マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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13歳未満で携帯を持つと

最近では小学生からスマホが当たり前?となっていますが、それに関しては色々と心配な意見も多いです。

今回は、中学生になる前にスマホを持つ子供たちに関する大規模研究*1の結果から学んでみましょう。

スクリーンタイム

まずは、既に一般的に言われていることを確認しておきましょう。

テレビやスマホ、タブレット、ゲーム機などの画面を見る時間をスクリーンタイムと言います。

幼児期のスクリーンタイムが、こどもの精神発達の遅滞など悪影響があることが指摘されています。

スクリーンタイムとは

特に赤ちゃんのうちから親のスマホやタブレットでゲームやyoutubeに興じると、言語発達面でコミュニケーション、集団生活への問題が出ることが指摘されています。

どうやらスクリーンタイムが長いと、前頭葉の発達に遅れが出やすいようです。

前頭葉は思考や感情のコントロールと言った、人間らしさを司る重要な部位です。

また、それ以外にもスクリーンタイムが長くなると、親子でのコミュニケーションの時間が減り、近くで物を見ることで視力への影響なども指摘されています。

10万人以上

それでは、今回のご紹介する研究についてみていきましょう。

アメリカにあるNPOが主導する Global Mind Projectというグループが行いました。

世界各国から18〜24歳を10万人以上が調査対象になりました。

研究の目的としては、スマホの所有年齢とメンタルヘルスの関連性を調べるというものです。

13歳未満でスマホを所有すると

その結果として、中学生になる前に(13歳未満で)スマホを持ち始めた層では、顕著な結果が現れました。

項目としては、これらの層では、大人にになってから・・・

感情のコントロールが難しい、 や 自己肯定感が低い、また危険な『自殺念慮』などが他の層と比較して有意に高かったのです。

自殺念慮

自殺念慮は他に希死念慮とも言いますが、ざっくりと「◯にたい」と考えることです。

データとしては自殺する人のほとんどの人(85−95%)はその時点でうつ病などの診断が既についていると言われています*2

つまり、今回の研究をさらに現実的な目線に持っていくと、小学生からスマホを持っているとうつ病などの精神疾患になりやすいとも言えるわけです。

スマホ所有年齢と自殺念慮

また、この研究内でわかったのは、小学生になる前後(5−6歳)でスマホを持ち始めた女性の48%が「自殺を考えたことがある」と回答しています。

一方で、13歳でスマホを持ち始めた女性の28%が「自殺を考えたことがある」と回答しており、早く持てば持つほどその傾向が大きくでることもわかりました。

スマホ所有年齢と自殺念慮②

男性の場合では、小学生前後(5−6歳)でスマホを持ち始めた人の31%、13歳で持ち始めた人の20%で自殺念慮が見られています。

女性よりは低いながらもやはり、早く持てば、その傾向が強いのは同じです。

ちなみに、生涯でのうつ病の有病率は人口の7.5%と言われています*3ので、それを考慮するとかなり高いことがわかります。

MHQ

研究では、MHQ(メンタルヘルス指標)というスコアも調べております。

人生におけるストレスや困難に対処する能力を示す指標で、数値が低くなれば心の不安定さが強まるというものです。

この点数を見ても、早い年齢でスマホを持ち始めると、MHQは圧倒的に低くなるということもわかりました。

スマホ所有年齢とMHQスコア(論文より引用)

これらの結果の解析からは、早い年齢でスマホを持つほど、女性で自己像や自尊感情、感情の回復力が損なわれていました。

一方で男性は、共感力や心の安定感が損なわれていることがわかりました。

面白いことに、これらの結果は人種差がなく、同様の結果が得られたのです。

こうしたことから、今回の研究者らは、13歳未満でのスマホの所有は、早けれ早いほど、精神発達に悪影響を与える可能性が高いと懸念を示しています。

SNS

スマホを早く持つことで、このような影響が出るのはなぜでしょうか?

一つ説として、このように説明されています。

若い子が、早いうちにSNSにアクセスすることで、オンライン上での”いじめ”や”仲間外れ”などに遭うリスクが高まるという点です。

オンライン上でのいじめなど

若く、まだ自分を客観的に見る能力が低いときに、何気なくSNSで自分の写真を上げたり、ふざけた動画を上げたりすると、それが批判されたり、実生活では接することのない価値観の違う人たちからの攻撃を受けるなどがあります。

また、夜間もtiktokばっか見てるとか、ずっとインスタライブしてるとかで、睡眠不足などや、家庭内で家族とのコミュニケーション不足なども、心の成長にストップを掛けているのではないかと説明されています。

さいごに

今回の研究では、スマホ所有年齢が早いほど、メンタルヘルスによろしくない影響があるという『関連性』を示しました。

もちろん、これだけではまだ「スマホが原因」とは言い切れませんが、現時点から注意するに越したことはありません。

研究者らは、これらの結果を踏まえて、スマホを利用について子どもたちへの制限や条件をつけることを提言してます。

また、スマホやSNSとの付き合い方についても、しっかりと教育するべきだと言います。

 

子を持つ親としては色々考えさせられる研究ですね。

では、また(^^♪