マルチリンガル医師のよもやま話

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絶対損したくない!!5分で学ぶ遺産相続の教養

今回のテーマは相続税です。

これは今すぐに関係あるものでは無いのであまり意識しないかもしれませんが、知っておかなければたくさん持っていかれちゃいますよ~

 

ってなわけで、今回は相続税で損をしないために、誰でもできる節税も含めてお話いたします。少し長い記事で、内容も難しい部分がありますが、何度も読んで理解してみてください。

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導入

相続税の対象

土地などの不動産や自動車、家財、預貯金、有価証券、生命保険などありとあらゆるものに税金がかかり持っていかれます。さらに忘れてはいけないものは過去3年以内の財産の贈与も課税対象です!

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相続税を計算しよう

課税価格の計算

課税価格の計算はあらゆる資産から非課税部分を引いたものになります。

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当然亡くなる直前に財産をあげていると過去3年ルールで課税対象になりますから、もっと早い段階で財産を小分けであげておくことが重要ですね。

まず、「みんなのために使ったお金は非課税」という考えを頭に入れてください。そのため国や地方公共団体への寄付金などは非課税です。他には故人の葬式費用やお墓の費用も非課税です。

また、生命保険は法定相続人1人あたり500万円までは非課税となります。

 

相続税の計算

課税価格が出たところで相続税の計算です。

先ほどの課税価格から基礎控除を引いたものが課税遺産になります。いちいち言葉が変わるのがめんどくさいですが、この2つはしっかりと分けておきましょう。

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この課税遺産を法定相続人でいくらずつに分けるかは遺言書があればその通りに分けます。遺言書がなければ法定相続と言って決まった配分で分けます。(配偶者が1/2、残りの1/2を他の相続人で分ける)

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遺産相続額

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例えば、先ほどの家庭の総課税価格1億4800万円だとすれば、配偶者は7400万円、子供二人は3700万円ずつの遺産を相続することになります。最終的にこれらの額から、この後計算する税金を引いた額が受け取れる額と言うわけです。

相続税(仮)の計算 

では、ここからいよいよ税額の計算にいきます。

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課税遺産は課税価格(1億4800万円)から基礎控除 4800万円を引くので、ちょうど1億円になります。

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では、この課税遺産 1億円を法定相続の割合で分配したら、配偶者が5000万円、長男・長女 2500万円になります。

相続税は以下の表に照らし合わせ計算します。

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この早見表から計算すると、配偶者は 800万円、子供たちは325万円ずつの相続税(仮)がかかることになります。(下図参照)

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しかし、これでは配偶者が税総額の55%の支払いになり、子供たちは22%程のしはらいとなります。そこで、これらを再分配して、法定相続の割合に計算します。

実際の相続税の計算

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相続税(仮)の合計額1450万円を法定相続の割合配偶者1/2, 残りのメンバーで1/2を山分け)のルールで再分配します。

すると、それぞれの相続税は配偶者が725万円、子供はそれぞれ362.5万円ずつになります。

※ただし相続税の配偶者控除があり、実際はおばあさんの支払額は0円です。(後で説明)

 

相続税を安くする

生前贈与

さて、ここからは合法的に相続税を下げるために勉強しましょう。一番最初に相続税には相続税ともう1つ贈与税があると書きました。こちらは相続とは少し違い、お金などをもらったらかかる税金です。

死亡から過去3年以内に贈与したお金は課税対象になります。だから早い段階から財産を渡せばいいのです。

贈与税の基礎控除額は年間110万円です。ですので、年110万円までであれば非課税で財産をあげることができます。これはメジャーな節税ですね。

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生前贈与のウラ話

生前贈与では亡くなる3年前までの贈与に関しては税金がかかりますが、これは相続人に対しての贈与です。つまり相続人以外は3年以内の贈与でも非課税です。

じゃぁ、誰にあげるか?その辺の道歩いてるおじさんにあげますか?笑

です。孫は基本的には法定相続人にはならないので、「過去3年ルール」は当てはまりません。毎年110万円以内であげれば贈与税もかかりません。こうすることで課税遺産を減らすことができます。

あと、もう一つ知っておくべきは教育費です。細かい話は抜きにして、教育費は非課税です。入学金、学費とその都度にあげれば、「日常生活に必要なお金」 と判断されるからです。

注意しなきゃいけないのは、都度払いということです。大学4年分の授業料とかいう名目で1000万円とかドカンとあげちゃうとそれは課税されるでしょう。なので、必ずこれだけは守りましょう。

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配偶者は相続税かからない?!

