マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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年末の学び ~コロナ 世界の現況~

今年も残すところあと数日。

コロナの落ち着いていた日本でも微増フェイズに入っています。

今年最後に、世界の現在の状況を見てみましょう~

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いまはどこで流行?

オミクロン株のニュースは毎日見かけるわけですが、世界中が今大変な状況かというともちろんそんなわけはありません。いま、どこで流行っているのでしょうか?

ロイターのコロナ地図*1を見てみましょう。

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いまどこで流行中?

が『ピーク』、オレンジが『かなり増加中』と読んでください。

まず欧州各国、アフリカ南部、豪州、北米で流行していますね。

アジアは実は全体的に落ち着いてます、唯一の赤が韓国で、オレンジがベトナムと2つだけです。

では、各国の状況を見ていきましょう。

日本の状況

日本では第5波収束後、かなり低い水準で推移しており、マスク以外はほぼ以前の生活に戻れています。

第5波はなぜ収束?

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一番効果の高いmRNAワクチン*2をきちんと規定通り短期集中で打ったこと、そして国民一人一人の対策が徹底されたことが大きな理由と考えられます。

一時的な集団免疫に達したのだろうと思います。実際、超名門の医療雑誌BMJに掲載された研究*3ではマスクの大きな効果が見つかりました。

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コロナ感染対策で効果があったのは?

マスクはリスクを53%減少、社会的距離が25%減少させることがわかりました。手洗いも『有効』という結果でした。

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日本の現況

ま、日本の現況は言うまでもなく、低い水準で推移。感染力の強いオミクロン株の影響が年明けくらいから出てくると思います。

オミクロン株

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南アフリカの現況

さて、オミクロン株は最初南アフリカで見つかったとされていますね。(ボツワナ説*4もありますが。)ここはどうなったのでしょう。

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南アフリカの現況

オミクロン株の出現後、爆発的に感染者は増えましたが、どうやらピークは越えたように見えますね。一方、死者も大きく増えていないこともわかります。

南アフリカ感染症研究所によると、オミクロン株の入院率は他の変異株より8割減と。

接種率が23.7%ながらも、実は既に70%の国民が感染済み*5なので、ワクチンとの合作で一時的に集団免疫が出来上がったのでしょう。インドと同じ現象ですね。

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南アフリカの事情

南アフリカは人口の9割が60歳未満と若い人たちの国なので、日本など先進国と人口ピラミッドが違うことにも注意です。

イスラエルの現況

世界最初にワクチンを高速で打ち終え、"一人勝ち"状態でしたが、デルタ株襲来と抗体価低下のタイミングが重なり、感染者は再び増加し、死者も増えました。

このことで、高齢者の抗体価低下で死者が増えるとわかり、世界中で6~8ヶ月後に追加接種を行う流れができました。

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イスラエルの現況

接種率は意外に65%程で実は低いんです。現在は人口の45%が3回目接種済みで、感染状況も落ち着いております。なんと4回目接種の試験を開始したとの報道*6もありました。

アメリカの現況

アメリカの接種率は現在61.7%*7で、政治観もあり州ごとに接種率が全然違います。例えば、共和党が強いアイダホ州では45.8%, 一方、民主党が強いニューヨーク州では71.3%です。

基本的に共和党の強い”Red States”では接種率が低く、民主党が強い"Blue States"では接種率が高いです。

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アメリカの現況

共和党のトランプ元大統領は、任期中に接種していたことは隠していましたが、先日、ブースター接種を受けたと表明したところ一部の支持者からブーイングされて*8ましたね。(笑)

手短に言うと、アメリカは貧富の差が激しく、それに伴う教育格差も非常に大きいんです。日本では国が教育を統括して『平等』を推してますね~。

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教育格差について

アメリカは、教育も州ごとに違います。つまり、地域によっては差別もあるし、思想も違うし、教育に使う予算も違います。こうしれ生まれるのが教育格差です。

そのせいで、教育をきちんと受けれなかったら、いわゆる陰謀論者ができやすい地域がある・・・ま、このくらい遠回しに言うておきましょう。日本は、陰謀論者いますが少ないですね。日本は教育制度がしっかりできているからです。ま、最近、不登校で売ってるyoutuberもいますが(笑)

