マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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マスクの外れたピノキオ

しれーっと嘘をつく人、周りにいませんか?当然ながらその人の周りからは段々と人は離れていきます。

ピノキオは嘘をつくと鼻が伸びるのですぐにバレます。しかし、コロナ禍でマスクをしているピノキオは、人にバレないと高をくくっていたのかもしれません。

しかし、調子に乗って伸び過ぎた鼻は、マスクをしていてもいずれバレてしまうものです。

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WHO 発生源調査

今年1~2月にかけて行われたWHOによる武漢での発生源調査は、結局大した発見もなく終わりました。終始、中国の担当がついて回り、行く場所を指定してという、さらに最後はWHOと中国の合同記者会見と。まったく"独立調査"でなかったことは誰の目にも明白でした。

3月30日、WHOは調査結果を発表し、動物から人間への感染が最も可能性が高く、ウイルス研究所からの流出説を否定しました。

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WHO発生源調査の結果

この名ばかりの”独立調査”は最終的に自然発生説を支持する結果となりました。

しかしながら、このWHOの調査については直後からかなり懸念の声が上がっていました。

まず、武漢入りが許された調査員は中国が許可した人のみだったことです。

アメリカ人で唯一参加したのはピーター・ダスザック氏だけでした。この名前を聞いてピンと来た方は相当の情報通です!(笑)

ピーター・ダスザック氏

この人は、非営利研究機関のエコヘルスアライアンス*1の代表を務めている科学者です。

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ピーター・ダスザック氏

アメリカのNIH(国立衛生研究所)から、アメリカの尾身会長:ファウチ博士の承認の元、武漢ウイルス研究所資金提供をしており、それを仲介したのが、このエコヘルスアライアンスです。

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Peter Daszak

ファウチ博士と武漢研究所

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そうなんです、つまり武漢ウイルス研究所と関係があるダスザック氏のみがアメリカ代表の調査員として武漢調査に参加していたというわけです。

今となれば、いかに1月の調査が無意味で、結論ありきだったことか。

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ファウチとダスザック

2020年の早い段階で研究所流出説を否定したファウチ博士にダスザック氏が送ったメールも公開*2されました。『勇敢だった』

WHOはいったい・・・

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コウモリ女

コウモリ女こと石 正麗博士は、武漢ウイルス研究所でコウモリのコロナウイルス研究をしていた女性ですね。どことなーく、『このハゲー!』の豊田真由子さんと顔が似ているような・・・

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コウモリ女と論文

2015年6月に Journal of Virology という雑誌に掲載された論文*3には彼女も著者の一人とバッチリ記録が残っております。

この論文はMERSウイルスについての研究で、コウモリからのコロナウイルスに機能獲得をして、ヒトに感染しやすくなる原因は2つの変異であると報告しています。

つまり、これは武漢ウイルス研究所でコロナウイルスの機能獲得試験が行われていた証拠でもあります。

通常、研究に当たって資金協力などを受けた場合は報告義務があり、この論文の最後にも書かれています。アメリカのNIHからと。

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NIHからの資金提供あり

アメリカの大学も参加

実は、この研究は共同研究でアメリカのノースカロライナ大学などの研究者らも名を連ねています。ということは、アメリカで機能獲得試験をした可能性もあるのでは?と言う人もいるでしょう。

これについては、NIHからの資金提供の理由を考えれば解決します。何度もこのブログでは扱っていますが、2015年オバマ政権下でアメリカ本土での危険ウイルスの研究は禁止されました。

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アメリカが資金提供して依頼

これにより、NIHの一機関であるNIAIDの所長であるファウチ博士の承認のもと、エコヘルスアライアンス経由で武漢ウイルス研究所370万ドル(うちコロナウイルス研究は60万ドル)の資金提供が行われたのでした。この事実は、アメリカの国家安全保障局のサイト*4でも確認できます。

元CDC所長

新型コロナウイルス感染所が広がった時にCDCの所長をしていたレッドフィールド氏はかねてから自然流出説は考えにくいと主張していました。

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レッドフィールド氏の見解(2021/06/15)

2021年6月15日のFOX newsのインタビュー*5で、レッドフィールド氏は、WHOによる武漢調査は中国の圧力で適切に行われなかったと主張しています。

中国の圧力

あれから、2ヶ月が経ち、レッドフィールド氏の発言を裏付けるような証言が出てきました。それは、武漢調査のWHO調査団のリーダーであった、エンバレク博士の発言です。

デンマークのドキュメンタリー番組の中で次のように発言しました。

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エンバレク博士の証言

中国は、WHOの報告書内に『研究所流出説』を載せないように言ったようです。「あり得ないし、時間のムダだから」というのが中国の理由です。

しかし、WHO側も食い下がらず、可能性があるものは載せるべきだと主張しました。

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条件付きで許可

すると、中国側は、研究所流出説を深入りさせないことを条件に報告書への記載を許可した*6といいます。これが、『きわめて可能性が低い』というWHOの見解になった理由のようです。

自然発生説は捨てた?

最初は自然発生説を強く主張していた中国ですが、気が付くと「アメリカが武漢に持ち込んだのでは?」と中国では閲覧のできないTwitterで海外向けに発言したり*7しました。

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『米軍が武漢に持ち込んだ?』(2021年3月)

これは、2019年10月に武漢で行われた世界軍人運動会のことを言っています。詳細は、前回記事にしてますのでご参照ください。

2019年10月世界軍人運動会

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ということは、実は中国も自然発生説はあり得ないと考えているのでしょうね。

余談ですが、日本ではアメリカのことを米国と書きますが、中国では美国と書きます。韓国も同じで、美国(미국, ミグク)といいます。

スイス人科学者

最近、また中国は必死でアメリカ発生説を押しています。

スイス人博士がfacebookで、アメリカがWHOに圧力をかけて、発生源について責任逃れをしていると証言していると、人民日報などが報じました。

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スイス人学者がアメリカを批判

しかし、これにはスイスが面白い対応*8をしました。

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スイス大使館の反応

在中国スイス大使館は、微博(ウェイボー)で反応しました。そう、Twitterで書いても中国では閲覧できないので、多くの中国人に見せられないからです。

指摘された名前の学者は市民登録や論文投稿などを調べても存在しませんでした。さらに、その『学者』のfacebookアカウントは数日前に開設され、友達3人と、いかにも作られたものだったのです。

仮に、これが中国の偽装工作だとしたらあまりにお粗末すぎます。個人レベルでのいたずらでしょうか。

さいごに

いかがでしたか?一体、ピノキオは誰なのでしょうか?

登場人物多いので最後にまとめておきましょう。

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登場人物 相関図

まだまだ映画でいえば中盤くらいです。中国の研究にアメリカの資金提供があったことも100%事実です。また、中国とアメリカでコロナウイルスの合同研究も行っています。

ファウチ博士にダスザック氏とコウモリ女。その背後には誰がいるのか。

少なくともいままでのところは、トランプ大統領が言っていたことが正しいように見えますね。

しかし、アメリカでもコロナ前に謎のインフルエンザ大流行がありました。電子タバコで謎の死もありました。

この映画(?)『マスクの外れたピノキオ』はどのような結末を迎えるのでしょうか。興味津々ですね。

 

では、また(^.^)ノ