そう考えてもらってだいたいOKです。配偶者の遺産相続に関しては配偶者の税額軽減というものがあります。1億6000万円までの取り分であれば配偶者は非課税で遺産相続できます。

ならば、課税価格が1億4800万円で課税遺産が1億円だった先ほどの家族で、子供が遺産をもらわず母親が全額受け取れば税金0円なので、みんなhappyなのでしょうか?

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※上図の『総資産』は不正確で『総課税価格』が正しいです

さて、上図では左側に法定相続を行った場合、右側ではおばあさんが遺言書で指定され全額受け取った場合を図示しました。

左側でおばあさんの受領遺産は7400万円<1億6000万円のため相続税は0円です。長男と長女はそれぞれ3700万円ずつ受領し相続税はそれぞれ362.5万円でした。この一家では合わせて725万円支払っています。

一方で、右図の場合でもおばあさんの相続税は0円でした。長男・長女は受領遺産が0円なので当然税金もなしです。この場合、一家としては相続税は1円も払っていません。WOW!! お得ね~

しか~し!甘い話には裏があります・・・

 

配偶者が全額受け取ったら

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6年後おばあさんは亡くなってしまいました。おばあさんの資産はおじいさんからの受領遺産と自分の資産が2000万円あるとしましょう。

まず左からおじいさんが亡くなった時に法定相続した長男・長女は、計算すると今回4700万円ずつ遺産を受け、相続税はそれぞれ340万円ずつでした。

おじいさんの時の分も合算すると、総受領遺産は二人とも8400万円、総支払相続税は702.5万円でした。

一方、右の図では、総受領額が8400万円ずつ、相続税が1190万円ずつでした。おじいさんが亡くなった時は受領遺産も相続税も0円でしたね。

すると、総受領遺産は左の場合と同じく8400万円ずつですが、支払相続税は1190万円ずつと、左の場合よりも大きく損をしています。

これは理由は単純で、おばあさんが亡くなった時は配偶者がいないので税額軽減というものが存在しません。つまり子供たちが受領する大きい遺産はそのままダイレクトに課税されるのです。

ですので、目先の利益に飛びつかずしっかりと計算してから受領遺産の配分を考えましょう。

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生命保険の受取は子!

これも1つテクニックとして覚えておいてほしいのですが、受取人の名前は配偶者ではなく、子供にしておいた方がいい場合が多いです。

生命保険は法定相続人1人あたり500万円までは非課税となります。例えば、先ほどの一家でおじいさんが3000万円の死亡保険に入っていた場合、500万円×3人=1500万円分は非課税になります。

この非課税枠は受け取り人に使えるのですが、配偶者にこれを使うのはもったいないです。なぜなら、配偶者は1億6000万円まで非課税という最強の権利があるからです。

それよりも大きな非課税枠のない子供がこの1500万円の生命保険非課税枠を十分に使って受け取った方が、2次相続を考えると得なのです。

ただし未成年を受取人に指定するのは手続きがかなりややこしいので子供が成人になってからですね。

まとめ

ここでは相続税の概略をお話ししました。ややこしいことも多かったでしょうが、時間があるときにゆっくり読んで理解してみてください。

 

では、また(^^♪

性相近し、習い相遠し ~お金の教養シリーズ~

世の中は知らないと損なことが多いです。幸い情報にあふれる現代は、誰でも知ることができる情報がたくさんあります。

今日も少しは役に立つお金の教養をシェアできたらなと思います。

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性相近し、習い相遠し

これは論語に出てくる孔子の言葉です。別に論語にハマっているわけではありませんが、高校時代の漢文の授業を思い出しながら読んでみてください。(笑)

