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【サク読み】高校野球とオリンピックのお金

オリンピックでの野球の金メダルの後、追いかけるように始まったのが高校野球です。昨年の夏の甲子園は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止となっていました。

今年は何とか開催にはこぎつけましたが、学校関係者以外の観客は禁止となっています。

今回はオリンピックと高校野球についてお金の面から見てみましょう。

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コロナ禍での大会

冒頭でも書いたように、今回の第103回の高校野球は、感染対策で一般客の入場はできません。

高校野球の主催は日本高野連と朝日新聞ですね。朝日新聞はオリンピック中止を必死に社説で訴え*1続けてきたので、「高校野球だけは有観客で」なんて都合のいいことはできません。

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高校野球も無観客に

また、猛暑下の五輪の屋外競技について批判*2をしていて、自分たちが主催する、猛暑下の屋外の高校野球についてはダンマリと。

もしや、マスコミに一貫性を求めること自体が間違っているのか?笑

マスコミの勝手都合

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なぜ猛暑で開催?

1964年の東京オリンピックは10月10日でした。そのくらいの気候でやればいいのに。

そもそも、なんでよりによって日本のくっそ暑い時期に開催するのかってのは、もう皆さんご存じの通りですね。アメリカ3大ネットワークの1つ、NBCが莫大な放映権料を支払っており、それがIOCの重要な収入源です。

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IOCの収入源

IOCの収入源*3TVの放映権と、スポンサーからの広告料がほとんど。つまり、無観客でも開催さえすればダメージはあまりないのです。

そういう意味では、IOCにとって東京五輪2020は『成功』だったのですね。

収入が10%減っても、IOCから世界の競技団体へ配られる額が10%ずつ減らされるだけで、IOCからすれば痛くも痒くもないです。

さて、開催時期などは、莫大な放映権料を支払うNBCの意向が大きく反映されます。アメリカの秋はアメフトがあるので、その視聴率が取れる時期カブせてオリンピックを開催はしたくないのです。

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秋は都合が悪い

さらに、夏の五輪がある年は、その秋に同じく4年に1度のアメリカ大統領選があります。これも何とかこの時期を避けたい理由ですね。

無観客のツケ

IOCは無観客であってもほぼ無傷で、収入を得たため、『成功』した東京五輪でした。

ところで、無観客によるチケット収入の減収はどうでしょうか。

東京五輪組織委員会の収入は放映権は関係ありません。下記のようになります。

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東京2020組織委員会 予算

東京オリンピック組織委員会の予算*4によると、スポンサー収入が全収入の約56%で、チケット収入は約12%ほどを占めています。

そして、チケット収入総額の5~7.5%をIOCに払う約束になっていました。

ところが無観客になったことで、このチケット収入は減りました。東京五輪組織委員会にとってはこの分の赤字、およそ900億円が残るわけですね。IOCとの違いは支出を簡単に減らせないので赤字に直結します。

さらに、チケット収入減は保険でカバーされない*5ようです。

今後の問題はこの赤字を誰が補填するかですね。国か都か、、、

高校野球では?

では、高校野球ではどうでしょうか?

高校野球ではチケット収入が非常に大きな財源です。コロナ前の2019年、第101回大会では、約6億5,900万円の収入*6がありました。

家族・親戚だけでなく、地元の人たち、甲子園好きなどが駆けつけますもんね。

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高校野球は”教育の一環”

高校野球は始まった当初から、「教育の一環であり、興行でない!」というスタンスを貫いていますので、放映権料がありません。だから同じ試合をNHKと民放が同時にやってるんですね。

甲子園球場側も、その理念に乗っ取り、球場使用料を取っていません。

「わ~、素敵な話だわ~」で終わってはいけません。

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高校野球の収支

つまりは、チケット収入がなければ運営が成り立たないんです。しかも、感染症対策で選手、スタッフらのPCR検査、物品の消毒費用といつも以上にお金がかかる。

クラウドファンディング

ここ最近よく耳にするクラウドファンディング、要はオンラインでの募金ですね~。

高校野球運営に支障が出ないためには、寄付金を頂くしかありません!ってなわけで、主催の朝日新聞がクラウドファンディング*7を始めました。

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クラウドファンディングを開始

目標金額は1億円です。ところが非常に不調なようです。8月12日 13:00時点で、約890万円(目標の9%弱)しか集まっていません。

クラウドファンディングには、お礼の品があるのが通常ですが、名前が載るのと、感謝状が届くくらいです。

毎年すごい額の黒字を生んでいる大会で、コロナ前の2019年は2億円以上の黒字*8でした。それもあり、ネット上では色々と批判もあります。

手数料の問題

朝日新聞のクラウドファンディング、A-port「手数料は、総支援額の16.5%」*9と明記してあります。

1億円ならば、1650万円が主催者の朝日新聞に?ということで、様々な憶測を呼びました。

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実費以外は受け取りません

実際は、今回のクラウドファンディングでは実費相当分以外の手数料を取らないとしています。

ま、朝日新聞からすれば『主催』していることで十分メリットがあるのです。例えば甲子園の特集ウェブサイト、ここに広告をつければそれで儲かります。

さいごに

いかがでしたか?

IOCがコロナ禍でもオリンピックをやりたかった理由はもちろんお金ですね。しかも、IOC自体は無観客であっても放映権とスポンサー広告がメインの収入なのでほぼ無傷です。

一方で、開催した東京五輪組織委員会の方は、チケット収入が1割以上のウェイトを占めていますので、この補填が今後どうなるのかに注目が集まっています。

高校野球については、教育の一環なので放映権料を取らないことになっていますが、過去はチケット収入でボロ儲けしてきました。

高校野球は『五輪反対』、『無観客に』と声高に叫んだ朝日新聞が主催であり、今大会では基本無観客でやる羽目になりました。そのため、大幅な減収になります。

今は、必死で寄付金を募っているところです。

 

では、また(^^ノ