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【サク読み】後遺症は肺がん以上

新型コロナ感染時の症状は人それぞれで、本当に軽い風邪症状で終わる人もいれば、5日間40℃近い高熱で苦しい思いをする人もいます。ある意味ルーレット

一部の人は、完全には回復せず、いわゆる”後遺症”に悩まされることになります。今回はコロナ後遺症について学びましょう。

コロナ後遺症

日本でも累積感染者が増えるにつれ、注目されつつある後遺症。

中枢神経系の免疫を担うミクログリアというものに新型コロナウイルスが感染することで中枢神経が損傷してブレインフォグなどの症状が出ている可能性が指摘*1されています。

10人に1人が長期後遺症

オミクロン株以降では、アメリカでは10人に1人が長期後遺症"long COVID"を患って生活しています*2

ちなみにデルタ株までの時は3人に1人の割合でしたので、大幅に減ってはいますが・・・。

SARS後遺症は非常に長期

過去にあったSARSも後遺症は20年近く経った今でも後遺症で倦怠感骨粗鬆症を訴える患者がおり、今回の後遺症も非常に長期に及ぶ可能性が結構高いです。

後遺症は長期に及ぶか▼

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ステージ4肺がん以上

そんなlong covidの症状は、倦怠感や嗅覚・味覚異常、認知機能低下などなど多岐に渡るのですが、QOLは非常に低く、なんと進行肺がん患者よりも低い*3というのです。

末期肺がん患者よりも低いQOL

これはイギリスの超名門校・University College Londonと名門校・エクセター大学の共同研究で明らかになったものです。

症状としては特に倦怠感が非常に多く、強いこともわかりました。毎日ダルい、やる気ないという生活が続くというわけです。

ワクチンの効果

コロナワクチンは重症化予防がある、つまり、体内でのウイルスの増殖を抑えることができるわけで、後遺症のリスクも下げれるのでは?と世界中で研究がされています。

そういった世界中の研究を合わせたメタアナリシス*4*5*6を調べてみると、概ね感染前のワクチン接種(少なくとも1回以上)により後遺症のリスクは20~40%くらいは低くなりそうです。

ワクチン接種済では35%リスク低い

こういう意味でもワクチン接種はしておいて正解です。

ワクチンは一般的な薬とは違い、免疫を誘導し、その反応にすべてを委ねます。免疫反応は個人差があるため、強い副反応が出ることも、ごく一部ではあります。

また、そうでなくても3割~4割の人が発熱しています。

こういった部分もありますが、総じて、2回の基本接種は勧められるものと考えています。それ以上はご本人様の年齢・基礎疾患・健康状態により答えは違います。

若くて健康→2回接種でOK

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糖尿病薬

ここ最近、注目を浴びているのが糖尿病薬です。

糖尿病患者がコロナに感染すると、重症化率が他の人たちより高いことや、感染後に糖尿病を発症する*7ことなどから、新型コロナは何かしら糖尿病と関連があるとは言われてきました。

メトホルミンが後遺症を抑制?

最近BMJに発表されたアメリカからの論文*8では、糖尿病薬のメトホルミンと抗うつ薬と、イベルメクチンを比較して後遺症の比較を行いました。

その結果、メトホルミンでだけで後遺症の発生を4割ほど減らせることが判明したのです。しかし、なぜ効くのかまでは解明されていません。

BBC:反ワクチンとイベルメクチン

ちなみにイベルメクチンは、新型コロナに予防・治療効果がないことが複数の治験結果から既にわかっていますが、今も”一部界隈”*9では『万能薬』として崇められています(笑)。

イベルメクチンの闇

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さいごに

いかがでしたか?

コロナ感染後の長期後遺症は10人に1人起こると言われています。日本はアメリカよりもワクチン接種率が高いので実際はもう少し低いかもしれません。

さらに最近、糖尿病の薬メトホルミン感染後3日以内に開始し、1週間ほど内服すれば、4割ほどリスクを下げれることもわかりました。

要は、10人に1人から16-17人に1人に割合が減ります。日本の高い接種率を鑑みれば、今後メトフォルミンを使用するようになればlong covidの発症も20人に1人レベルにできるのでは・・・

 

というわけで  では、また(^^♪