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アメリカの問題点

さて、CDCは先日、未接種者は接種者の20倍死亡する可能性が高いというデータを発表*9しています。

ファイザーやモデルナの国なのに、ワクチン接種率が思うように進まず。また、民間の保険に入っていないと、医療費が高いので、貧しい人たちは受診控えし死者が増える一因となります。

日本の医療と海外の医療

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イギリスの現況

イギリスでは、オミクロン株の影響も出ており、1日12万人を超える過去最多の感染者を出しています。そう、昨年の同時期の2倍以上です。

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イギリスの現況

しかしながら、ワクチンの効果はしっかり見られており、死者は急増していないんです!ただし、感染者が急増すると医療機関が逼迫することと、高齢者の抗体価が落ちていることから追加接種を急いでおり、現在既に、12歳以上の56%が追加接種済だそうです。

地理的に近く、接種率もほぼ同じのドイツも見ておきましょう。

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ドイツの現況

ドイツも現在、医療逼迫を懸念しており追加接種を進めておりますが、その開始が大きく遅れました。イギリスと比べると追加接種の遅れが、ここ最近の死者の増加に影響しているようです。

現在、来年2月のワクチン接種義務化に向けて動いています。 

シンガポールの現況

ワクチンの種類、接種率などが日本と似ているので、参考になるだろうと以前記事にしたシンガポール。

シンガポールは日本の未来?

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デルタ株の到来と抗体価低下が重なり感染者が増えました。また、シンガポールでは未接種者は8倍重症化・死亡のリスクが高いというデータ*10も出てきました。

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シンガポールの現況

現在、高齢者やハイリスク者の追加接種を順次進めており、感染は落ち着いております。また、オミクロン株は『重症化しにくい』と判断し、海外からの入国後規制なども緩和しました。

オーストラリアの近況

当初から島国の土地の利を生かしていた優等生、オーストラリアが現在大きな波を迎えています。

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オーストラリアの近況

実は今まで1年10ヶ月ほど外国人の入国禁止を貫いていたのですが、12月15日から入国規制を緩和しました。この影響ですね。

オミクロン株により感染状況が悪化していると判断しており、重症化率が低くても感染爆発が続けば医療逼迫するという懸念から追加接種を2回目完了後から3ヶ月以降で行うと発表*11しています。

韓国の現況

ウィズコロナとともに最大で1日7000人を超えていた感染者数も減り始めており、12月28日は3865人でした。12月18日から規制を再強化した効果が見られているのでしょう。

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韓国の現況

接種率が82.4%と日本よりも少し高いですが、今回の波で死者も増えています。通常、ワクチン接種が進んでいる国では感染者数が増えても死者が増えていません。

アストラゼネカを打った高齢者が早く抗体価が下がっているのが主因と一般的には考えられています。つまり追加接種が遅れたドイツのような状況ということでしょう。

しかしながらあまりに高いブレイクスルー感染率などからはワクチンの扱いなどに問題があったのではという疑念*12すら出ています。

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韓国のワクチンの謎

mRNAワクチンは7割で、残りはアストラゼネカなど他のワクチンです。1回目~2回目の接種間隔を広げたのも影響があったのかも?しれません。

韓国では現在、追加接種を積極的に進めており、2回目から3ヶ月以上空けば接種できるようにしました。高速で高齢者の追加接種を行っています。

追加接種はまだ不要

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さいごに

オミクロン株の対策をどうするかが各政府の今後の重要な決定になります。実際、ここまでのところは、今までの変異株より重症化しにくく、入院となる可能性が低い*13という英国の研究結果もそろい始めています。

しかしながら、まだ『弱毒化』判断するのは早いという専門家の意見*14もあります。

世界的に見て未接種者が入院・死亡リスクが圧倒的に高いのは紛れもない事実なので、追加接種よりも先に未接種者をもっと減らすのが個人的には重要と思います。

そのためにも、保存が簡単で、既存の技術でできたノババックスなどをうまく利用すればよいです。

ノババックスワクチン

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ワクチン、経口治療薬も揃い、致死率がうんと下がれば、いよいよインフルエンザ並みの対応に落とせるタイミングとなるでしょう。

では、みなさんよいお年を♪