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人の性質は生まれたときはみんなそんなに変わらないけれど、その後の学習や習慣などによって大きく差が生まれるという意味です。

おっしゃる通りだと思います。生活環境や交友関係、受けた教育などにより人間性と言うのは大きく変わるものです。

また、このようにも解釈できます。何も考えずに今のまま過ごすのと、自ら新しい知識を得るのでも大きな差がある。

ということで、今回は後者の解釈を採用して、銀行口座について考えていきましょう。(笑)すごい無理な展開

 

どこの銀行にするか

みなさんは銀行口座いくつもっていますか?僕は3つですが、主に使うのは2つだけです。

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銀行の口座を作るときにどこの銀行で作ればよいかって悩みますよね。選ぶ基準は色々ありますが、近くに支店があるところとか、会社から給料振り込み用に指定される場合もありますね。

今回は銀行口座について基本から、そして少し深くまで学んでみましょう。

銀行のビジネス

まず銀行がどのようなビジネスをしているかですが、これはもうみなさんご存知ですね。預金者からお金を集めて、それを融資をするわけですね。そして利子をつけて返済してもらった差額が儲けになるわけです。

そのためにはまず預金者がたくさん必要なわけです。自分の銀行に預金をしてもらうために銀行がすることが 預金に”利子” をつけることですね。

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バランスが重要で、預金者を増やしたいからと預金者への利子を増やすと銀行の儲けが減ります。かと言って、融資するときに返済時の利子が高いと借りる人が減ります

 

銀行がつぶれたら

銀行がつぶれ(=破産)たらどうなるんでしょうか?私たちのお金はどうなりますかね。

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 銀行がつぶれて一銭ももらえなかったら困りますよね?

それを守るために銀行も保険に入っているわけです。メガバンク地方銀行信用金庫ネット銀行も同じ保険に入っています。預金保険機構というところに保険料を払って保険に入るわけです。

この機構は政府日本銀行*1も出資しています。要は、万一あなたのお金を預けている銀行がつぶれても口座のお金を保証してくれるわけです。

 

ペイオフ制度

それでは、金融機関がつぶれた場合について考えてみましょう。

 

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だいたい銀行の破綻というのは資産の20%ほどを失った状態だと思えばいいです。こうなったときに預金保険機構の”保険”が生きてくるのです。

金融機関が破綻して資産が20%減となると、皆さんの預金総額を返金するにしても20%分足りません

その不足分を預金保険機構からまかなうのですが、これをペイオフといいます。

さて、このペイオフでいくらまで保証されるのでしょうか?

一般に 名義1つに対して1000万円+利息分 までが保証されます。1000万円を超えた部分についてはつぶれた銀行の余力により状況が変わります。

もう一つ注意点は外貨預金は対象外です。

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貯金が1000万円を超えたら

貯金が1000万円を超えそうなら別の銀行に口座を作ればいいですね。理由はペイオフ制度で補償が1000万円+利息だからです。

もし1つの銀行に1500万円貯金してたらどうなるでしょうか?

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○○銀行が破綻したとします。資産の20%を失ったと仮定しますね。

ペイオフ制度は1000万円までなので、1500万円の預金を 1000万円と500万円で分けて考える必要があります。

1000万円の方は○○銀行の余力では8割の 800万円までカバーできます。ペイオフ制度を利用して、不足の200万円を預金保険機構から賄い、1000万円までは保証されました。

残りの500万円についてはペイオフ制度は対象外ですから、○○銀行の余力に応じて、500万円の8割の400万円が返金されます。

つまり、トータルで1400万円は返ってきます。100万円は諦めるしかないわけです。

ここからも銀行1つに1000万円以内というのがよいということがわかりますね。

メインバンクはどこに?

さて、ペイオフ制度があることから、つまりどこの銀行に口座を持っても1000万円までの保証があるので、問題ないことがわかりました。

自分が普段よく使ういわゆるメインバンクはどこにすればいいのでしょうか?

