マルチリンガル医師のよもやま話

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【まとめ】これからワクチン接種される皆さんへ

6月20日現在、65歳以上の高齢者の45%が1回目の接種は終えた*1ようです。そんな中、「自分はまだまだ先」と思っていた年代の方々にも職域接種などで急に接種日が近づいてきました。しつこいですが今回の接種は希望制です!

調べればどんどん不安になったりすると多数の人から相談を受けました。誤情報・偽情報もあふれていますからね。

最新の”公的機関による1次情報”を元にわかりやすく説明します。もし、近くに接種前の人がいたらぜひシェアしてあげてください。

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偽情報・誤情報に注意

まず、初めて実用化されたものですから当然将来の経過はわかりません。これは事実。ただし、現在想定されている大きな危険性がない*2ことも事実。

なので、メリットがデメリットを上回れば打てばいいということになります。

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ネットで見られる怖いはなし

ネットなどを見ると、SNSに不安を煽る書き込みがあふれております。反ワクチン派が以前から使ってきて手口は『不妊』『流産』『発癌性』『自閉症』などすぐに答えが出ないことや、子孫に関することをゴリ押ししてきます。

ファイザー『副社長』の真相

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しかも、彼らは動画や記事の広告で莫大な利益*3を得ている事実も知っておく必要があります。

まず落ち着いてください。20年後に癌になる可能性なんてワクチン関係なく誰にでもあります。また夫婦のおよそ5.5組に1組*4が不妊症またはその疑いなんです。これを知らずにいると「あの時ワクチン打ったからだ」となってしまいます。

ワクチンにまつわる偽情報

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反ワクチンの人たちの論調は、最終的に『コロナは存在しない』に行きつきます。日本の状況だけでは多少信じられるかもですが、世界の状況を見るとそんなはずない!とすぐに気づくはずです。

『コロナは存在しない』は嘘

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SNSではなく公式の1次ソースからの情報が信頼度が高いです。

つい先日、日本感染症学会らがCOVID-19ワクチンに関する提言*5を更新しました。今回はこれを要約解説していきます。

1.日本でのワクチン

6月22日現在、日本では3種のワクチンが認可されています。Johnson & Johnsonも5月24日に厚生労働省に承認申請をしました。

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現在のワクチンの状況

現在、医療従事者や高齢者にはファイザー製、大規模接種にはモデルナ製を使用します。今回はこの2つにしぼって話を進めていきます。

ちなみに注射自体は25Gという細い針を使い、筋肉にまっすぐに刺すので痛みを感じにくく「え、もう終わったん?」と言う人が多いです。僕も痛くなかったです。

2.mRNAワクチン

コロナのスパイク蛋白の遺伝子の設計図であるmRNAを利用します。

mRNAは非常に脆くすぐ壊れていしまいます。そのため、脂質ナノ粒子で包んで注射します。mRNAワクチンの臨床試験自体は過去にもHIVなどで行われておりますが、実用化されるのは初めてです。

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mRNAワクチンの特徴

体内に入ったmRNAは体を工場としてコロナのスパイク蛋白を作らせます。

そして、その作られた異物に対して免疫が働いて特異抗体がつくられます。mRNA自体は数日で代謝され体内に残りません!

3.有効性

もともと、新型コロナのワクチンを作るときにアメリカでの承認条件は有効率50%以上でしたが、このmRNAワクチンはなんと有効率95%という衝撃でした。インフルエンザのワクチンで40-50%と言われています。

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有効率95%の意味

『有効率95%』というのは、5%の人には効果がないと勘違いされますが、そうではありません。接種した人と接種していない人を比べたときに発症者(≠感染者)を95%減らす効果があるという意味です。(但し75歳以上も同等の効果があるかはわからない)

日本、韓国、台湾など東アジアは元々の感染率が低い(図で言うと"非感染"が多い)のでワクチンはなくてもよいという意見もあります。

しかしながら、台湾の状況をみてもわかりますが、次々に出てくる変異株感染力増強していることや重症者が増えると医療崩壊に近づくことなどから、今の自粛生活が延々と続くことになります。

そうなると経済死により自殺者の増加もコロナ死どころでなくなるわけですね。だからこそ韓国も台湾もワクチンを今必死に打とうとしているのです。

4.入院患者が激減

実際のワクチンの効果として、アメリカで2回目接種して14日経った人では、発症者は90%減少、65歳以上のコロナ入院率が94%減少しました。

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入院患者が激減

他にもイスラエル、英国からのmRNAワクチン接種後データでも同様に素晴らしい結果が出ています。

どうやら、mRNAワクチンでは喉や目などの粘膜の免疫IgAなど)を誘導することで感染予防につながっているのではないかと言われています。

5.変異株にも効く

新型コロナは2週間に1回はどこかしら変異が起きています。英国株(α株)、インド株(δ株)が日本では大きく取り上げられていますね。これらは感染力が非常に高いことがわかっております。

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δ(インド)株の威力

変異株ではワクチンの効果が落ちることもわかっています。それでも、インド株に対してファイザー、モデルナは90%弱の有効性はあるようです。

重要なのは2回しっかり接種することで、イギリスのデータでは1回のみではかなり効果が落ちていますね。

6.副反応について 

mRNAワクチンはよく効きますが、それゆえに副反応もかなり出ます。特に2回目接種後に出やすいこともわかっています。多いのは頭痛、倦怠感、筋肉痛、悪寒、嘔気などです。(たまに下痢する人もいます)

