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冬の第8波について考える

現在、日本での第7波の主体はオミクロン株の1種であるBA.5が主です。

なんとか、今回の波もかなり下がってきており、ほっとしておりますが、当然、また次の波は来ます。

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今回は、次の第8波について少し考えてみましょう。

オミクロン株が続く?

すこし振り返ってみましょう。

日本では、今までに6つの感染の波がありました。

第4波以降は、国名をつける呼称はあかんというころで、アルファ株⇒ベータ株・・・という風に呼ばれるようになりました。

こう見ると、波は新たな変異株によりもたらされていました。

『波』はだんだん長くなっている

上図を見ると、各波の期間は段々と長くなっていることがわかります。さらに、第6波と第7波はともにオミクロン株によるものです。オミクロン株は2021年の11月に南アフリカで見つかってからもうすぐ1年になります。

これから当面は、オミクロン株のマイナーチェンジが新たな波を起こすのだろうと想像できます。ま、だからこそ、オミクロン対応ワクチンを進めているわけですね。

デルタ株は残存

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ケンタウロスは少ない

では、第8波は何が引き起こすのでしょうか?

7月頃、話題になったケンタウロス(BA.2.75)については、過去記事で紹介しました。おそらく日本では広がらないだろうとまとめました。

ケンタウロスは日本では広がらない?

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ケンタウロスはBA.2 (ステルスオミクロン)の亜系統で、BA.5が流行している地域では増加していませんでした。

実際、現在も広がっていませんね。

Our World in Dataより(一部調整)

少し見にくいですが、上図は日・米・英の現在の流行ウイルスを示して*1います。3国ともすべてBA.5がほとんどです。ケンタウロスは濃い紫で、やはりかなり少ないですね。

米・英で気になるところと言えば、BA.4の割合でしょうか。

日本も入国者制限をどんどん緩和していますので、海外で流行したものが入ってきます。

BA.4の亜種

先ほど、示したように米・英では、BA.4の割合が日本より高く、しかも増えてきているようです。

その中でも、特に BA.4.6 という亜型がポイントになりそうです。

アメリカではBA.4.6が増加中

CDCによると*2、アメリカ国内ではBA.4.6が徐々に割合を増してきています。

そして、同じ傾向が、イギリスでも見られて*3います。

ということで、今回はBA.4.6 について学んでみましょう。

南アフリカで発見

オミクロン株自体が南アフリカで発見(ボツワナ説もあり)されましたが、BA.4 も BA.5 もまた南アフリカで見つかっています。

なぜ、南アフリカばかりか?考えられるのは、HIV感染者が5人に1人*4と非常に多く、また新型コロナワクチン接種率が低いことも重要な点です。

BA.4とBA.5の特徴については過去記事で扱っていますのでご参照ください。

BA.4とBA.5について

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いまわかっていること

それでは、海外の記事*5を参考にBA.4.6について現在わかっていることを見ていきましょう。

BA4.6も免疫逃避能あり

R346T変異はベトナムで見つかったBA.2.3.2 でも見られました。この特徴としては、免疫逃避能があるようです。

BA.5以上の免疫逃避能

BA.5 以上の免疫逃避能を有しており、感染力もさらに強いようです。厄介ですね。

しかしながら、重症化や致死率に関しては、特に心配するような報告はなく、既存のオミクロン株やBA.5 と同程度ではないかと考えられています。

ワクチン効果低い

ここまでの話で当然想像もつきますが、ワクチンの効果もさらに低下します。

ワクチンの効果はさらに低下

オックスフォード大学の研究によれば、ファイザー製ワクチンを3回打っても、BA.4.6 に対する抗体はあまり上がらないようです。BA.5以上に予防効果が低くなりそうです。

2価ワクチンの効果はまだ不明

日本でも始まったオミクロン対応の2価ワクチンは、オミクロン株に対する抗体価をしっかり上げ、オミクロン株に対しては感染予防効果も期待できそう*6という研究結果が出ています。BA.4.6に対する効果についてはもう少し時間が経てば情報が出てくるでしょう。

実際はわからない

免疫逃避能により、ワクチンの予防効果を低め、既感染でも再感染させることがオミクロン株以降ずっと言われています。今回のBA.5でもそうでしたね。

超名門NEJM誌に先日載せられたポルトガルの研究*7は興味深いものでした。

免疫逃避はそれほど?かも

この被検者の98%はワクチン2回以上接種済みです。

つまり、研究内の陽性者は基本的にはブレイクスルー感染で、ワクチンと感染によるハイブリッド免疫というやつです。

このハイブリッド免疫では、上図のような再感染予防効果が見られたのです。

この研究の結論としては、ハイブリッド免疫では、免疫逃避能はそれほど高くなさそうです。未接種に関してはこの研究からはわかりません。

つまり、第7波でかなりの感染者を出した日本では、ハイブリッド免疫を持つ人が増えており、第8波はそれほど大きくならない可能性もあります。(希望的観測w)

さいごに

いかがでしたか?

オミクロン株が登場してもうすぐ1年になりますが、今のところ新たな名称がつくような危険な変異株はなさそうです。当面はオミクロン株内でのマイナーチェンジが新たな波を起こすでしょう。

現在、アメリカやイギリスでは、BA.4.6が増加しています。日本でもこれが第8波の原因となるかもしれません。BA.5以上の免疫逃避能を有しており、感染者数は非常に多くなると思われます。

しかしながら、第7波で感染者が増えたことで、ハイブリッド免疫を持つ人も増えており、第8波が実際どのくらいの規模になるかは不明です。

以前記事にしたように、この冬でコロナ禍が終わればいいですね。では、また(^.^)ノ

コロナは2022年終息!?

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