答えは簡単ですね、よく使うのだから使いやすいところがいいわけです。近くに支店があったりATMがすぐ近くにあるところが使いやすいですね。

実際、メインバンクの割合は地方銀行が一番多いのも納得いきます。

ところで、引っ越しが多い人などは、次の移転先にその支店がないことも考えられます。その場合は、全国に支店が多いゆうちょ銀行UFJ銀行三井住友銀行などのメガバンクが使いやすいかもしれません。

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貯金用口座

銀行口座はリスク分散も含め、2-3個あってもよいと思います。例えば、メインバンクは家賃や光熱費の生活費用にして、貯金はサブバンクでよいかと思います。

僕はメインバンクは緑色のメガバンクにしてあります。これは病院からの振り込みの指定でした。2つ目の口座は赤いメガバンクでした。これも移動した病院の指定でしたが、今はまた移動したので、赤いところは殆どお金も残していません。

そして3つ目にネット銀行の口座を持っています。いまはこれがサブバンクとしています。

なぜ貯金向けにネット銀行がいいのでしょうか?

 

ネット銀行

ネット銀行とはじぶん銀行とか楽天銀行とかイオン銀行とか住信SBI銀行とかそういったもので、いわゆる店舗を持たない形式のものが多いです。通帳すらないことも普通です。

いまはスマホでネットバンキングする人も増えており、お店がなくても大丈夫と言う人はネット銀行はおすすめです。

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要は人件費がかからないので利子が高いんですね。またATMもほとんどがコンビニのATMを利用することで、店舗の経費を抑えれています。

またコンビニは全国あるのでどこにいても使えるというメリットが大きいですね。

通帳がないと困るとかどうしても銀行員などのいる銀行しか無理と言う理由がなければメインバンクにしてもいいと思います。

利子はいま大手銀行で 0.001%というほぼないようなものですが、ネット銀行では最大0.1%を超えるところもチラホラです。貯金にはコチラが向いてますね。

景気がいいとお金を借りて新たに事業をしたい人が多いわけですから利子が高くても借りるわけです。つまり今の低金利と言うのは景気が悪いからなんです。

バブル期を振り返ろう

www.multilingual-doctor.com

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ネット銀行の選び方

これも色々考え方はあります。僕のような楽天経済圏の住人は迷わずに楽天銀行です。

auユーザーでau経済圏の人はじぶん銀行などご自身の都合に合わせて選べばいいです。

株やiDeCoなどを行うつもりの人は証券も行うところを選ぶもよし、単に金利だけで選ぶもよし。

自分に合ったものを選んでくださいね。

ネット銀行もつぶれてもペイオフ制度があるので1000万円までは保証されます。

 

まとめ

いかがでしたか。ネット銀行だと潰れそうで怖いからやめとこうとか、色々お考えはあるかもしれません。

学んだようにペイオフ制度があるので1000万円まではどこの銀行でも保証されます。

ご自身の生活に合った形で銀行を選んでくださいね。

 

 

では、また(´・ω・`)ノ

 

*1:”政府の銀行”、お金を刷る

これで完璧!ふるさと納税のすべてがわかる!

世の中は知らなきゃ損ということが多いです。お金に関しては特にそうですね。

さて、節税で一番手っ取り早く、ハードルが低いのはふるさと納税でしょう。今回は基礎から学びます。

ふるさと納税はすでにやっている人も多いですが、仕組みを知らない方も多いのではないでしょうか?

また、もしまだやっていないという方はコレを読んで始めて見ましょう。

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Basic Course

ふるさと納税とは

「納税」とついてますが実際は「寄付」です。

地方自治体に対する寄付金で、なにも自分の「ふるさと」でなくてもどこの市町村にでも寄付できます。

住民税は自分の住民票があるところに支払いますね。当然、人口が多いですから、都市部の税収は多く、田舎は人口が税収が少ないわけです。

この格差を少しでも縮めようとしたのがこのふるさと納税の根底にあるわけです。

ふるさと納税で地方を活性化しよう!

