マルチリンガル医師のよもやま話

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【サク読み】西洋食と地中海食

癌の原因・リスクを見ると、必ず「食の欧米化」というキーワードがあります。

以前学んだように、日本では、戦後アメリカの”小麦買え政策”を受け、一気に食の欧米化が進みました。

日本:食の欧米化

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今回は過去の176の関連論文を集めてメタ解析した研究から学んでいきましょう*1

西洋食と大腸癌

過去の研究から西洋食が大腸癌増加の主犯格であることがわかってきています。

糖、飽和脂肪酸、加工食品などが多く、大腸癌の最大のリスクとなっています。

超加工品は大腸癌リスク上昇

それだけでなく、西洋食では食物繊維や果物・野菜の摂取が圧倒的に少なく、腸内細菌叢の多様性を減らし、肥満に関わる”悪玉菌”ばかり増やしていることもわかりました。

過去記事にも書きましたが、こういった食内容では短鎖脂肪酸と呼ばれる、腸内の炎症を抑える作用がある菌が少なくなってしまいます。

食物繊維で炎症鎮める

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こうして慢性的に炎症が起こり、細胞を修復・再生を何万回とするうちに複製ミスが起こり癌化します。

ピザやポテチ、ドーナッツといった”超加工品”は腸内での炎症を強める作用があることも重要です。

超加工品で大腸癌リスク上昇

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地中海食

一方で、野菜・果物やオリーブオイルなどをふんだんに使う地中海食は多くの研究から”最善の健康食”と示されています。

地中海食はあらゆる栄養価が高いだけでなく、”善玉菌”を増やすことができ、悪玉菌を減らしてくれるのです。

かくして、地中海食は大腸癌の予防、ならびに全般的な健康への力強いパートナーとなりえます。

地中海食について

食物繊維をたくさん取ると、減量できるし、便秘解消、そして、大腸癌や2型糖尿病のリスクを減らせることがわかっています。

こうして腸内細菌を入れ替え、ラクトバシラスなどの”善玉菌”を増やします。

ちなみに、今回の研究では菜食についてもスポットライトを当てています。

菜食のメリット

野菜に含まれるポリフェノールが善玉菌を増やし、大腸癌のリスクを下げてくれます。

また野菜中心の食事でアッケルマンシアという腸内細菌を増やし、感染症に強くなり、腸内環境を整えてくれる作用があります。

オリーブオイル

さて、健康の為にオリーブオイルを大量に使う人がいます。

オリーブオイルについて少し学んでおきましょう。

オリーブの果実をそのまま絞ったものを、エキストラバージンオリーブオイルと呼び、最上級の品質(酸度<0.8%)です。これが本物。

オリーブオイルについて

品質の劣るオリーブオイルを精製し、エキストラバージンオリーブオイルとブレンドしたものをピュアオリーブオイルと呼びます。

しかし、日本では明確な基準がないので、要は『偽物』が溢れかえっているというわけです。

見抜く方法は、酸度が書いてあればそれでわかるのと、あとは安いものは違います!

で、オリーブオイルが体にいいと言われるのはなぜでしょうか?

オリーブオイルの主成分はオレイン酸という一価不飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

わかりやすく言うと、常温で液体の油は不飽和脂肪酸です。有名なものはDHAEPAという青魚に多く含まれるものです。

不飽和脂肪酸はコレステロールや中性脂肪を抑えることで、動脈硬化や癌化を抑制する効果があると言われています。

ただし、アホほどかけているとただのカロリー過多で太るだけです。

コレステロールについて

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マーガリン禁止の理由

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ケトン食

ダイエットの方法でケトン食と言うものを聞いたことがあると思います。

簡単に言うと、炭水化物を徹底的に排除し、肉などの脂肪・タンパクでエネルギーを摂るというものです。

もともとはてんかん患者の発作を抑えるために考えられた食事法です。

ご飯などの炭水化物を摂らずに肉類をバカ食いして痩せるという方法は、普通に考えたら体に良いはずがありません。

ご飯抜き、肉だらけはメタボへ

有名人とかが、「これで瘦せたよ」とかやるからマネしちゃう人が続出。

低・炭水化物食について

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赤身の肉を食べると、分解され硫化水素が放出され、細胞を傷害し変異を起こさせます。

またそれだけでなく、ケトン食大いに善玉菌を減らす可能性が高く注意が必要だと研究者らは述べています。

この研究の主著者は、「食事の究極の目的とは、良好な腸内細菌叢を維持し、その細菌の代謝に頼ることだ」と言います。

若者の大腸癌

この研究のきっかけとなったのは、50歳未満の若年性大腸癌の急増でした。

米国内で年間およそ1万7000人の若年性大腸癌が報告されています。特に20〜30代の患者は昔と比べ70%も増加しているのです。

若年性大腸癌急増

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実は若者で増えているのは大腸癌だけではありません。

胆管癌、乳癌、虫垂癌も同じように増えているのです。

はっきりした原因はいまだわかっていませんが、肥満率と加工食品の摂取について今詳しく調査されています。

腸内細菌が関係していることもわかっています。

大腸癌と腸内細菌

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他にも、エナジードリンクに含まれる添加物もまた癌を促進するという研究もあります。

エナジードリンクと大腸癌

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さいごに

この30年ほどで若者の癌患者が急増しており、それについて世界中で研究が進んでいます。

多くの研究が注目しているのが食事です。

便利になる世の中で、出来合いのもの、保存食などで食に困ることはありません。

すぐに体重が落ちるからと偏食のダイエットに飛びつくのも長い目で見れば体にとっては良くないです。

たかが食事、されど食事

では、また(^o^)ノ