マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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『恋せぬ日本人、親頑張る』

昔はお見合いが多く、結婚して子供を作るというのが”当たり前”な時代でした。

少子化といわれる現代、その背景にはまず婚姻率の低下があります。

そんな”恋せぬ日本人”を、旧世代の親たちは心配し勝手に動く・・・

今回はCNNの記事*1から日本人の親の頑張りを客観視してみましょう。

代理お見合い

舞台は大阪府堺市の会場です。

パット見 60名ほどの参加者がいる集まりは、日本でよくある”お見合い”と呼ばれるマッチングパーティーです。

しかし、どうやら普通の”お見合い”とは様子が違い、彼らは自分たちの趣味や嗜好物についてはほとんど語りません。

代理お見合いパーティー

話しているのは、成人した自分の子供のことなのです。

独身を続けるわが子を思い必死で、結婚相手を探す親たちが参加者なのです。

中には、小学校の教師である息子について誇らしく語る60代の母親や、49歳で電機会社の経理担当をする息子を愛情たっぷりに紹介する80代の父親もいました。

このパーティーの参加費は1万4000円で、主催者は一般社団法人・良縁親の会*2です。

「孫が欲しい」

婚姻率の低下する日本が今まで指をくわえてみてきたわけではありません。

若者の婚活パーティー街コンなど自治体なども支援するものはたくさんありました。

街コンとは

しかし、奥手な人にとってはハードルが高いのは事実。

そんな会に参加しても、連絡先を交換せずに帰ってくることだってあるでしょう。

CNNは独占取材を許可され、参加者に匿名を条件に取材に応じてもらいました。

集まった親たちは、わが子のプロフィール表とプロが撮った写真を手に、次から次へと”代理お見合い”を行います。

子の職業は医師、看護師、公務員など多岐にわたります。

49歳の息子を持つ80歳の両親は、息子が忙しすぎて婚活する暇がないと言います。

『孫の顔が見たい』

その両親を突き動かしたのは『生きているうちに孫が欲しい』という想いでした。同じような参加者は多いと言います。

成婚率は・・・

さて、こうした親の代理お見合いの成婚率はどんなものでしょうか?

主催者らによると、参加者の10%が結婚に至るようです。

このような代理お見合いには、メリットがあると言います。

子供の希望をハッキリと伝えられる

本人でなく親が最初にお見合いすることで、自分の子が望むもの・望まないものをハッキリと言えるため、効率がいいというところです。

探り合いのムダな時間がなく、条件に合う人を探せるのです。

しかし、逆に親のこだわりが邪魔をすることもあります。

親の価値観

40代の男性で、20代後半~30代前半の女性を探しているというのは、よくあるパターンなようです。

ある40歳の男性の親は、10人の女性の親と連絡先を交換したが、まったく結婚に至らないと、不満を言います。

しかし、詳しく調べてみると、その男性の父親が原因だったようです。

代理お見合いにはデメリットも

35歳以上の女性、息子よりも高学歴の女性、男兄弟のいない女性は否応なしにお断りしていたのです。

こうした高齢の親の価値観で先に進めないというパターンもしばしばあるようです。

親同士が乗り気でも、本人たちが気が進まないということもあります。

結婚危機

さて、親の代理お見合いが増えているのは、婚姻率が低いからでした。

では、その背景についても知る必要があります。

婚姻数はどんどん減少(厚生労働省資料より)

2023年には約47万4700件と戦後の最小記録をどんどんと塗り替えています*3

これは1970年代の平均と比べておよそ半分の数になります。

さらに、晩婚化により、自然とたくさん子供を産む可能性も減り、少子化が進んでいます。

晩婚化と少子化(厚生労働省資料より)

結婚年齢も30年前と比較すると男女ともに3~4年遅くなっているのがわかります。

そして、今の人口を維持するには出生率は2.1必要ですが、2022年は1.3と大きく下回ており、やはりこれからどんどん人口は減りゆきます。

そうすると、当然GDPも減りますし、いずれインドにも抜かれ世界4位になるでしょう。

若者が減ると困るのはそれだけではありません。

公的医療保険制度年金制度で多数の高齢者をどんどん減りゆく若者が負担して支える

からです。

タイの少子化問題

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異次元の少子化対策

岸田政権でキーワードとなった『異次元の少子化対策』

その中で、2歳未満の子供1人につき毎月1万5000円を支給するなどという手当ができました。3歳以上は毎月1万円です。

岸田政権『異次元の少子化対策』

そして、2024年に入って、所得制限が撤廃され、第3子以降は倍額支給*4となりました。

この異次元の少子化対策に専門家は疑問を呈します。

そもそも、結婚する若者を増やさなければ、究極的には子供の数は増えないといいます。

つまり、異次元の少子化対策は”小手先”だけの対策と見られているのです。(ま、やらんよりマシ!)

少子化がどれだけ国に大きなダメージを与えるのか国民に分かってもらわなければいけないといいます。

国民が理解し、危機感を持とう

要は、さきほどあった、将来年金制度や医療保険制度が破綻するかもしれない。そうなると、自分たちの世代は、容易に医療にアクセスできなかったり、老後もお金の不安とともに生きる必要があるとかそういったことをもっと伝えるべきだと。

なぜ結婚しない

若者が結婚しない理由は何か?

「そもそも結婚したくないから」というのもありますが、実はそれは割合としては低いのです。

『結婚したくない』わけではない

例えば、国立社会保障・人口問題研究所の調査*5によれば、いずれは結婚したいと思っている若者は85~90%でした。

つまり、結婚しない理由は、結婚までのハードルが高いということでした。

1990年台から続く不況により、雇用環境も充実しているとはいえず、派遣社員契約社員が増えています。いつクビになるかわかりません。

さらに、給料も1991年から2021年の30年間でたったの5%の上昇にとどまっています。

仏独などのG7の国ではこの30年間で34%上昇しています。

日本人の賃金が上がらない

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このような、先行き不安定な契約社員・派遣社員が増え、インフレはあるのに賃金は上がらない現況で結婚を考えるのはハードルが高いのです。

単身天国・日本

米・プリンストン大学の研究者レイモー氏は、日本の生活費が高く労働時間が長すぎるのが問題を悪化させていると言います。

「日本人は働きすぎ」

スーパーやコンビニに行ってみると、お惣菜やお弁当が所狭しと並んでいたり、町を歩けば、単身用アパートがそこら中に見えます。

日本という国は、『一人暮らし』を可能な限り快適に暮らせるように特化した文化が根付いているのです。

こういった文化もまた、独身でいても便利に暮らせるという考えを強めてしまう一因になっていると考えられます。

 

うむ、やはり外国の目から見ると、普段気づかない日本の特徴なども知れて面白いですね。

では、また(^^♪