マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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米上院『研究室流出報告書』のヒミツ

当ブログでは、何度も扱ってきたコロナ起源に関するお話です。

中国は協力に消極的で、WHOの現地調査も核心は付けず、最終的には圧力に負け、現状として「流出ではないだろう」ということになっています。

今回、アメリカの上院で新たな報告がありましたのでそれを見ていきましょう。ワクワク(*'▽')

感染後の心筋梗塞

まず、本題に入る前に、コロナ感染後のイヤなお話をします。

最新の英国の研究結果*1によると、コロナ感染後1週間は、静脈血栓症のリスクが非感染者と比して約33倍高く、心筋梗塞のリスクは約17倍脳卒中約23倍高いことがわかりました。

感染後1年は注意が必要

特に感染後1週間は血栓ができやすいので注意が必要ですが、感染後半年~1年経った時点でも、非感染者と比べてそれぞれ約1.2倍約1.7倍と有意に高いです。

全然、ただの風邪じゃないですな。

後遺症続くと癌に?

スペインからの研究*2でさらにイヤな話が出てきました。

がん遺伝子とがん抑制遺伝子

まず、がん化を促進する遺伝子はがん遺伝子、がん化を抑制する遺伝子をがん抑制遺伝子と言います。

がん抑制遺伝子の中で有名なものはp53BRCAというものがあります。これらの抑制遺伝子が長期的に減るとがん化しやすいということです。

感染によりがん抑制遺伝子発現低下

このスペインの研究では、コロナで重症化した人たちや重症後遺症の患者では、がん抑制遺伝子であるp53の発現が低下しており、少なくとも6か月後も回復していないことがわかりました。軽症例では6か月後には回復していました。

いつまでこの状態が続くのかというのはもっと時間が経たないとわかりませんが、イヤな話です。

ウイルスとがん発生

ウイルスで癌に関係するものといえば、子宮頸癌肛門癌に関係するHPV上咽頭癌などに関係するEBV肝癌に関係する肝炎ウイルスなどが有名です。新型コロナウイルスもこれらに加わる可能性が浮上したわけです。

厄介なウイルスですわ

子宮頸癌ワクチンとネガキャン

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否定された流出説

こんな厄介なウイルス、本当に自然発生?と疑ってしまうのは人の常。

武漢ウイルス研究所流出説は当初からありました。しかし、中国側は現地調査を拒み続け、やっと現地調査を許可した2021年2月にはほぼ痕跡など残っていませんでした。

WHO「研究所流出可能性低い」

そんな中、WHOは流出説の可能性は極めて低いと報告しました。

現地調査については、WHOの代表団がコメントしており、指定された場所だけを見せられ、最終報告前には中国からかなりの圧力があったこともわかっています。

中国『流出説は書くな』

こんな形だけの現地調査をやって、「可能性は低い」なんていうWHO。そのトップは”アフリカの中国”と呼ばれるエチオピア出身のテドロスさんですね。

アフリカの中国

中国には逆らえない状況ですからこうなるのは予想されていたことです。

米中合作?

そもそもの話ですが、新型インフルエンザもそうですが、ウイルスは突然変異を起こし、パンデミックを起こしうるため、世界中でウイルスの研究をしています。

そんな中で、どういう変異をしたら人に大きな被害が出るか?という研究も必要になります。そのためには遺伝子操作をして強毒ウイルスを作るわけです。これを機能獲得試験と言います。

中国へ資金提供し委託

2015年、米オバマ政権では、万一の流出で米国内で感染が広がったら困るということで国内でのウイルスの危険な実験を禁止しました。そこで、NIAIDの所長であるファウチ博士を介して武漢ウイルス研究所に資金提供し委託*3することになりました。

ピーター・ダスザック氏

コウモリ女こと石 正麗博士(武漢ウイルス研究所)と共同研究をしていたピーター・ダスザック氏が仲介し、アメリカからの資金提供でウイルス実験をしていました。

そんなダスザック氏は、WHOの現地調査で唯一選ばれた米国在住研究者*4です。この辺も意図を感じますね。

※ダスザック氏は英国人ですが、拠点はアメリカです。

MERSウイルスで機能獲得試験

米国の資金提供で機能獲得試験はしていない!とファウチ博士は否定していましたが、2015年の論文*5でバッチリとアメリカの大学と武漢ウイルス研究所の共同研究としてMERSウイルスを用いた機能獲得試験を行っています。

アメリカNIHから資金提供有り

しかも、ちゃんと論文の中にもアメリカNIHからの資金提供についても報告してあります。

ここまでくると、新型コロナウイルスは米中で共同研究していたものが、意図的ではなく、事故的に流出してしまったのでは?と考えてしまいます。あくまで私見です!!笑

米中合作をさらに詳しく

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米上院『研究室流出』

10月にアメリカの上院議員が報告書を提出しました。その内容を報じたthe Hillの記事*6を見ていきます。

上院報告書『研究所流出』

重要なことですが、この報告をした議員はトランプ氏と同じ共和党です。基本的には研究室流出を強く主張する側です。

上院の健康問題のセッションで提出された報告書では、研究室流出を強く主張するものの、新たな根拠は示されていなかったと。

えっ!!!!!!!!!!!!!期待したのに・・・笑

報告書の意図

それ以降も記事を読みましたが、紹介するほどのこともないので割愛です。(笑)

でも、疑問が残ります。なぜ、そんな中身のない報告書をわざわざ提出したのでしょうか?ヒントは僕が記事を書いている時期ですw

中間選挙を見据えていた

はい、僕が約2週間この記事を温めていた理由、そうですアメリカの中間選挙です。つまり、この報告書では共和党は「研究室流出可能性大」と謳い、共和党が選挙に勝てば起源調査ももっとやるぞ!という中間選挙前にわざと出した報告書のようです。

中間選挙前では、上院はわずかに共和党が議席多く、下院では民主党が多いです。しかし、アメリカの異常なインフレなどで国民はバイデン政権に対する評価として、この中間選挙で上下院とも民主党にNOを突き付ける可能性が高いのです。

中間選挙前のアピール

コロナ禍というのは世界中のどの国民にとっても不幸でした。もしそれが自然発生でなく流出事故だったら?こう思う人たちに共和党へ投票を促す作戦ですね。

アメリカのインフレ

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さいごに

いかがでしたか?

導入部分8割、本題2割・・・笑 すみません。

 

何か新たな証拠が見つかって、研究室流出説を強く主張したのかと思いきや、全くそんなことはありませんでした。

結局は、共和党が中間選挙を前に、あえてこのタイミングで目新しいことのない内容の報告書を作って提出したというオチでした。

このようにパンデミック、大きな事故、大きな災害はどうしても政治利用されてしまいます。韓国・梨泰院の圧死事故でも、既に大統領退陣デモが行われています。セウォル号事故と同じですね。

では、また(^^♪

梨泰院での事故

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セウォル号沈没

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