過去にも何度も記事にしている通り、若年性大腸がんをはじめとし、50歳未満で「がん」を患う人がここ30年くらいで急増しています。
原因についても、超加工食品などの添加物や環境物質などにより体内で慢性炎症が起きていたり、腸内細菌の乱れだったりが言われています。
そして今回、アメリカ・ハーバード大学の医学部からまた新しい説*1が出てきましたのでご紹介いたします。

啓発活動
「がん検診を受けましょう」
「がんにならないために運動を」
「食事に気をつけましょう」
何十年も続けられたこうした啓発活動により、50歳未満のがん患者の死亡率は30年前と比べ半分になっています。
もちろん、医療技術の発展も大きいでしょう。
しかし、死亡率は下がっている一方で、50歳未満の「がん診断」の数はその間に3倍以上に増えており、「高齢者の病気」ではなくなってきたのです。

そうした経緯から、アメリカでのがん検診の推奨も、例えば大腸がんでは45歳から、乳がんも40歳からと引き下げられました。
早期に見つけて治療をすることで、”がん死”を減らす!これは、現代、当たり前となっている考え方です。
ここまで読んでると「ふむふむ」となるわけですが、別の考え方があってもおかしくないです。

”数が増えているからこそ致死率が下がって見える”
要は、今までは見つからなかったような若年での癌が、啓発活動により検診を受けるようになり見つかるようになった。
それにより分母が増えた上に、医療の発展で死ににくくなったから致死率が下がった。
つまり、『急増』しているように見えているだけでは?という見方です。
医療の発展が原因?
1992年以降の、50歳未満で急増する8つのがん(甲状腺癌、肛門癌、腎癌、小腸癌、大腸癌、子宮癌、膵癌、骨髄腫)について調べられています。
これらは30年後の2022年では、それぞれ診断数がザックリ2倍になっていますが、致死率は10万人あたり5.9と変化ありません。
中でも大腸がんは症例数がかなり急増しており、致死率はわずかに上昇しています。
この急増の裏には、虫垂がんがかなり増えていることが影響しているようです。
▼虫垂がんの急増▼
子宮がんに関しては診断数と致死率は並行するように上昇傾向で、これは肥満の増加と子宮摘出の減少のが関係しているようです。
医療の発達で子宮筋腫や子宮内膜症など良性疾患での子宮温存ができるようになったのですが、子宮がないと子宮がんにならないわけですので、温存することで子宮がんの件数は増えるというものです。
▼女性の肥満とがん▼
▼初潮が早まっている▼
甲状腺がんと腎がんは急増している反面、致死率は下がってきています。恐らくは、検査が増えて、今までは墓場まで持っていくような緩徐進行のものが分母に増えたと考えられています。
膵がん、小腸がん、骨髄腫も急増しているけど、致死率は増えておらず、検査の普及により早期発見や偶然発見が増えたと考えられます。
肛門がんに関しては一度増えたものの減少に転じています。
これは、HIVやHPVの動向とリンクしていますので、啓発でこれらの感染が減ったことにより、診断も減っているようです。
▼子宮頸がんを防げ▼
若年性乳がん
今回の8種には含まれていませんが、乳がんは若年発症が増えていることが知られています。
これも小児期の肥満と、環境物質などにより初潮が早まっていることによりエストロゲンの曝露開始が早いことなどが原因として考えられています。

1992年から30年で10万件以上増加しています。しかし、乳がんの致死率はこの30年で半分にまで落ちました。
ホルモン治療や抗がん剤の進歩が大きく影響していると考えられますが、それ以上に、啓発によりスクリーニング検査が増え、初期の乳がんをたくさん見つけるようになったと考えられます。
研究者らは、若年がん発症率の上昇が必ずしも臨床的に意味のあるがんの発生増加を示すわけではないと指摘しています。
つまり、治療しなくていい”がん”を見つけて治療しているのではないかということです。
がんの過剰診断
甲状腺がんや腎臓がんなど一部のがんでは過剰診断が十分にあると研究者らは指摘しています。
甲状腺がんの過剰診断は非常に有名で、若年性甲状腺がんは、放っておいても命にかかわらないものがほとんどだとわかっています。
それを症状のない若い人たちにスクリーニングをして、診断がつくと、本来ならば治療が不要な人にまで手術をすることになり、肉体的・精神的負担だけでなく、医療費の増大につながります。

福島原発事故の後、不安や反原発団体の強い主張によりスクリーニングで子供たちの検査を増やし、小児甲状腺がんを数百人見つけ手術しているのです。
本来なら必要でない手術を受け、『再発』におびえながら生きていく必要ができてしまったのです。
これについては国連の専門委員会も、過剰診断による悪影響に警鐘*2を鳴らしています。
今回の研究では、例えば、急増する若年性乳がんも、検査年齢を早めたりによる過剰診断で増えている可能性があると指摘します。
さいごに
いかがでしたか?
甲状腺がんでは、実際子供の時に既に転移性や浸潤性という”がんの性格”をしっかり備えたものがあっても、途中で成長が止まり、成人後は生命に影響しないということがわかっています。
ここ30年ほどで、若年性大腸がんや若年性乳がんをはじめとして、50歳未満のがん症例が急増しています。
これが、甲状腺がんのように過剰診断によるもののなのかどうかは、まだはっきりしていないのが現実で、「そういう悪さをしないがんも混じっているだろう」というレベルです。
この段階で、スクリーニング検査を減らすのは正直怖い気がします。
一方で、近年の医療費の増大も、働く世代の社会保険料に大きな影響を与えています。
何にどこまでお金をかけるのを許すのか?これが今後政治が決めていくでしょう。
延命治療のお金なのか、超高額な抗癌剤なのか、それとも若年者への検査・治療なのか・・・
では、また(^^♪