韓国の梨泰院で起きた圧死事故で、150人以上の方が亡くなりました。
今回はなぜあの事故が起きたのか、現時点でわかっていることをサクッと学んでいきましょう
梨泰院って?
ドラマの効果もあってか、梨泰院(イテウォン)の名前は韓国通の人以外でも聞いたことがあるはずです。
東西に流れる漢江の南に、かの有名な”江南 (カンナム) ”があります。
で、漢江を挟んで北側に龍山(ヨンサン)区があり、その中に梨泰院があります。
この辺のランドマークは1973年にオープンしたハミルトンホテルです。今回の事故はこのハミルトンホテルの裏側の路地で起きました。
龍山には米軍基地があり、周辺の発展は米軍と関係があります。米軍相手の商売として、飲食店、バー、売春宿ができていった背景があります。
興味のある人は”フッカーズヒル”でググってください(笑)
とにもかくにも、『場末』なイメージが強い場所で、海外のエキゾチックさが混じった、狭い路地がたくさんある街です。
警備体制の不備?
さて、本題に入りましょう。
あの狭い通りに大量の人が押し寄せました。人がすし詰めなのは、日ごろの満員電車も同じですが、満員電車で圧死なんて聞かないですよね?
あの”群衆雪崩”が起きたのは皆が違う方向に動いたことで、バランスが崩れ、起きました。
思い返してみてください。
イベント会場などで、莫大な人数が一か所に集まるときは出口を分散したり、一方通行にしたり、状況によっては警察官がしばらく静止させたりしますよね?
今回はそれがなく、誰も統制を取っていなかったことで大きな混乱を招き、事故につながりました。
コロナ禍のため3年ぶりの制限なしのハロウィンですから、人がたくさん集まるのを想定していないはずもなく、当然、事前に『圧死事故』の恐れも指摘されていました。
しっかりと、警備体制を敷いていれば、事故は起きなかったのではないか?と警察への批判が強まっています。
通報多数も
さらに、事故直前にも、群衆の中から助けを求める通報が11件確認されたそうです。
内容は「このままでは圧死してしまう」といった緊迫感の強いものでしたが、うち4件だけ警察は現場出動し、残りの7件は電話対応のみだったこともわかりました。
こうしたことが明るみになっており、NYタイムズなど外信でも「この事故は避けられるものだった」という専門家の声を紹介し、警備の不備を指摘*1しています。
違法建築
今回の事故が起きた場所を少し確認しておきましょう。
ハミルトンホテルの裏側の通りから群衆(赤矢印)は、大通りにある地下鉄の駅の方向へ向かいます。裏路地と大通りを結ぶ通りは下り坂になっています。
ここで事故が起きたのですが、この下り坂の出口の部分が狭くなったボトルネック型だったことで、後ろがどんどん詰まったのです。
韓国の建築法では、歩行者の安全のために道路は4m幅が必要と定められていますが、事故のあった通りはなんと3.2mしかありませんでした。理由は違法建築です。
ハミルトンホテルは、違法建築の指摘を受け罰則金を払いながらも、10年以上放置し是正していません。
8割が違法建築
後の調べでさらなる事実が明らかになりました。
なんと事故現場の通りの17棟のうち、合法建築は3件のみ、つまり8割以上が違法建築だったのです。
何故でしょうか?理由は簡単です。
繁華街である梨泰院で、カフェやホテルは増築すると収入が増えるため、罰金を払ったとしてもそれ以上に儲かります。だから違法とわかっていても増築をし、指摘されれば罰金を払いつつそのまま放置ということです。
さらにはこの通りには、無許可建築も見つかりました。もうやりたい放題ですな。
警察コスプレ
ハロウィンといえば仮装ですねー(日本と韓国は特に)
で、ある国のリーダーの仮装をしたり、女子高生の格好をしたり・・・
そりゃ中には警察官のコスプレをする人もいるでしょう。
どうやら現場に駆け付けた警察官や救助隊の人たちを、コスプレだと思い、人々が道を譲らなかったため、救助がさらに遅れたようです。
これに限ってはハロウィン特有の問題ですね。
ウサギの耳
また、『ウサギの耳』の男が群衆を煽り、事故を起こしたという証言が出ています。
これにより犯人探しが過熱し、現場の映像からウサギの耳を付けた男性の顔写真がネットで曝されました。その男性は、「自分じゃない」と否定しており、当日の地下鉄乗車時間の記録などをネット上に公開し、事件当時に現場にいなかったことを証明しています。
残念ながら、このように、冤罪によるネットリンチの被害も出てしまいました。
さいごに
続々と出てくる情報ですが、やはり一番の問題点は警備でしょう。
前もって、たくさんの人が押し寄せることが想定されており、このような事故の懸念もあったのに、対策をしなかったことは大きな問題です。
そして、ホテルの違法増築や、バーなどの増築テラスなどで道路が狭くなっていたことも事故を大きくしました。
今回もセウォル号と同じく、人災だと見られています。
セウォル号も日本で廃船になったものを買い取って、増築してバランス悪くなっていたところに過積載で沈没しました。
▼セウォル号沈没は人災▼
▼タイタニック号沈没▼
では、また(^^♪