マルチリンガル医師のよもやま話

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CDCのコロナ情報【9/25 update】

(2021年9月25日 update)

・【3回目の接種について】更新(2021/09/25)

・【イベルメクチンについて】 追加(2021/08/31)

 

日本の方針はアメリカなど先進国の様子を見て真似していきます。その中でも最も影響力のあるのが、アメリカCDC(疾病予防管理センター)です。今回はCDCの情報を見ていきましょう。

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CDCとは

CDCは第二次世界大戦後すぐにできた、なかなか長い歴史の持ち主なんです。元々はマラリアの研究をしていたのですが、そこから結核や性病、エボラウイルスなど多岐にわたる感染症の研究を進めていきました*1

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CDCとは

感染症専門の政府直属機関で、国外でも調査・対策を行います。こうして、世界の感染症の権威として君臨しており、日本やイギリスなどもCDCのガイドラインなどが参照されています。

ちなみにアメリカの尾身会長、ファウチ博士はCDCの人ではありません。彼はNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)の所長です。

ファウチ博士の疑惑?

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デルタ株

8月6日に更新されているCDCによるデルタ株の情報*2を見てみましょう。

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デルタ株について~CDC 08/06更新 ~

以前から言われている通り、デルタ株の感染力は今までの変異株などとは比にならないほど強いです。

以前、記事に書きましたが、デルタ株で集団免疫を得るには、計算上80%以上の人口の接種が必要になります。現実的には難しいですね。

デルタ株と集団免疫

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ワクチン接種済みの人が感染する、いわゆるブレイクスルー感染は1%未満でと非常にまれです。過去の変異株ではブレイクスルー感染をしてもウイルス量が少ないので他人に移すことはあまり問題となっていませんでした。

今回のデルタ株はウイルス増殖能が強く、ブレイクスルー感染でも排出するウイルス量が多く、他人に感染させる可能性があると指摘しています。

ワクチンとマスク

※8月24日 アメリカ政府はファイザー製ワクチンを正式承認しました。

 

CDCはワクチンはデルタ株に有効であると明言しています。

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デルタ株にもワクチンは有効

もう、図の通りです。これについては以前の記事で論文などを紹介いたしました。

デルタ株とワクチン

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 マスクについての説明はどうでしょうか。

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マスクも追加すると有効

アメリカではワクチン接種が進んでいますが、未接種者が一定数いることや、特にデルタ株のブレイクスルー感染などもあり、マスクやソーシャルディスタンスなども屋内などでは行うように推奨しています。

ブレイクスルー感染

CDCはブレイクスルー感染は、想定内で、残念ながら一部の人は重症化し、亡くなることもある*3としています。

アメリカ国内でのブレイクスルー感染はいずれの州でも1%よりも低い*4と報告されています。

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ブレイクスルー感染で重症化はまれ

また、ブレイクスルー感染をしても、無症状や軽症で済むことが多く、ワクチン接種は非常に有効であるとCDCは言っています。

他の研究*5でもブレイクスルー感染して重症化するのは0.001%と極めてまれと報告されています。

7月28日にNEJMという超名門雑誌に載った論文*6では、イスラエルのワクチン接種済みの医療従事者でのブレイクスルー感染は2.6%で、ほぼすべて無症状か軽症でした。

医療従事者は、一般の人より感染対策をしていますので、今後の日本での”ワクチン+マスク”の状況に近いかと思います。参考になりそうです。

ブレイクスルー感染急増

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3回目の接種について

イスラエルでは接種後6ヶ月を過ぎたあたりから一部の人たちで抗体価が下がることから、高齢者などで追加で3度目の接種を開始しました。

これに関してはWHOは否定的で、そのワクチンは接種が進んでいない国に先に回すべきだと主張しています。

では、CDCの見解を見てみましょう。

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高齢者はブースター接種推奨

まず、65歳以上の高齢者や50歳以上の基礎疾患ありの人はブースターを推奨しています。(※2回目接種終了6か月以上開けて)

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若くてもリスクがあれば接種可能

そして、若い世代でも基礎疾患があったり、医療職や介護職でウイルス曝露のリスクが高いなどの場合は、リスクを評価した上で、必要ならば接種を考慮してもよいとしています。

要は、まだワクチンの『重症化予防』効果が十分に残っているからですね。詳しくはコチラをご一読ください。

若者はブースター接種不要

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妊婦のワクチン

妊婦は妊娠していない同年代の3倍ほど重症化のリスクが高い*7ことが分かっています。

特に妊娠後期でお腹が出てくると、息がしにくいですよね?そこで感染すると呼吸困難になります。

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妊婦もワクチン接種を 08/11 CDC

そこでCDCは8月11日付で、妊婦もワクチン接種を推奨するとガイドラインを更新しました。接種した妊婦のデータが増え、流産や不妊も問題がないというデータがそろったからです。

また、授乳中のお母さんにも接種を推奨しています。

ワクチンにまつわるデマ

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イベルメクチンの内服について

インドなどでイベルメクチン使用により新型コロナ患者の重症化を防いだという報告などがあり、予防的にイベルメクチンを内服する人々が増えており、CDC, FDAは注意を呼び掛けています。

動物用のイベルメクチンを内服し重篤な合併症が出るケースも増えています。

イベルメクチンの効果について、大元となった論文*8不正・捏造が発覚し取り下げられています。それ以降、複数のメタ解析が行われていますが、いずれもイベルメクチンが効いたと言える根拠は認められていません。

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イベルメクチンはエビデンス不十分

これについては、CDCも現時点ではイベルメクチンに予防・治療効果を認める十分なエビデンスはないため現時点では推奨しないという立場をとっています。

イベルメクチンのエビデンス

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PCR検査をやめる?

CDCは7月21日付で、2021年末で現行のPCR検査の中止を発表*9しました。これで、陰謀論好きが『やっぱりコロナは嘘だ』とかワーワーと騒いでますが(笑)

ただ単に、緊急承認していた期限が来ただけです。それに伴い、インフルエンザと新型コロナを同時に検査できるものに切り替える、つまりバージョンアップしますって意味です。

『コロナは存在しない』は嘘

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まとめ

いかがでしたか。CDCが出しているガイドラインは遅れて日本でも取り入れられることが多いです。

また、妊婦へのワクチン接種についても、接種後の流産の率は変らずだったこともあり、『推奨』にグレードアップしました。

とりあえずは2回接種した後も、当面はマスク、手洗いなどの感染対策は続けて、死者が落ち着くことがわかれば、"with コロナ"で徐々に戻っていくしかありませんね。

では、また(^.^)ノ