マルチリンガル医師のよもやま話

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コロナ情報 アップデート (2021年7月9日)

早くも発生から1年半以上が過ぎた新型コロナですが、日々新たなニュースが世界から出てくるのでしっかりとアップデートしておかなければなりません。

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7月7日 副反応検討会

以前に幾度か紹介した新型コロナワクチン副反応検討会*1は2週間毎に開かれています。

6月23日 副反応検討会

www.multilingual-doctor.com7月7日の検討会の内容を少し覗いていきましょう。

6月27までにファイザーワクチン接種後の死亡で報告があり検討が終わったものは453例でした。

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接種後死亡者(検討済)~6/27

前回の6/23の報告では 100万人接種あたり16.2件でしたから少し増えていますね。これは、当然高齢者の接種が増えているから当然ですね。

厚生労働省の資料*2から計算すると、40歳未満は9例の死亡報告があり全体の1.6%, 65歳以上が92.9%を占めています。

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年齢層別死者割合(接種後)

話題になるのは若くして亡くなった人なので、多く思ってしまいますが、当然、高齢者が圧倒的に多く亡くなっています。

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ワクチン非接種と変わらない

これも前回6/23の検討会の記事で書きましたが、日本災害看護学会*3への情報提供では、自然死と比較して特にワクチン接種後に死亡が増えていることはないようです。

基本的には、ワクチンが直接原因で亡くなるならば、打っていない人と比べて特定の疾患だけが増えるはずです。

心筋炎

これは前回の6月27日の報告でもありましたが、自然発生割合と比較してやはりワクチン接種後がわずかに高いことが確認されており、ワクチンによる副反応であると考えられます。

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心筋炎とは

世界共通で若い男性に起こりやすいことが分かっています。

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接種後心筋炎の発症

日本では若い世代の接種が進んでいないので世界と比較すると発生割合は低く出ています。

ワクチンとの関連

ワクチンと死亡の関連を専門家が検討した後にα、β、γで評価されます。

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ワクチンと死亡の因果関係

見てご察しの通り、ほとんどがγ『情報不足で評価不能』になっています。ま、そもそも直接な因果関係を証明することは極めて困難です。

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関連性を指摘するのは難しい

例えば上図のようにワクチンに含まれる原料にそれぞれ副作用がわかっていれば、それが原因で、ある症状を起こし死亡したという”可能性”の推察まではできるのです。

しかし、高齢者だったり、基礎疾患があったり、実は他の因子が影響している可能性が完全に排除できません。これが一番難しいのです。

だからこそ『傾向』を見て、ワクチンを打った人たちで特定の死因で亡くなる人が打っていない人より多いかどうかを見ます。そして現在の判断は『変わらない』となっています。

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副反応が最後の一押しに?

個人的にはやはり、効果が強い反面、副反応(発熱、疼痛、倦怠感)も強く、そのストレスが、もともとギリギリの人の血管系の疾患の最後の一押しになるのかなと考えていますが。

これに関してはノルウェーからの報告*4で、”きわめて老衰の強い高齢者”へのファイザーワクチン接種とその後の死亡に影響をもたらしたかもしれないとあります。

因果関係α

今回一例のみ”因果関係があるかもしれない”とされたものがありました。

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α:因果関係が否定できない

80歳の女性は、複数の基礎疾患があり、慢性腎不全でおそらく透析?してたのではないかと察します。死因は2つ挙げられており、血小板減少症がα、くも膜下出血はγと評価されました。

くも膜下出血では1/3はその後に死亡*5します。しかし、その時の画像所見や情報が不足でくも膜下出血が直接の死因かは判断できていないようです。

そして、αになった血小板減少症(ITP)ですが、たしかにmRNAワクチン接種後に血小板減少になったのでは?という報告*6はあります。

これについては今後、血小板減少による死亡が増えないか動向に注目しましょう。

気になるニュース

δ株の猛威

世界中で猛威を振るっているδ株ですが、お隣韓国でも、1200人以上の陽性者が出ています。さらには、インドネシアでδ株が広がり医療崩壊して日本人も死亡しているニュースも出ていますね。

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あれ、武漢どこいった?

ところで、WHOが「国名を変異株に使うのは差別につながるからやめなさい」ともっともらしいことを言って、現在はα株とδ株などと呼びます。

おかしないですか?オリジナルの武漢が一切出てこない。この表だけ見たらイギリスがコロナ発症と勘違いしますよね、100年後の人とかは(笑)

WHOと中国

www.multilingual-doctor.com

接種者は死亡少ない

アメリカでも現在δ株が流行し、陽性者が増えています。

しかしながら、アメリカでここ数ヶ月の死者の99.5%がワクチン未接種だった*7ことが分かっています。

4度目の緊急事態が決まった東京でもコロナ入院患者で一番多いのは40-50代です。そう、高齢者はワクチン接種が進んでいるからでしょうね。

さらに40-50代の重症化*8が目立ってきているようです。

以前から言ってますが、40代以上の方は、アナフィラキシー既往などなければぜひとも接種をしてください。

ワクチンの効果低下

これも皆さん気になってるのではないでしょうか。

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7月7日 ロイター通信 記事より

つい最近まではδ株に対しても「90%弱の効果はある」って言ってたんじゃないの?やっぱりワクチン効かないの?なんてよく耳にしますね。

この図を見てもらえば自然と答えは見えてくるはずです。

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ワクチンの有効率低下について

そうです、治験のときとイスラエルやアメリカで接種が増えているときは皆さんマスクソーシャルディスタンスもしていました。

ところが、イスラエルでは、ワクチン接種が進んだことと感染者数が極めて少ないことから、6月に入ってマスクなどの規制をすべて撤廃しました。

そして、そこに感染力の強いδ株が入って来たわけです。つまり、ワクチンが効かなくなったというよりかは感染対策を緩めたらデータは悪くなるよねってことですね。

少なくとも重症化予防には十分すぎる効果があることも強調しておきます。

ウィズコロナへ

シンガポールは、コロナとの共存の道を選ぶ*9ようです。

シンガポールの人口は570万人弱ですが、7月初めの段階で国民の2/3が少なくとも1回目の接種を終えており、感染状況も落ち着いていることから『with コロナ』へ向かっています。

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シンガポールは共生へ

要はインフルエンザと同じような扱いにすることで、医療面、経済面への影響を無くすんですね。ワクチン打っていれば少なくとも重症化を大幅に下げることはわかっていますので、これが”収束前の形”ということです。

ちなみにシンガポールも日本と同じように、ファイザー、モデルナを中心に接種しているので、日本には良い参考になりますね。

さいごに

ワクチンが進んだ国を見ると人口の60%-70%くらいまでの接種はスムーズですがそこで頭打ちになるところが多いようです。おそらく日本もそうなるでしょう。

イスラエルやアメリカの一部の州のように規制を撤廃したところでは感染の新たな波が起こっていますが、重症者は少ないです。そこで、ある程度接種が進めばシンガポールのようにしていくのがよさそうですが。

いずれにしてもマスクやソーシャルディスタンスの撤廃を急がない方がよさそうですね。

では、また(^.^)ノ