マルチリンガル医師のよもやま話

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『タイで性転換手術』なぜ??

「タイで性転換手術受ける」

こういう話はたまに聞きますね。昔から疑問だったのは、なぜタイはそんなに性転換手術が盛んなのか?

今回は、タイと性転換手術について学んでいきましょう*1

性転換手術産業

タイでは何十年もかけて、多数の性転換手術を行ってきた実績があり、その地でトレーニングされた有能な医師による手術を、安価な医療費で受けられるため人気があります。

ま、韓国の美容整形みたいなもんですね。

タイでの性転換手術

記事に出てくるアメリカ人医師によると、タイでの性転換手術の費用はアメリカの相場の1/3くらいだと。

だから、先進国ではないけれど、世界中の多くの国から手術希望者が集まると。

自身も、性転換手術のトレーニングにタイの有名病院で1年間修行したといいます。

トランスジェンダー界隈では、性転換手術ではなく『性別適合手術』と呼びます。つまり、本来の自分の”性”に体を適合する手術というわけです。

医療ツーリズム

この性別適合手術は、年々数が増えており、タイの医療ツーリズムの重要な収入源となっているのです。

近年、タイは国を上げて、医療ツーリズムに力を入れており、毎年200万人以上がタイを訪れ、1400億バーツ(約6800億円)の収益をもたらしています。

LGBTQが増えている

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ツアーパック

タイの性転換手術の第一人者は、プリーチャ医師です。

彼は1975年にタイで初めて性転換手術を行いました。そこから、現在のような医療ツーリズムにつなげるべく3つの宣伝を作り上げました。

1)格安 2)良好な結果 3)おもてなし 

タイの性転換手術3原則

プリーチャ医師が開いたプリーチャ美容医療院では、週に2~3件の性転換手術が行われています。

過去30年では、3500以上の手術をしています。

顧客の9割は外国(中国、中東、豪州がメイン)から来ています。

公に得られるデータはないものの、現地の医師らのは話では、タイには性転換手術の専門医が100人以上おり、20以上の医療施設が性転換手術を提供しています。

性転換手術ツアーパックは、手術などの医療費とホテル宿泊費、マッサージに市内観光ツアーもついて9770ドル(約150万円)から提供されています。

需要の爆増

ロンドンで1000例以上の性転換手術を執刀した泌尿器科医は、タイの性転換手術を称賛しています。

「評判もよく、安全で、満足度も高い。それがタイの性転換手術だ」

世界的にLGBTQの認知が進み、性転換手術を希望する人が急増しています。ロンドンの施設では平均して1年4ヶ月待ちだと。

需要の爆増

精神心理学の専門家によると、インターネットの普及により、たくさんの情報を得られるようになった中で、「もしかしてワタシ・・・」と気づく機会が増えたことが1つの理由だといいます。

また、社会全体としてマイノリティーへの理解が進められ、「実は・・・」を切り出しやすくなってきたことも、この急増に関係していると。

様々なメディアで取り上げられるようになると、人々の誤った先入観「トランスジェンダーはホームレスでクスリをやってる異常性癖の持ち主」が払拭されるようになってきていると記事には書かれています。(そんな先入観なかったけど、僕。。。)

急増するLGBTQの背景

こうして、LGBTQを自認する人たちが急増すると、それに伴い、「本当の自分」に合わせる”性別適合手術”の希望者も増えているのです。

そんな中で、長年の実績があり、格安で安定した技術のタイで手術を受ける人がどんどん増えてるというわけですな。

カトゥーイ

ところで、よく考えるとなぜタイでは長年の実績があるのでしょうか?

理由は元々需要が多いから、件数が多くて、腕のいい医師がどんどんできたからです。

では、なぜ需要が多いのでしょうか?

タイでは昔から第3の性としてカトゥーイという物が存在しています。

男として生まれたけど、女性のマインドを持っているというものです。

第3の性の存在

オセアニアでは”第3の性”ってよくあったみたいで、サモアのファファフィネなんかも有名ですね。

男のばっかりの家庭では、家の用事をする女の子が欲しいから、末っ子を女の子のように育てると、筋力は男のなので重宝されるとか。

もちろん、本人の意志でファファフィネになる人もいますしね。

つまり、仏教国で寛容な国・タイではカトゥーイという存在が受け入れられており、その下地があることも重要なファクターです。

出家と徴兵

あと、もう少し踏み込んでみましょう。

日本なんかと比べ物にならないくらい、しっかりした仏教国のタイ。

日本では”葬式仏教”?

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仏教国タイでは成人男子は1度は出家し、親への恩と感謝と幸福を祈るという文化が残っております。

男性はみな成人すると”出家”しなければいけません。

日本の出家のように、一生ではなく、長くても3か月くらいの出家ですが、出家式というイベントも行われたり、重要な儀式です。

もう一つ、タイには徴兵制があります。

TVで見たことあるかもしれませんが、くじ引きがありまして、陸軍入隊・空軍入隊・海軍入隊・徴兵免除の4つになります。

だいたい徴兵の確率は20%くらいだそうです。8割の確率である黒を引けば免除です。

いいですか・・・

そろそろおきづきでしょうか?

 

はい、出家と徴兵制は男にだけあります。しかし・・・免除される男もいます。

そうです。カトウーイなどのトランスジェンダーです。

徴兵の際は、性転換手術がなされていれば免除です。

 

つまり・・・

 

 

では、また(^^♪