マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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朝食神話の裏側を知ろう

朝ごはんは一日で一番重要な食事です!

 

昔からこう言われてきて、一度も疑うことはなかったのではないでしょうか?

しかし、こう言われている背景を知ると・・・*1

色々と考えさせられものです。はい。

『朝食が一番重要』

朝ごはんをしっかり食べないと太りやすくなったり、病気になるなんてまことしやかに言われています。

しかし、実際の大規模な研究からは朝食を抜くことと、太りやすいや病気になりやすいという関連性は不明です。

一応、2020年に出された大規模研究*2では朝食を取らない人は太りやすいとしています。

「朝食を抜くと不健康に」

しかし、それは、そもそも朝食を取る人は『健康志向が強い人』が多いからだろうとしています。つまり、逆を言えば、朝食を取らない人は普段の昼食も夕食もあまり健康に気遣っていない人が多いだろうということですね。

朝食そのものに健康を左右するほどの影響はないだろうと考えるのが普通です。

朝食が重要と言われるようになったのはアメリカでは19世紀末で、それまではそのような言説はありませんでした。

当時、どうしてこのような言説が飛び出したのでしょか?

実はそれにはある会社が関係していました。

アメリカ人の朝食

1800年代までの朝食は、たいていは前日の残り物などをサッと食べるのが普通でした。

その後、が朝食に広がります。鶏は朝に卵を生むので、酪農家が多い当時はその卵を使って簡単な料理を食べるようになりました。

それとともに、簡単に調理できるし、長持ちする保存食ベーコンも朝食に仲間入りしました。

産業革命以前は・・・

19世紀後半になると、産業革命で、人々は酪農業から工場や会社に務めるようになりました。

動き回る量が少なくなると、朝の卵に大量のベーコンが『重たく』なってきたのです。

ちょうどその頃、菜食主義の新興宗教のSDAエホバの証人の親戚?とも)が建てた療養所でシリアルを朝食で提供するようになりました。

セブンスデイ・アドベンチスト

そして、このSDAの信者らが「健康食ブーム」を作り、野菜食と全粒小麦で病気に打ち勝とう!と展開しました。

そしてこうした療養所でできたのが、みなさんおなじみのケロッグです。

エホバの証人

www.multilingual-doctor.com

ケロッグ

ジョン・ケロッグ氏SDAの敬虔な信者で、「自慰は最大の悪」と考える男でした。

そして、その自慰行為をしてしまうのは食事が悪いからであると考え、野菜食と全粒小麦などの健康食で予防できると考えていました。

要は、シリアルやコーンフレークは元々、禁欲させるための食事として作られました。

シリアルは禁欲食として作られた

実際どうなのかって気になりますが、ヴィーガン食の方が性欲が高まる可能性が報告*3されています。なので、シリアルで性欲減退は妄想に近いでしょうね。

ケロッグ氏らは、健康食をつくり、そこに信仰心を結びつけようと画策しました。(ま、日本でも、宗教関連で『自然食品』よく売ってますな、それと同じ)

ケロッグは「健康な朝食を!」のスローガンとともに、当時の人々の意識改革に成功し、シリアルの売上も一気に増えました。

また、20世紀に入ると、シリアルの健康な朝食で仕事の効率・生産性が上がるという宣伝も加わりました。

朝食が一番重要な食事というのはこの頃に出来上がりました。

ちなみに、シリアルが爆発的に売れた背景に、砂糖の追加があります。

方向性の違いから兄弟決裂

砂糖を加えると性欲が高まるので、ジョン・ケロッグは拒否していましたが、弟のウィルは、「美味しくないと売れない!」と方向性の違いから決裂しました。

実は、今残っているケロッグ砂糖を追加して美味しくした弟の会社なのです。

なので、厳密には現代のコーンフレークは禁欲食ではないですな(笑)

ビタミンの発見

1910年になると、ビタミンが発見され、その後、その重要性がわかりました。

すると、1940年頃には、ケロッグは「すべてのビタミンを摂れるシリアル」と宣伝しました。

これで、人々の『朝食は重要』という概念が完全に固定したのです。

朝食は手軽で栄養豊富な物を

ちょうどその頃、世界大戦で、男性の穴埋めとして、女性も労働力として駆り出されるようになると、朝食にサッと栄養価のあるものを子どもたちに食べさせる必要が出てきました。

『母親の義務感・責任感』をうまく利用したマーケティングは成功し、各家庭で子供の朝食はシリアルというのが一般化していきました。

バーネイズ

朝は軽い食事がよく、全粒小麦を使ったシリアルは、手軽に食べれてビタミンも豊富

朝食が一番重要、子供の朝食もシリアル!これがここまでのケロッグの戦略です。

しかし、ここに心理学・PR・プロパガンダの専門家エドワード・バーネイズという男が現れます。

有名なフロイトの甥にあたります。

エドワード・バーネイズ

彼の顧客の中にベーコンを売る会社がありました。そして、バーネイズは動きます。

人間は日中に多くのエネルギーを使うので、朝にシリアルなどの軽い食事は望ましくない!という風潮を作るために暗躍しました。

5000人の医師に、質問状を送りつけ、4500人ほどが、「軽い食事よりも栄養価の高い朝食が望ましい」と回答しました。

ま、今の時代もありますよね、「医師の○○%が推奨」とかいう胡散臭いフレーズ。

それは質問の仕方しだいですよね?笑 低カロリーで質素な食事よりも、タンパク質豊富で様々な栄養素のある朝食が望ましいという設問ならほとんどの医師がYESでしょう。

そういうカラクリですな。

動かされる民心

バーネイズは、この質問状からの医師の回答をもとに、新聞社に記事を書かせました。

しかも、ただのアンケートなのに、あたかも”科学的研究の結果”であるかのように書かせたのも彼の戦略。

その結果、多くのアメリカ国民は、「やっぱりベーコンが&エッグが朝食にはもってこんなんだ」と・・・ベーコンの売上は爆増しました。

広告・宣伝・プロパガンダは恐ろしいもんですな。

注意が必要なのは、「やっぱり昔はよかったんだ」とかいう時代に逆行したことをしきりに主張する人たちです。

もちろん、昔の食事などのが健康的だった部分はあるでしょう。

昔の食事がいい、自然な方がいい、薬は飲まない方がいい、農薬はダメ・・・

必ず裏があります!

さいごに

いかがでしたか?

今回はアメリカで『朝食神話』が出来上がった背景に迫りました。

シリアルがこんなに食べられるのは、ある宗教とその信者の力、そしてマーケティング力がありました。

その後、PRや広告も様々な研究が進み、どうすれば民心に訴えられるかということもみんなが力を入れていきました。

広告はマインドコントロールなのであります( 一一)怖

では、また(^^♪