マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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この冬は第6波は来ないかも??!

※注意※

この記事は11月23日に掲載されたものです。オミクロン株に関する内容は含まれておりません。

 

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世界の状況を見ながら日本の第6波について考えてみましょう。

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アイルランドで感染爆発

さて、アイルランドで感染爆発というニュースが見られます。ワクチン接種率は高く、12歳以上で接種可能年齢に限れば9割に達しています。全人口でいえば80%です。

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アイルランドの近況

アイルランドは英国の西にあり、約600万人の国です。新規感染者数が4000人を超えているということで、日本の人口換算で8万人くらいですかね。

コロナ規制を解除しウィズコロナを進めています。感染状況の悪化を見てアイルランドでは、夜の店は深夜0時までの制限を設け、テレワークの推奨、そして50歳以上にはブースター接種を勧めています。

え、意外とユルくない?笑 日本の時短営業とか夜8時でしたしね。ブースターも50歳以上!だけです。

アイルランドの現状

アイルランドは英国の隣で、アストラゼネカ製が圧倒的に多いと思っていたのですが、実はファイザー製などのmRNAワクチンが8割を占めています。

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アイルランドのワクチン

と、考えると、今の感染爆発はやはり日本と比較してもマスクなどの規制をなくしたことと考えるのが自然ですね。

では、この状況はどうみればいいのでしょうか?いつものようにロイター通信の資料を引用します。

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アイルランドの現状

感染者は増えても死者は急増していないんです。これは当然ワクチン接種の効果と考えるのが自然です。

ファイザー製もアストラ製もともに、不活化ワクチンと違って、液性免疫だけでなく細胞性免疫も賦活化できるので、抗体価が落ちても重症化を抑制できるんです。

だからこそ、この作用が残っている間は若くて特にリスクのない人はブースターが不要ということです。

この辺は過去記事に詳しく解説していますのでご参照ください。

ブースターは不要?

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アイルランドが50歳以上にブースターを勧めるのはこれらの世代では感染すると、自らの抗体を作る能力が低く一定の割合で重症化し、死亡するからです。

イギリスの現状

こちらは早くからウィズコロナに転換し、規制をほぼ撤廃しました。マスクをしている人が少数派なのはニュースやサッカーなどから見て取れますね。

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イギリスの現状

その後、デルタ株による感染の急増がありましたが、死者は大きく増えていない為、ウィズコロナのまま進んでいます。

つまり、ワクチンの効果で長期の重症化予防が見られていますので、ブースターはハイリスク群である高齢者などが対象で始まっています。

ドイツの現状

冬に入り、ドイツでも1日に4万人以上の感染が報告されています。

ワクチン接種率は70%まで行きましたが、若者の接種率が低く、そこで感染増加が起きている*1ようです。

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ドイツの現状

現在の死者が1日で280人は多いですが、それでも過去と比較すれば大幅に少ない水準です。

ドイツでは、州ごとの感染状況により公共交通機関やレストランの利用に接種証明が必要となる*2ところもあります。

アメリカの現状

アメリカのコロナによる死者が昨年を超えたとニュースになっています。

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アメリカの死者は去年の2倍以上

すさまじいですね。アメリカはまず肥満が多すぎるのが重要で、それによりコロナによる死亡率が圧倒的に高い*3と言われています。

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アメリカの現状

国全体の接種率は68.5%まではいってますが、州ごとに全然違います。未接種者の致死率が圧倒的に高い*4ことは何度も発表されていますね。

ワクチン接種自体が完全に政治問題化していること、医療格差が激しいことも重要です。

日本とアメリカの医療システム

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イスラエルの現状

ファイザー製ワクチンを世界で一番早く打って『モデル国』となったイスラエルはどうでしょうか?

一度は完全にほぼ終息状態で、規制を撤廃して羨まれていました。しかし、デルタ株が入って来て状況は変わりました。

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イスラエルの現状

さらにデルタ株が猛威をふるった時、高齢者たちは接種後6か月経っており抗体価が低下しており、高齢感染者が増加、結果的に死亡者も多く出ました。

やはり高齢者では重症化予防も長くは続きません。7月にブースター接種を開始して再び感染状況は落ち着き今はまたノーマスクです。

シンガポールの現状

ほとんどmRNAワクチンを使用して接種率も非常に高いシンガポール。日本より3ヶ月ほど先に接種が始まっていたので今後の参考になると思います。

シンガポールについては10月の記事をご参照ください。

シンガポールで感染増加

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このときは、抗体価低下とデルタ株の襲来がタイミングが重なったのでしょう。感染は急増しましたが、ワクチンの効果が十分に高いことがわかりました。

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シンガポールで急増もほぼ無症状

未接種者で重症化・死亡しやすいことが報告されています(上図)。

このあと、シンガポールでは規制強化し、段々と感染状況は良くなってきたため、また規制緩和の方向に向かうようです。

ブルガリアの現状

「ワクチン接種で感染爆発が起きている」とかワケのわからんことを言う人がネット上にいますが、そんなことはありません。

ブルガリアはワクチン接種が非常に遅れており、現在接種完了は22%ほどです。死者が増加しています。

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ブルガリアの現状

東欧のブルガリア、ルーマニア、ウクライナなどでは接種率が顕著に低いのです。供給はEUからされるので不足ではありません。原因は反ワクチンによるインフォデミック*5です。

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誤情報で接種進まず死者増加

本当に厄介なもんです。これは子宮頸がんのHPVワクチンも同じです。

HPVワクチンについて

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韓国の現状

さいごはお隣、韓国です。ご存じの通り、今大きな波が襲っています。

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韓国の現状

韓国のワクチンの約3割がアストラゼネカ、残りの大半がファイザーです。

しかし、2回目接種の間隔は6週と広げ、1回目接種の人数だけを増やしました。これにより本来の効果が得られていない可能性が指摘されています。

これはブレイクスルー感染が非常に多いことからもワクチンの打ち方や管理方法に問題があるのかもしれません。

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接種間隔を広める

K-防疫に自惚れてて、デルタ株で失敗しました。『日本にだけは負けない』と、見せかけだけの『1回接種率』を上げては、日本の第5波収束は『数字の捏造』と言うてます。笑

韓国『日本は感染者数を捏造』

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さらには、日本が感染状況が一旦落ち着いたことから規制緩和に進むと、負けじと今の感染状況でウィズコロナに転換しました。

さいごに

いかがでしたか?世界を比べてみると色々日本との違いが見えます。

日本はワクチンに関して、ほぼすべてをmRNAワクチンで統一し、メーカーが治験で効果を得られた接種間隔をきちんと守りました。

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日本の状況を考える

最初から最後まで”適度にユルい”規制を行い、第5波では大きな感染者数を出しましたが、それにより感染しやすい生活をしている人はもう一通り感染したのかもしれません。

また短期集中で接種が進み、感染しやすい層が一気に減ったのも関係があるでしょう。

一番行動範囲の広い若者の接種は8-10月ですから、抗体価は恐らく冬の間は持つのかな~なんて考えてます。今でもマスクをしっかりしている日本では、もしかしたら2月くらいまでは爆発的な『第6波』は来ない?かもしれません。

正直誰にもわかりません・・・(無責任)w

では、また(^^)ノ

 

第5波はなぜ収束したのか

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