マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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パイロットの自殺防げるか

飛行機は落ちると死ぬから怖い

子供の時、そう思っていました。

国際航空運送協会(IATA)のデータによると、2024年の航空機事故の確率は100万回搭乗につき、1.13件で、死亡するリスクについては580万便に1回というきわめて低いリスクであることがわかりました。

これは過去にあった痛ましい事故からの教訓を元に、安全性を高めてきたことが実を結んでいます。

しかし、今でもなかなか防げない事故があるのも事実です。今回は、あまり考えたくはないですが、技術が発展しても避けられない事故*1について学んでみましょう。

エア・インディア

残念ながら、パイロットが飛行機を使って、他の乗員乗客を道連れに無理心中を図るケースが存在するのです。

2025年6月にエア・インディアのボーイング787機が墜落し、241人が死亡する事故がありました。

事故の原因は、離陸上昇中にエンジンが停止していました。

機長が意図的にエンジン停止したか

後の調査で機内の音声にて、別のパイロットが機長に対して、エンジンを停止させた理由を問いただしていたこがわかりました。

また、燃料の遮断は自動的や停電などでも絶対起こらず、手動の2段階動作でしかできません。

機長がエンジンを停止させたと報じるニュース*2もあります。

機長は両親の介護をしており、定年間近でしたが、うつ病で治療を受けていることが同僚から証言が出てきたのです。

3年間ほどは休職をしていたこともわかりました。

こうした経緯から機長が意図的に墜落させた可能性が高いと考えられています。

無理心中

パイロットによる乗員乗客道連れの無理心中は過去にもありました。

1997年のシンガポールのシルクエア185便、1999年にのエジプト航空990便、このそれぞれの墜落事故もアメリカの調査機関はパイロットによる無理心中と結論づけています。

記憶に新しい、突然消息を絶った2014年のマレーシア航空370便の墜落事故は、現在も原因は不明のままです。

しかし、有力な説の1つとして、機長の無理心中説があります。

マレーシア航空370便墜落事故

機長は当時の野党党首の遠縁にあたり、彼の熱狂的な支持者でもありました*3。その党首は事件の前日に同性愛容疑で有罪となったのです。

機長は抗議のために無理心中を図ったという説です。

また、自宅のフライトシミュレーターでは1週間前に、事件の日と同じルートを辿っており、予習していた?とも。

いずれにしても、マレーシア政府の対応の悪さや説明の矛盾などが数々の陰謀論を生み出しています。

日航機墜落事故の陰謀論

www.multilingual-doctor.com

他にも、2015年の独・ジャーマンウイングス機は、副機長が機長をコックピット外に締め出して、アルプスに墜落させました。

2022年の中国東方航空事故も機長による無理心中だと考えられています。

メンタルヘルス

自殺の背後にはうつ病などのメンタルヘルスがつきまとうことはよく知られています。

個人的・経済的・対人関係、さまざまな理由でストレスが大きくかかったまま、放置され続けると危険な状態になります。

この医療回避が大きな問題となっているようです。

冒頭で紹介したエア・インディアのあるインドではメンタルヘルスは「個人の弱さ」と見なされる社会的空気があり、治療すべき対象の95%は、治療を受けていないという状態です。

精神科に受診することの、恐れや恥、差別を理由に”医療回避”が起こっているのです。

また、キャリアへの影響を気にして言い出せないという事情があることも指摘されています。

パイロットが「うつ病」であると、申告すれば、当然パイロット業務から外され、地上勤務になる可能性が高いです。

それを避けるべく会社にはうつ傾向であったり、治療中でも申告しないということがしばしばあるようです。

プライバシーの問題

最悪の事態を避けるために、いくつか対策が考えられています。

根底にあるメンタルヘルスの問題に対して、支援プログラムを拡充し、早期に治療介入できるようにする仕組みづくりが話し合われています。

しかしながら、やはり、業務から外されるという恐怖から、これらの支援を受ける人がどのくらい増えるかは『?』です。

ですので、まずは、パイロットが追い詰められたときに、無理心中という極端な行動を阻止することが先決です。

実際は、パイロットは1人ではなく、複数人がコックピットにいます。

これは万一、一人にトラブルがあったときに、もう一人がバックアップを取れるようになっています。

先ほど、紹介したドイツの墜落事故では、「うつ病」のある副パイロットがパイロットを締め出して墜落させました。

そこで、”監視”による抑止効果を狙いコックピット内への監視カメラ設置が議論されています。

そう言えば、いつも航空機事故の際は、ボイスレコーダーだけを頼りに事故調査しますよね?カメラがあれば何が起きたのかもっとわかるし・・・

さらには、監視カメラによる抑止力もあるのに。。。

なぜ進まないかというと、多くのパイロットが「プライバシー」を理由に反対しているからです。

搭乗客からしては、何よりも安全第一でできることはすべてやってほしいものの、労働者側も「プライバシー」があって、ここの折り合いがつかないそうな。

 

 

人権は大事ですが、あまりに人権を主張すぎるとなかなか物事にブレーキが掛かりますな。

ある意味、こういうとき中国みたいな国なら一気に進むんでしょうな

では、また\(^o^)/