1ドル 150円の円安で、『日本は終焉を迎える』とか、海外出稼ぎしたら年収爆増!とかの番組が増えていますね~最近。笑
日本の報道の印象では、日本だけが経済ヤバそうで、アメリカがすごい好景気という風に感じます。今回は、CNNビジネスの記事*1からアメリカ経済の実情を学びましょう。
現状をわかりやすく
金利の基本
まず、超基本的なことを確認しておきます。
まずは金利について。事業のために銀行でお金を借りると、返すときに利子付けて返しますね。で、私たちが銀行に預金したら利子がもらえます。
細かいことは抜きにして、これらは経済政策で決まっており、デフレにより不景気のときは、お金を借りやすくして事業をどんどんさせるために低金利にします。
一方で、インフレが進み過ぎたときは、生活困窮するので、それを抑制するために、金利を高くするのです。
日本はバブル崩壊以降30年以上、デフレで不景気です。モノの値段も上がらず、給料も上がらずでした。
いつまで経っても100均が栄えているということはそれだけ、モノの値段がずっと上がってないのです。
こういう社会では低金利にする必要があります。
実際、銀行預けても利子少なすぎますよねー、低金利!
コロナ禍から脱却
アメリカは堅実に成長を続けていたので、物価とともに給料も上がっていました。
ところが、コロナにより経済は大きなダメージを受けました。2021年ワクチンの登場、そして致死率の低いオミクロン株に置き換わったことなどから経済活動が戻ってきました。
今までの反動でたくさんの人が買い物をしたり、需要が増えると当然インフレが起こりモノの値段は上がります。
そこにウクライナ侵攻が重なり、モノの供給が滞ることで、需要と供給のバランスが崩れさらなるインフレを起こしてしまいました。
そこでアメリカは、異常なインフレを抑制させるためにどんどんと金利を上げていっているのです。
日本は低金利
コロナもウクライナ侵攻も、それにより影響を受けるのはアメリカだけでなく、日本も同じです。でも状況は違います。
日本は、長く続くデフレスパイラルの影響が今も残っているからです。そのため、低金利政策をやめれません。さらに、インフレもアメリカと比べて全然マイルドなため、あえて今まで時間をかけてやってきた政策を辞めるまでのことではないという判断です。
これにより、アメリカは高金利、日本は低金利と対照的になりました。あなたがお金を持つならどっちで持ちたいですか?当然金利がたくさんつくドルの方が魅力的ですよね?
というわけで、円を売ってドルを買う投資家が世界中におり、それにより円の価値が下がり円安がどんどん進んでいます。
アメリカはイケイケ?
2023年春、景気後退
やっと、本題に入ります。
基本的に、政府批判がしたいメディアは、日本がうまくいっていないという悪質なイメージを植え付けたいのでしょうか?笑。日本の経済はオワコンでアメリカはすごい!と言わんばかりの『円安』報道。
実際は、アメリカもめちゃくちゃうまくいっているわけではなく、激しいインフレで国民の生活が厳しくなっており、その対策で金利を上げています。
先ほど学んだように高金利政策は、景気を抑えるためのものです。つまり副作用は景気後退です。
フィッチ・レーティングスという世界3大国際格付機関の発表によれば、アメリカは来春には景気後退の予測です。
GDP成長はわずかに
そして、GDPはコロナ禍からの脱却で少し今プラスですが、それも来年には下がるようです。
2023年のGDP成長予測は +0.5%と低下します。これは高金利政策の副作用です。
そして、なかなか歯止めの効かないインフレが、国民の生活をさらに悪くします。それにより2023年の第2四半期までには、景気が悪化するとしています。
それほど壊滅的ではない
高金利政策を続けていると、その借金の返済の利子も高くなりますね。となると、返せない企業も当然出てくるわけです。
しかし、専門家らは先の不景気、特に2008年のリーマンショックほどの大きなダメージはないと考えています。
リーマンショックの時は、サブプライムローンと言って、資金的信用性の低い層の人たちが土地神話に駆られて、借金をして不動産を持ったのですが、それがまさかの土地価格急落で借金を返せない人がたくさん出ました。
このときみたいにみんなが借金していないということです。
失業率悪化も
景気後退と言えば、当然失業率も増えます。
現在 3.5%の失業率は来年 5.4%と予想されています。しかし、コロナ禍初期では最大15%まで跳ね上がっていたことを考えるとかなり軽いと考えられています。
景気後退の予測はありますが、求人市場は旺盛で、需要に供給が追い付いていません。以前も扱いましたが、アメリカではコロナ後遺症により最大で400万人が働けない状況*2との報告があります。
インフレが最大の問題
この問題は諸悪の根源、インフレです。
現在のインフレは、主にロシアによるウクライナ侵攻で燃料費が高騰したこと、そして食料品の値段まで高騰しています。もちろん流通に関してはコロナの影響もあります。
このインフレが改善されない限り、来年の景気後退は必至でしょう。
しかし、バイデン大統領はそう考えていない?ようです。
経済の基本を知っていれば、高金利政策の副作用は誰でもわかります。さらに原因となるインフレはいつおさまることやら。
しかし、バイデン大統領は、CNNのインタビューで来年の景気後退について可能性は低いと考えていると答えています。
ま、理由は簡単で、11月にアメリカでは中間選挙があります。そこで、バイデン政権のこの2年間の評価がなされるわけです。それを前に弱気な発言できませんからね。
さいごに
いかがでしたか?
最近の異常な円安で、日本のメディアも『日本だけオワコン』的な印象を出していますが、実はアメリカも景気はいいとは言えません。また、この高金利政策の副作用で来年は景気後退となることがかなり濃厚のようです。
しかしながら、過去と比べて、雇用の供給が不足しており、失業率はそれほど上がらないし、大きな不景気にはならなそうです。
今の円安・ドル高は日本だけがオワっててこうなっているわけではなく、アメリカも異常なインフレの対策でリスクを負った政策を行っているからでした。
インフレ抑えないと、中間選挙にも響きますしね。
では、また(^.^)ノ