マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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コロナ禍の経済はどうなっているか?

韓国のいわゆる”元・徴用工問題”で、8月4日付で公示送達の効力が生じました。簡単に言うと、日本製鉄の韓国にある資産を差し押さえてそれを売却し現金化して元・徴用工の原告に渡すというステップが動き始めたということです。

呆れてますが。。ま、徴用工問題については、近いうちに記事にまとめます。

さて、今回も英字記事を使って時事問題を学びましょう。

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コロナ関連の倒産

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NHK world より一部引用

今回は『倒産する』という表現をまとめて学びましょう。倒産はbankruptcy、倒産するは go bankrupt はみなさんご存じでしょう。

せっかくなので他の表現も覚えておきましょう。上図にまとめてあります。本文で使われている go under は実は僕も初めて知りました(笑)

あと名詞のbankruptcyを用いて、go into bankruptcy という言い方もできます。

 

GDPの低下

早くも新コロさんと半年以上の付き合いになったわけですが、経済の指標GDPを見るときに3か月ごとの数字を使って傾向を見ます。現在はすでに1-3月が出ており、4-6月は8月17日に出される予定です。

しかし、民間の調査会社らが計算し大まかな予想がされています。

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GDP成長率

前期比というのは前の3か月数値と比べてどのくらい成長したか、年率とはそのペースが1年間続くとどうなるかを表しています。自粛期間中のまま推移したら今年は-28%近くなる可能性もあるという試算です( ;∀;)

ちなみにリーマンショック(2009)の1-3月期は年率で-17.8%でしたからもっとすごい経済影響であることがうかがえます。

もちろん7月以降は経済活動再開しているので、2020年が終わった時に昨年と比べて-28%とかにはなりません。先日、政府が2020年度の実質GDP*1の予想として-4.5% と出しています。

GDPについてはコチラ

www.multilingual-doctor.com

 

世界のGDPは?

さて、他の国はどうでしょう?アメリカが7月30日に発表した4-6月期のGDP成長率は、前期比で-9.5%、年率で-32.9%と史上最大のマイナス成長を記録しました。

他の国に関しては、韓国のハンギョレ新聞が記事にしていたのでそこを少し引用させていただきますと以下のようになります。

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4-6月GDP成長率

ハンギョレ新聞と言えば、文在寅大統領推しの新聞で、保守派の東亜日報とかと対立しているのですが、主要国からちゃっかり日本を除いているところが、「らしい」ですね。笑

ま、それはさておき、中国だけこの期間プラス成長している点に注目ですね。中国は1-3月期で記録的な-6.8%でした。その後、感染は落ち着き経済活動を戻し、1-3月と比して11.5%の成長です。つまり、ザックリ計算すると実際は以前の+3.9%の成長といことですね。

それでもすごいですね、この世界的な不況下でプラス成長とは。。笑

マスク外交も効果あったのですかね、知らんけど。笑

 

失業率と自殺

日本の6月の完全失業率2.8%、アメリカは11.1%でした。日本も倒産が増えていることから今後失業率も上がってくると予想されています。(ものによれば5-6%という予測もある)

日本では、慣習的に簡単にクビにできないから、世界的に見て失業率は低水準なのだそうです。

実はこの失業率と自殺率というのはよく似たカーブを描くことがわかっており、完全失業率が1%上がれば、自殺者が4000人以上増えると言われています。

つまり日本の完全失業率が5%(+2.2%)になると、8000人以上の自殺が増えることが計算されるわけです。

ちなみに日本では毎年2万人程が自ら命を絶っています。今のままで新型コロナでの死者がその数を超すことはなさそうです。

 

死者を減らす方針

新型コロナの日本の方針は重症者を救い死者数を少なくするという方針でした。

現在新型コロナで亡くなった方は1000人ほどですが、過度な自粛を続ければ 上記のような"経済死" が増え、当初の「死者数を抑制する」に矛盾してしまうのです。

政府が緊急事態宣言をしぶる理由はここにありますね。

今、陽性者数が増えていますが、重症者や死者が春みたいに増加していません。

5月は一時は重症者数は300を超えていましたが、現在は全国で87人となっています。

もちろんチラホラ増えてきているのですが、それでも春先と比べれば圧倒的になだらかなペースだったり、重症から回復する例も増えています。医療側もだいぶわかってきたことが多いですからね。

