相変わらずコロナウイルスが世界中で猛威を奮っていますね。
日本は現在RT-PCR検査の数が韓国と比較して少なく、発表された感染者数が少ないことで世界からも「隠蔽してるのでは?」と書かれたりしていますが・・・
正直、”陰謀論”を話したところで誰も証明できません。
今回は日本政府の立場と、現状を数字を使って見ていきましょう。
重要なことなので英語バージョンも同時公開としています。
▼英語バージョンはコチラ▼
世界の感染者数
2020年03月31日(午前)時点での世界での感染者数を見てみましょう。
アメリカがダントツで1位の感染者数で、イタリア、スペインと続いています。こうやって見てみると、日本は世界と比べても感染者数が圧倒的に少ない方です。
続いて死亡率を見てみましょう。感染確定した患者のうち何パーセントの人が亡くなったかです。世界平均は計算すると4.80%でした。赤字にしたイタリア、スペインは圧倒的に世界平均を超えています。
これは医療崩壊により対応できない患者が多いからでしょう。
RT-PCR検査数
日本のRT-PCR検査数を見てみましょう。わかりやすく韓国と比較しています。
これは3月30日現在の数字です。
韓国は日本の約15倍もRT-PCR検査を行っています。約40万件の検査数になります。検査を受けた内のRT-PCRで感染が確認できた割合は日本では6.84%、韓国では2.44%となっています。
この数字で言えることは日本はターゲットをなるべく絞って検査をしているということです。
日本のやり方はネズミ捕りに近いと思っています。全数捕まえるのではなく、ひときわ目立つのを捕捉してチェック。一方、海外で推奨されているやり方は全数把握としていわゆる検問式ですね。
検査数にまつわる陰謀論
検査数が少ない日本ではもっと本当は患者がもっといるのではないか?など色々言われています。
さて、これは本当でしょうか?
正直、安倍総理や政府の胸の内は誰にもわかりません。陰謀論は本当かもしれませんし、嘘かもしれません。
世界保健機関(WHO)は韓国のように検査を可能な限りたくさんやることを推奨しています。日本の現在のやり方はそれとは違っています。
まず、今回のコロナウイルス感染症(COVID-19)では命にかかわる重症な人は一部(2割)で過半数(8割)は軽症または無症状であることがわかっています。
日本の方針は限りある医療資源を用いて重症を助ける方針です。要するに症状の軽い人はなるべく自宅安静で、重症で医療介入が必要な人の救命を優先するというやり方です。
日本でのRT-PCR検査での目的は、国内の感染者総数を知ることではなく、重症者を発見し命を救うこと、またクラスターを発見することです。
ここが他国と考えが違うため、陰謀論まで出ているところです。
日本の医療体制の実態
一般的に肺炎(細菌性だろうがウイルス性だろうが)の治療をするとき、重症な肺炎には日本ではすぐにCTを撮ります。これが今回のコロナ肺炎の診断に役立つという論文も出されています。
日本は世界で一番CTが多いんです。1万人あたり1台のCTがあります。アメリカでは4万人に1台です。このCTでパッと撮って、怪しければRT-PCR検査をすればいいですね。
日本人の感染者数がイタリアやスペインのように爆増しないのは検査していないからだけではないでしょう。
重要な要素として病院のベッド数です。日本は世界で一番病院の数が多いです。8500ほどの病院があります。2位のアメリカでも5500ほどです。つまり入院できる数が多いんです。人口比率を考えると日本はアメリカの3倍弱の数の病院があるということです。
それと、もう一つ「当たり前」となっている国民皆保険です。このおかげで、誰もが低額で医療にアクセスできることが重要です。これにより日本人全体のベースの健康状態がある程度保たれていることも重要なファクターです。
ここ最近言われているBCGについても、たしかに日本人はみんな受けてますよね。ただし結核に対する効果は15年ほどといわれてます。結核以外にも自然免疫を高めて効くというオフターゲット効果で、コロナウイルスの肺炎を重症かさせないのではないか?という説もあります。
▼BCGについてはコチラ▼
日本人の習慣
これはよく言われていますが、日本人にはハグの文化がないことから、他人との距離がそれほど密になりにくいことも感染拡大がイタリアなどより少ないのではないかと言われています。
もう一つは、日本人が毎年インフルエンザに備えて冬になると、手洗いをしっかりし、さらにマスクをつけるという習慣です。
マスク自体のウイルス侵入の予防効果は少ないとされますが、感染者が他人に広めないという効果はあります。また、マスクをすることで加湿効果があり、喉の粘膜を保護することも感染予防につながります。
私見
さて、では日本は感染者を隠蔽しているのでしょうか?そしてやり方は間違えているのでしょうか?
「隠蔽」という意図的なことはないと思います。ただ、検査数を制限しているので実際の”感染者数”はもっともっと多いのは現実です。
また死亡は戸籍で管理されてます。なので操作できません。
『検査せずに他の疾患で死んだことにされているのでは?』という指摘もあるでしょう。しかし、重症肺炎であって、いまの時期に医師が怪しんだら絶対調べてます!
医師だって看護師だってコロナウイルス移りたくないですもん!当然!
なので、この指摘は可能性は低いです。
もちろん国が報告数を変えてたらもうどうしようもないですが(笑)そこは日本を信じたいところですね。
コロナウイルスに感染したときの決まった治療法はありません。特に軽症の場合は、自分の免疫力で回復するのを待つのみです。その間に他人に移さないように”隔離”することも重要で、その意味では自宅安静は被害を最低限に抑えられます。
また、検査をしてほしいと感染の可能性がある人が病院に来ることも困ります。病院の外来には高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある患者さんがたくさん来ています。
その人たちにウイルスをまき散らかしたらその人たちは重症化しやすいです。
以上から、僕自身は日本のやり方は批判されるほど間違っているとは思っていません。限りある医療資源で、なるべく多くの人を救うという明確な目的があります。
これを伝えきれてないことが理解を得られにくい理由でしょう。そしてワイドショーなどのコメンテーターたちの感情的な政府批判なども不安を煽って、国に対する不信感だけを募らせていると思います。
何よりも日本人の「このくらい大丈夫」「私は大丈夫」という平和ボケが一番怖いです。
以前やりましたがMERSのとき韓国で感染が広がったのはこのような勝手なふるまいをした人たちのせいでした。
▼SARSとMERSについてはコチラ▼
▼COVID-19についてはコチラ▼