マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

MENU

CDCのコロナ情報【8/31 update】

(2021年8月31日 update)

・【3回目の接種について】更新(2021/08/19)

・【イベルメクチンについて】 追加(2021/08/31)

 

日本の方針はアメリカなど先進国の様子を見て真似していきます。その中でも最も影響力のあるのが、アメリカCDC(疾病予防管理センター)です。今回はCDCの情報を見ていきましょう。

f:id:jonny1205:20210811203930j:plain

40-50代の重症化

以前、記事にしたように、日本では65歳以上の高齢者のワクチン接種が進み、その世代の感染が減ったことで重症者も少なくなっていました。

現在はまだワクチンが進んでいない40-50代の重症者(←東京都の重症者の6割が40-50代)が増えています。

f:id:jonny1205:20210824170926p:plain

国内の感染動向 ~NHKより引用・改変~

致死率の高い高齢者の感染が少ないことが死者が少ない理由というのは明白ですが、今回の40-50代の重症患者が増えている点は非常に怖いですね。

つまり、高齢者よりも健康で元気な世代でも重症化するということですからね。

さらに、もう一つ懸念はあります。40-50代は重症化しても高齢者より助かる率が高いことは明白です。つまり、言い方はアレですが、より助けないといけない。

f:id:jonny1205:20210811210554p:plain

新型コロナの重症化率と致死率@日本

これはいいことではあるのですが、重症になってから戻るのは数日ではありません。週単位の時間を要するわけです。つまり、重症ベッドは埋まったらすぐには空きません

このフェーズに来ると今のままではすぐに医療崩壊し、入院できずに死者を増やしてしまうことになります。

そこで、酸素投与の中等症や軽症は一般病院で診るなどの指定感染症の見直しが議論されています。医療従事者は去年と違ってほとんどがワクチン接種済みですしね。

 

CDCとは

さて、いよいよCDCの方に話を進めましょう。

CDCは第二次世界大戦後すぐにできた、なかなか長い歴史の持ち主なんです。元々はマラリアの研究をしていたのですが、そこから結核や性病、エボラウイルスなど多岐にわたる感染症の研究を進めていきました*1

f:id:jonny1205:20210811212800p:plain

CDCとは

感染症専門の政府直属機関で、国外でも調査・対策を行います。こうして、世界の感染症の権威として君臨しており、日本やイギリスなどもCDCのガイドラインなどが参照されています。

ちなみにアメリカの尾身会長、ファウチ博士はCDCの人ではありません。彼はNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)の所長です。

ファウチ博士の疑惑?

www.multilingual-doctor.com

デルタ株

8月6日に更新されているCDCによるデルタ株の情報*2を見てみましょう。

f:id:jonny1205:20210811214156p:plain

デルタ株について~CDC 08/06更新 ~

以前から言われている通り、デルタ株の感染力は今までの変異株などとは比にならないほど強いです。

以前、記事に書きましたが、デルタ株で集団免疫を得るには、計算上80%以上の人口の接種が必要になります。現実的には難しいですね。

デルタ株と集団免疫

www.multilingual-doctor.com

ワクチン接種済みの人が感染する、いわゆるブレイクスルー感染は1%未満でと非常にまれです。過去の変異株ではブレイクスルー感染をしてもウイルス量が少ないので他人に移すことはあまり問題となっていませんでした。

今回のデルタ株はウイルス増殖能が強く、ブレイクスルー感染でも排出するウイルス量が多く、他人に感染させる可能性があると指摘しています。

ワクチンとマスク

※8月24日 アメリカ政府はファイザー製ワクチンを正式承認しました。

 

CDCはワクチンはデルタ株に有効であると明言しています。

f:id:jonny1205:20210811220736p:plain

デルタ株にもワクチンは有効

もう、図の通りです。これについては以前の記事で論文などを紹介いたしました。

デルタ株とワクチン

www.multilingual-doctor.com

 マスクについての説明はどうでしょうか。

f:id:jonny1205:20210811221401p:plain

マスクも追加すると有効

アメリカではワクチン接種が進んでいますが、未接種者が一定数いることや、特にデルタ株のブレイクスルー感染などもあり、マスクやソーシャルディスタンスなども屋内などでは行うように推奨しています。