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ファイザーワクチン 副反応(国内試験)

ファイザーワクチンの日本での臨床試験での副反応は上図のようになります。発熱は3人に1人くらい、悪寒は2人に1人くらいです。特に20-30代の若い人は免疫が強く副反応が出やすいのでもう少し頻度は上がります。

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モデルナワクチン 副反応(国内)

モデルナの国内の試験での副反応もファイザーとよく似ていますが、2回目接種後の悪寒や発熱がファイザーよりわずかに高いです。

いずれにしても、2回目接種後の副反応は割とありますが、通常1-2日ほどで治まります。

7.副反応時の内服薬

発熱時の内服は病院ではカロナールが処方されます。理由は簡単で副作用が少なく、使いやすいからです。あと、ロキソニンは炎症を抑えるので、ワクチンによる抗体形成を邪魔するのでは?という意見もあります。

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副反応時の内服薬

しかしながら、アメリカのCDC日本感染症学会もロキソニン内服OKとしています。

ちなみに僕や周辺の人(若い)はだいたい2回目接種後15-20時間くらいからで倦怠感や37℃台の発熱が出てる人が多かったようです。そう感じたら内服しましょう。

8.アナフィラキシー

さて、副反応で怖いのがアナフィラキシーですね。

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アナフィラキシー

アメリカの結果ではファイザーの方がモデルナのワクチンよりもアナフィラキシーが出やすいことが分かっています。

それにしても日本での割合が高いですね。この数字は5月末までなので医療従事者でのデータが主になっており、看護師など若い女性が多いからだと考えられます。(最新の6月13日までの同じデータでは10回/100万回となっておりアメリカと同程度になっています。)

mRNAを包む成分にPEG(ポリエチレングリコール)が入っていて、それは化粧品や歯磨き粉などに使われています。女性に多い理由は化粧エストロゲンの関係と言われいてます。

また、アナフィラキシーのほとんどが皮膚掻痒などの軽度のものばかりで、血圧が下がるショックまで行ったのはアメリカの報告で1例です。

9.心筋炎

アメリカで10-20代の男性に多く出ている心筋炎ですが、これはウイルス感染などで起こることがあります。

症状は接種後~数日以内に胸の痛みを感じて受診したようです。

ワクチンにより体がウイルス感染後に近い状態となったことで発症したものでしょう。

数万回接種に1人の割合で起こりますが、これはワクチンを打たずに自然発症する心筋炎よりも割合が高いです。ゆえに副反応と考えられます。

10.抗体依存性増強(ADE)

過去にデング熱のワクチンによりできた中途半端な抗体のせいで、次にデング熱になったときに症状がひどくなるようなことがあり、9歳未満での接種は中止となっています。

これは抗体依存性増強(ADE)と呼ばれる現象の可能性があります。SARSやMERSでも動物実験ではADEが認められたという報告もありましたが、実際ヒトではわかっていません。

新型コロナウイルスですが、現在のところ、動物実験でも実世界でもADEは確認されていません。

11.打つべきか打たぬべきか

これはワクチンの基本に返ればわかりやすいです。もともとは重症化を防ぐために作られたもの。ま、今回のはできすぎて予防効果も高いですが。

つまり、重症化のリスクがある人は打つべきと言うことです。

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国立社会保障・人口問題研究所 HPより

これはコロナでの死亡者を年齢別にしたものですが、職業などにもよりますが、30代以下では少なくとも今は打つメリットは少なさそうですね。

しかし、ここ最近アメリカから変異株感染後に小児多系統炎症性症候群(MIS-C)という川崎病に似た状態になる子供が急増していることも報告されています。最悪の場合、心不全や死に至ることもあります。

アメリカで10代にも接種を行うのはこのような背景もあります。こちらも引き続き注意しておく必要があります。

40代以上で、特に高血圧糖尿病のある人、高齢者は打つメリットが十分に高いと考えられます。

基礎疾患がある人も必ず主治医に前もって相談をしましょう。

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接種について一つの考え方

メリットとデメリットを考える上で、あくまで一例としてはこのような風になるかと思います。

自分がかからないのもメリットですが、高齢者と接する機会が多い人や、ワクチン接種ができない幼児・児童と接する人はその周りの人たちを守ってあげるというメリットもあります。

妊婦がいる家庭なら、ご主人が打って感染リスクを下げるなど考え方は色々できます。人それぞれ事情は違いますので、最終的には自分が納得して決定できればよいですね。

さいごに

不幸にして接種後亡くなった方たちもおり、不安もできます。

ワクチンが直接原因で亡くなるのであれば、世界中で同じ原因で死亡する人が自然発生よりも明らかに増えているはずです。少なくともいまのところそれは見つかっていません。

もちろんワクチンによる免疫反応で、元々弱っていた血管系が破綻していしまうようなケースもあるかと思います。

日本では癌だったり、心疾患だったり何かしらの理由で毎日3200人が亡くなっています。この数字も知っておく必要があります。

新しいゆえにまだわかっていないこともたくさんあります。いまわかっていることで判断をするしかありません。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

では、また(^^♪