緊急事態宣言が明けてほっと落ち着いていたのに、また大阪や宮城などで第4波と考えられる感染急増が見られています。実はこれは世界的に見ても同じような増加が見られており、この感染症はこういう増減のサイクルを繰り返すということを理解する必要があります。
あの県のこれがよかった、悪かったという狭い視野(ミクロ)ではなく、世界的に見てどういう状況(マクロ)なのかという視野が一番重要です。
▼マクロとミクロについて▼
今回は新型コロナについて1年以上かけてわかったことを含めてさらっと復習してみましょう。
正式名称は
新型コロナウイルスと一般に言われますが正式名称はSARS-CoV2と言います。と言うのも、2003年に中国で発生したSARSの原因ウイルスの姉妹と考えられているからです。
▼なぜいつも同じ国で発生するのか▼
中国南部などはいまも放牧スタイルで、色々な家畜が一緒にいることで変異が起こりやすいんですね。詳しくは上の記事を読んでください。
話は戻って、このSARS-CoV2による感染症をCOVID-19と呼ぶことに決まっています。ウイルスの名前と疾患の名前で分けているのです。
一部では武漢ウイルスやChina Virusと呼ばれることもありますが、WHOは差別になるので地名を入れるなと言いました。えっ、日本脳炎は?スペイン風邪は?英国変異株は?WHOは何に忖度しているのでしょうか(笑)
▼WHOについて学ぼう▼
ヒトコロナウイルス
コロナ(corona)というのは光冠と言う意味で、周りにトゲトゲ(スパイク)が見えますよね、これが冠に似ているからこう名付けれました。
ウイルスは遺伝情報のタイプによりDNAとRNAの2つに大きく分かれます。コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じでRNAウイルスと呼ばれるものです。RNAウイルスの特徴は”不安定さ”です。それゆえ、変異が起こりやすいのです。
コロナウイルスはたくさん種類があり、鳥や哺乳類(コウモリ、ラクダなど)に感染するものもあります。ヒトに感染症を引き起こすものをまとめてヒトコロナウイルスと呼びます。一般的な風邪のウイルスの1つで、4種類がヒトに感染します。
21世紀に入って、動物からヒトに感染し、重症な肺炎を引き起こすものが出てきました。2003年のSARSウイルス、2015年のMERSウイルスです。そして、今回2019年に出てきたのがいわゆる”新型コロナウイルス”でということです。ヒトに感染する7つ目のコロナウイルスです。
新コロが厄介な理由
SARSやMERSは終息に成功しましたが、今回の新型コロナウイルスに世界が手を焼いているのは、症状出現のタイミングと感染力なんです。
インフルエンザなどをイメージしてもらうとわかりますが、感染すると体内でウイルスがどんどん増殖して、ついに発症するわけです。発熱や、咳や倦怠感です。そして、そのタイミング以降が他人に移しやすいんですね。だから、診断がついたら家で寝て外に出なけりゃ他人に移さないんです。
今回の新型コロナはまず致死率が低く弱毒です。で、こいつは症状が出るタイミングよりも前に他人に移しうるんです。つまり発症前患者が感染を広めています。厳密にはこれは無症候感染とは違います。
当初は8割が無症状とか言われていましたが、今は最初から最後まで症状がない人は2割程度ではないかとされています。また、無症状陽性者は感染させない、または感染させにくいという研究結果も出てきており、ま、当然ながら、症状のある患者が主に広めるわけです。
要は、無症状のうちに感染を広めて、数日後に発症するというこの特徴に世界中が手を焼いているのです。
▼無症状陽性者は感染を広めない?▼
変異について
変異株なんて言葉をよく耳にしますが、専門家の中には「変異体」と呼ぶべきだという意見もあります。ま、専門的なので流します。
コロナウイルスは不安定なRNAウイルスなので変異が頻繁に起こります。現在流行している新型コロナウイルスも月に1~2か所の変異が起きているといわれています。
しかし、これはRNAウイルスの中では変異の速度は遅い方のようです。変異が遅いというのは、ウイルスが少し”高性能”であるということです。ウイルスを複製するときにエラーが起こる(これが変異)のですが、そのエラーを修復する機能が搭載されているので、他のRNAウイルスよりは変異速度は遅いようです。
世界中で広がっているのでたくさんの変異がどんどん出てきます。その中でも、感染しやすくなったり、ワクチンが効かなさそうだったり、死亡率が上がるような変異体がいまよく言われるイギリス型とか南ア型、フィリピン型というものです。
ワクチン
2021年4月現在では日本はファイザー社のワクチンのみ承認をしています。日本では昔からワクチンや新薬への不信感が強く、国内で治験を終えたものしか承認しません。
韓国でアストラゼネカがどんどん打たれて一時は「日本を追い越した」というニュースもありましたが、あれは瞬間風速で、今は日本の方が多いです。(105万回 vs 89万回)
また、韓国は日本のような厳しいルールがありませんので、COVAXという主に発展途上国向けに準備したワクチン購入プログラムで調達したアストラゼネカワクチンで接種を開始しました。
▼日本でワクチン接種が遅い理由▼
しかし、アストラゼネカワクチンは血栓症の報告があったりで、欧州などの一部の国では接種が一時中止されたりもしています。(後述)
アストラゼネカワクチン
アストラゼネカのワクチンについては、色々と話題が事欠きません。はじめは65歳以上には安全性が確立されていないと言われたり、今は60歳未満は血栓症のリスクが上がるため、ドイツでは推奨しないとしています。
アストラゼネカのワクチンは無毒化したアデノウイルス*1を運び屋として利用するワクチンです。ファイザーやモデルナのようなmRNAワクチンのような新技術ではなく、安く*2作れて、冷蔵庫保存でよいというメリットがあります。
しかし、有効率は70%程度とされ、95%近くあるmRNAワクチンには劣ることと、血栓を作る可能性があるという懸念が出ているのが問題です。
血栓問題については、欧州の規制当局やWHOも調査を行い、ワクチンとの関連性はなく、ワクチンにより血栓発症率も上がらないと声明を出しました。それ以上に、ワクチンのもたらすpositiveな効果の方が大きいとしています。
日本では5月以降の承認にとなり、国内の工場で製造されることも決まっています。
結局ワクチン
イスラエルはかなり早期から高速でファイザー製のワクチンを打ちまくり、人口の半分以上は接種を終えています。これはファイザーに接種後のデータをすべて提供し、世界に公表するという代わりに優先的にワクチンを入手できたからです。
その高速のワクチン接種により、高齢者で、人工呼吸を使うような重症例が6~7割減ったことが報告されています。また、同じファイザーワクチンでアメリカのカリフォルニア大学が行った研究では、ワクチンを2回接種して2週間以降では新規感染は0.025%というものすごく低い数字でした。
同研究内でワクチンの効果がない時期*3に感染した人が1%弱なので40分の1程度になるということになります。これはすごいですね。
現在、多数の国でまた新規感染者が増えています、日本だけではありません。つまり、緊急事態宣言や”まん防”ではなく、結局はワクチン接種がコロナ終息への手立てになることを再認識する結果と言えるでしょう。
それまでは、私たちも自分でできる限りの対策を粛々とするだけですね。
では、また(´・ω・`)ノ