ブレイクスルー感染

CDCはブレイクスルー感染は、想定内で、残念ながら一部の人は重症化し、亡くなることもある*3としています。

アメリカ国内でのブレイクスルー感染はいずれの州でも1%よりも低い*4と報告されています。

f:id:jonny1205:20210812162757p:plain

ブレイクスルー感染で重症化はまれ

また、ブレイクスルー感染をしても、無症状や軽症で済むことが多く、ワクチン接種は非常に有効であるとCDCは言っています。

他の研究*5でもブレイクスルー感染して重症化するのは0.001%と極めてまれと報告されています。

7月28日にNEJMという超名門雑誌に載った論文*6では、イスラエルのワクチン接種済みの医療従事者でのブレイクスルー感染は2.6%で、ほぼすべて無症状か軽症でした。

医療従事者は、一般の人より感染対策をしていますので、今後の日本での”ワクチン+マスク”の状況に近いかと思います。参考になりそうです。

ブレイクスルー感染急増

www.multilingual-doctor.com

3回目の接種について

イスラエルでは接種後6ヶ月を過ぎたあたりから一部の人たちで抗体価が下がることから、高齢者などで追加で3度目の接種を開始しました。

これに関してはWHOは否定的で、そのワクチンは接種が進んでいない国に先に回すべきだと主張しています。

では、CDCの見解を見てみましょう。

f:id:jonny1205:20210812170243p:plain

現時点で追加接種は推奨されない

その後、8月18日に新たに声明を出しており、3度目の接種を9月20日の週より開始することになりました。

f:id:jonny1205:20210819092732p:plain

CDC:3度目の接種について(08/18)

アメリカの全国民が3度目を打てるように準備をしている、ただ現時点では免疫機能の低下した人のみのようです。ステロイド使用患者や、透析患者、白血病患者などで免疫機能が低下している人は3度目のmRNAワクチン(ファイザーorモデルナ)接種を推奨としています。

CDCとアメリカ保健省の共同声明*7では、接種対象には2回目以降8ヶ月以上経過した医療従事者や一般の高齢者も含んでいます。その後順次、一般の成人も行うとしています。

日本もいずれこの方針になるでしょう。

妊婦のワクチン

妊婦は妊娠していない同年代の3倍ほど重症化のリスクが高い*8ことが分かっています。

特に妊娠後期でお腹が出てくると、息がしにくいですよね?そこで感染すると呼吸困難になります。

f:id:jonny1205:20210812165015p:plain

妊婦もワクチン接種を 08/11 CDC

そこでCDCは8月11日付で、妊婦もワクチン接種を推奨するとガイドラインを更新しました。接種した妊婦のデータが増え、流産や不妊も問題がないというデータがそろったからです。

また、授乳中のお母さんにも接種を推奨しています。

ワクチンにまつわるデマ

www.multilingual-doctor.com

www.multilingual-doctor.com

イベルメクチンの内服について

インドなどでイベルメクチン使用により新型コロナ患者の重症化を防いだという報告などがあり、予防的にイベルメクチンを内服する人々が増えており、CDC, FDAは注意を呼び掛けています。

動物用のイベルメクチンを内服し重篤な合併症が出るケースも増えています。

イベルメクチンの効果について、大元となった論文*9不正・捏造が発覚し取り下げられています。それ以降、複数のメタ解析が行われていますが、いずれもイベルメクチンが効いたと言える根拠は認められていません。

f:id:jonny1205:20210831092521p:plain

イベルメクチンはエビデンス不十分

これについては、CDCも現時点ではイベルメクチンに予防・治療効果を認める十分なエビデンスはないため現時点では推奨しないという立場をとっています。

イベルメクチンのエビデンス

www.multilingual-doctor.com

PCR検査をやめる?

CDCは7月21日付で、2021年末で現行のPCR検査の中止を発表*10しました。これで、陰謀論好きが『やっぱりコロナは嘘だ』とかワーワーと騒いでますが(笑)

ただ単に、緊急承認していた期限が来ただけです。それに伴い、インフルエンザと新型コロナを同時に検査できるものに切り替える、つまりバージョンアップしますって意味です。

『コロナは存在しない』は嘘

www.multilingual-doctor.com

まとめ

いかがでしたか。CDCが出しているガイドラインは遅れて日本でも取り入れられることが多いです。

また、妊婦へのワクチン接種についても、接種後の流産の率は変らずだったこともあり、『推奨』にグレードアップしました。

とりあえずは2回接種した後も、当面はマスク、手洗いなどの感染対策は続けて、死者が落ち着くことがわかれば、"with コロナ"で徐々に戻っていくしかありませんね。

では、また(^.^)ノ