新型コロナワクチンの大規模接種や職域接種に主に使用されるワクチンはアメリカのモデルナ社のワクチンです。
さて、今回はモデルナの名前に秘められた意味とワクチンのガセネタについて少し学んでみましょう。
モデルナ社
モデルナってアメリカの会社なのにヨーロッパ系の人の名前っぽく聞こえますね~。
はい、実は人の名前ではないんです。この名前には深い意味があるんです。後ろの3文字を大文字に書き換えると(下記)わかりやすいですが・・・
morernaは実は元々、mRNAの1種であるmodRNAを治療に応用(薬やワクチン)するために2010年に設立された会社なのです。
mRNA(メッセンジャーRNA)は今回のワクチンで有名になりましたが、生物の授業で習った人もいるでしょう。簡単に言えば、遺伝子の”設計図”です。この設計図を細胞内に入れることで、その細胞内で標的のタンパクを生成することができます。
この方法は、今回のワクチンのほかにも、心筋組織の再生や癌治療の研究も進んでいます。モデルナ社はmodRNAを用いた薬やワクチンを作る会社といえます。
mRNAワクチン
モデルナは2010年設立時からmRNAワクチンなどの開発を主に行っていました。
mRNAワクチンはいままでの不活化ワクチンなどと違い、人間の細胞を工場として利用する為、設計・製造のスピードが格段と早く大量生産に向いています。
また細胞内で抗原(←感染しない)が作られるので、細胞性免疫と体液性免疫の両方を働かせることができるので効率がいいのです。
ゆえに、効果は高いのですが、それゆえ発熱や倦怠感の副反応が過去のワクチンより出やすいです。
また、mRNAというのは非常に壊れやすいので、超低温での管理が必要となります。体内では数時間ほどで代謝されてしまいます。注射後にすぐに消えてしまっては抗体産生が心もとないなので、ゆっくり代謝されるためにも脂質ナノ粒子(PEGなど)で包んでいます。いずれにせよ長期に体内に残りません!
この、PEGというのは下剤とか化粧品、歯磨き粉に使用されている物質です。女性にアレルギー反応が起こりやすいのは化粧品使用の影響も指摘されています。
拡散される誤情報
有効率が高いのはよく耳にしますが、安全性の問題が騒がれています。SNS上などで見かける『ワクチン拒否します』なんでいちいち人様に宣言するのか意味わからんけど(笑)強制でなく希望性です!
ま、それはさておき、ネット上でワクチンにまつわるフェイクニュースがあふれています。
ロシアや中国が組織的に誤情報*1を広めていることもわかっています。そりゃ、彼らもワクチン作ってるので、ファイザーらを蹴落とすためです。
ワクチン動物実験で全部死亡
TVに出る有名教授とからが「動物実験で全部死んだ」とか「危険だからファイザー社長が打たない」という嘘をバラまいています。またその信者が多いこと。笑
ファイザーのCEOのブーラ氏は3月にTwitterで接種を写真付きで報告していますよ。
また、新型コロナウイルスワクチンの研究で動物が全部死んだというのも世界中でファクトチェックされており、『誤り』とされています。
猫が死んだ、ネズミが死んだとか主張されますが、それは嘘です。さらに、元ネタになっている研究は2012年のSARSワクチンの研究です。この時はmRNAワクチンは使っていません!実験動物は研究終了後に残念ながら薬で安楽死になります。ま、死んだには違いありませんが、意味が違います。
ソースがネットで見つからなければ信者は「真実を言ったから記事が消された」とおっしゃりますが。笑
いやいやココは日本ですから( 一一 ;;)
ワクチンで流産?不妊?