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重症者はなぜ少ない

重症が少ない理由は、陽性者の7割が20-30代で重症化のリスクが低いからです。ただ、最近、ここから家庭内感染などで70代も増えてきていますので注意してみる必要があります。

毒性が弱まったというのはイタリアの医師も言ってましたが、現時点では証明できず、過信するのは危険です。

ただし、一般的にウイルスは感染力が強まると毒性が弱まるのはよくある話ではあります。感染者が死んだらウイルスを広められないですから、そういった毒性の強すぎるウイルスは長く残らないんですね。

 

感染者と陽性者

TVでは「感染者」とされていますが、厚生労働省や東洋経済オンラインや、良識のあるごく一部のメディアでは『陽性者』と書いています。(笑)

毎日出ている数字は正しくは陽性者であって、感染者ではありません。

微々たる差と言えば、確かにそうですね。(笑)ま、せっかく読んでいただいてる方は教養として違いも知ってください( (^^♪

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感染者と陽性者は違う

重要なのは感染というのは、ウイルスや細菌が付着するだけではダメなんです。そいつらが体内に入り込んで増殖することが定義になります。

空気中にはあらゆる種類の細菌・ウイルスがいますので、私たちの鼻の奥の粘膜には普通に引っ付いてますよ。それをたまたま拾ってきてRT-PCRで増幅されて陽性となった場合も”感染者”とされうるわけです(もちろん多くはないでしょうが)
また、別のウイルスによる肺炎であっても、コロナのPCR検査が陽性ならばコロナ肺炎とされてしまうわけです。(実際コロナが悪さをしているかは不明でも。)

なんとなく、違いはわかりましたか??

指定感染症

日本のような自由過ぎて人権、プライバシーが保護されまくる国では「経路不明」がどんどん出てきます。

韓国や台湾は追跡がすごい

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そんな日本のシステムでPCRを無症状の人をどんどんするのはメリットがあるのか、僕は疑問です。結局自己申告に頼るので経路不明が増えてみんな不安になるだけで、濃厚接触の可能性のある人も探すのが困難。日本のシステムでは有症状と濃厚接触者に限定すればいいと思います。有限資源の無駄遣い。

陽性者の隔離の問題も出てきています。最近、『指定感染症を外せ』という意見を見かけますね。これについて少し・・・

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感染症法

日本の感染症法では1~5類に分類され、その法の下、隔離などの措置が取れるわけです。もともと日本国憲法下では人を隔離することは許されませんからね。人権問題。

季節性のインフルエンザ5類という一番下に属しており、クリニックで検査して、陽性数を報告するだけでいいです。解熱後数日の自宅待機して終わりですね。

初めのころ新コロはよくわかってなかったからSARS、MERSに倣って2類になりました。これにより、検査で陽性となったら原則入院隔離となりました。

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指定感染症の経緯

これによる弊害があるのも事実で、一般のクリニックなどで診察できなくなったのです。これで、たらい回しに近いことも起こります。

また、無症状・軽症が多いことがわかり、原則入院のままでは医療崩壊になるため、やや制限を緩和し今はホテルや自宅療養も認めるようになりました。

日本では毎年、インフルエンザで3000人、関連死も含めると1万人が亡くなる中で、新型コロナの死亡者数は少ないので、それならばこの指定感染症を外した方がスムーズな医療になるんじゃないか?というのが今言われているものですね。

インフルエンザと同じ5類にすればよいという意見もありますが。インフルエンザのような簡易検査キットがないので結局クリニックでは検査できません。

いままだ、落としどころが見つかっていないので現状維持にしているのでしょうか。

 

法律って難しいもんですな~

では、また(^^♪

*1:物価の変動による影響を取り除いて計算したGDP