日間にしました。日本でも今後、隔離期間は短縮となるでしょう。

そろそろ出口が

結局このパンデミックの終了と言うのは「人々が気にしなくなった時」です。

では、なぜコロナを気にするのでしょうか?

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コロナ禍が終わるには

これらが解消されたとき、人々は気にしなくなるはずですね。

2年以上の付き合いでリスク、対処法、治療法がある程度わかっています。

またワクチンと治療薬の登場で、先進国では致死率が大幅に落ちています。日本では第5波で0.3%と低く、オミクロン株のイギリスでの致死率も0.2%と報告されています。季節性インフルエンザが0.1% (日本では0.001%)なのでかなり近づいています。

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ゴールに近づいている

感染力がとんでもないオミクロン株により社会は回らなくなり、結果として国は濃厚接触者の隔離などを緩めざるを得ません。となると、最後の『他人に迷惑』も近いうちに△から○に変わるでしょう。

人々が気にしなくなれば終わりです

スペインなど欧州ではそろそろエンデミック(≒インフル扱い)とする動きに向かおうとして*9おります。少しずつ出口は見え始めました。

では、また(^.^)ノ