ファイザーの“元・副社長”とされる人(実際は副社長なんかではなく、一研究部門の副部長、2011年に退職済)が「ワクチンで不妊になる」と言ったってやつですね。これが広まって、残念ながら一部の医師もこれを広めてるという。。
アメリカでは10万人以上の妊婦が接種済みです。ワクチン接種後の妊婦の追跡調査も行われており、ワクチンにより流産が増えることはないと結論*2が出ています。
▼ファイザー”元副社長”の嘘▼
ワクチンでできた抗体が胎盤形成に重要なシンシチンという蛋白を攻撃することで流産になるという説です。1か所だけアミノ酸配列が同じ部分があるらしいですが、コロナウイルスの蛋白とシンシチンはその他は大きく違う構造をしているので、あり得ないというのが一般的な答えです。
ワクチンで不妊になるという話は子宮頸癌ワクチンのときも出てきた偽情報です。そのような根拠はありません。mRNAワクチンがDNAを書き換えることもあり得ません。
まず、知識として、ワクチン関係なく、流産は妊娠7回に1回、死産は妊娠50回に1回あります。ワクチン接種後の妊婦の流産や死産が頻度が高いかどうかで判断されますが、いまわかっているのは『特に確率は変わらない』ということです。
▼子宮頸癌ワクチン▼
アイルランドの教授
陰謀論者はだいたいこういう時に、自分の意見に合う肩書ある人を引き合いに出します。アイルランドの分子生物学者ドロレス・カヒル教授が「ワクチン接種者は2~5年以内に死亡」と言っていると広めています。
ただ、この人はいまどうなってるかと言いますと、在籍する大学の学生会から「この教授をどないかしてくれ」と声明が出され、大学も対応し、現在は医学部での講義はできなくなっています。
実はこの人、政治団体の長でもあり、ロックダウン反対運動や「マスクでIQが下がる」などというマスク不要論者です。結局政治活動と連動しているんです。
子宮から出血して死亡
日本で40代の女性が接種後に子宮から出血があって死亡したと報道されてましたね。ただ、これ間違いです。
この方の死因は出血ではなく、肺塞栓*3です。子宮腺筋症というもともとの持病の合併症で静脈血栓が起こるのですが、それが肺動脈に詰まった、いわゆるエコノミークラス症候群です。
ニュースがあたかも接種後の出血で死亡したかのように書いていますが。
ただワクチン接種後に生理が少し重くなったという人もアメリカで6000人ほどいるそうです。中には閉経後に一度生理がきたという人も。
ワクチン接種による炎症により一時的な出血や生理不順を起こすことは考えられるという免疫学者*4もいます。
長期安全性は不明
短期の安全性は世界中からデータが出てきています。問題とされるのは長期の安全性です。
こんなのもありましたね。まずあり得ません。mRNAはただの設計図で、そもそもDNAとも関係ないですしDNAが書き換えられることはありません。
さっきも書きましたが、mRNAはすぐに代謝されます。長期に体内には残りません。
ただし、いまわかってない現象がかなり後でわかる可能性はもちろんあります。
でもスマホだって、脳への電磁波の影響で脳腫瘍になるという主張もありますがみんな使ってますよね?笑
結局はいまわかっていないことを元に議論してもしょうがないので、まずはその時にわかっていることで判断するしかないのです。
さいごに
最終的に打つか打たないかは本人の意志です。日本の状況は「さざ波程度」なので、余計に迷います。
問題なのは、判断するうえでちゃんとした正確な情報を得られるかというところです。
あなたの情報源は確かですか?医師で誤情報を広めてる人がいるのは本当に不誠実だと思いますが、残念ながら一定数いるものです。
情報があふれる時代は取捨選択の情報リテラシーが重要となります。
尚、やっぱり不安が多いという人は接種はあまり勧められません。プラセボ効果が起こりえるからです。また、恐怖から迷走神経反射を起こし倒れることもあります。あ、これはアナフィラキシーじゃないですよ(笑)
新型コロナウイルスのワクチン、副反応の原因には「不安」も(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース
では、また(^^♪
*1:https://www.reuters.com/world/china/russia-china-sow-disinformation-undermine-trust-western-vaccines-eu-report-says-2021-04-28/
*2:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/recommendations/pregnancy.html
*3:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.html
*4:https://news.yahoo.co.jp/articles/e66574b2e46e18f991eea8878eb7c47ca9a021d9