しかし、単に住民税をどこの市に納税してもかまいませんとするとみんなめんどくさがってやりません。人はタダでは動かないのはみなさんよくおわかりで。笑

だから、色々ルールを作って、「このルールに乗っかった人は得しますよ」というのを作りました。よく言われるのが「実質2000円で色々な特産品などがもらえます」ってやつです。

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寄付金控除

さて、以前所得税や住民税のお勉強をしました。この中で「控除(こうじょ)」という言葉が何回も出てきましたね。

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収入から控除を引いていって残ったものが”所得”でしたね。所得税も住民税も所得によって決まるので、控除が大きいと所得税も住民税も安くなるのでしたね。

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その控除の中に寄付金控除というものがあります。個人が国や地方公共団体、社会福祉法人、一定の認定NPO法人などに対し寄付をした場合に控除されます。

入学時に学校に「寄付金」としたものは認められません。(ま、私大医学部とかでありましたね。寄付金で合格・・・)

ま、普通の人は市に寄付やらNPO法人に寄付しないでしょうからこの ”一般的な寄付金控除" の話はここまでにしておいて・・・

我々庶民がするであろうふるさと納税の話に行きましょう。

 

STEP1:寄付金限度額を知る

まず重要なのはこのお得な制度を利用するには、寄付金の上限額が決まっています。その額を超えた分はただ単に寄付しただけになり控除になりませんので、ご注意ください。

限度額というのは「自己負担額2000円だけで済む限度額」のことです。

www.satofull.jp

ここ(↑)のページへ行き自分の限度額を自動計算しましょう。収入と家族構成を入れると目安額が自動計算されます。

STEP2:限度額以内で寄付し返礼品をもらう

ふるさと納税専用サイトはいくつかありますが、偽サイトもあるので気をつけてください。一般的なサイトを以下に3つだけ載せます。どれか1つ決めてアカウントを作りましょう。僕は楽天経済圏の住人なので楽天でやっています。

www.satofull.jp

www.furusato-tax.jp

event.rakuten.co.jp

たとえば限度額が5万円だった場合は、総額が5万円を超えないように商品を選べばOKです。1カ所で5万円でもOK。

還元率の相場は30%と総務省が示していますので、だいたい1万円の寄付で3000円くらいの商品がもらえると思っておいてください。※実際は寄付金たくさん欲しいので少し多くしているところが多いです。

僕はいつもビールやら肉やらを選んでいます。

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STEP3:返礼品と寄付金受領証明書

あとは返礼品寄付金受領証明書が送られてくるのを待つだけです。ものによっては1-2か月後に届くこともあるので、覚えておきましょう。

返礼品が届いて満足していてはいけません!大事なのは寄付金受領証明書の方です。これは失くさないようにすべて保管しておいてください。これを確定申告で提出して始めて控除を受けられます。

 

STEP4:確定申告する

最後に確定申告のときに寄付金控除を申請します。難しくはありませんが、会社員の方などは確定申告を普段しないでしょうから、ハードルが上がるかもしれません。

そんな人はワンストップ特例制度を利用してください。

返礼品を選んで寄付するときに最後に「ワンストップ特例制度を利用する」という項目があるのでそれを選択すればいいのです。ただし、トータルで5カ所までならこれが適応されます。それ以上の自治体などにふるさと納税した場合は確定申告が必要です。

はい、もうこれでふるさと納税はできますね。

ふるさと納税はネットショッピングと同じやり方

 

-------------ココから先は余力のある人のみ読んでください-------------------

 

Advanced Course

ほんとにお得になるの?

実際にどういう風にお得になるか見てみましょう。前回所得税・住民税の時に出てきた年収600万円の会社員・田中氏(仮)のモデルで見ていきましょう。

まずは限度額を知る必要があります。先ほど紹介したどこかのサイトでシミュレーションすると…

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田中氏(仮)は69,000円までのふるさと納税による寄付ならば実質2000円で恩恵を受けることができるということですね。

そこで、お肉やカニなどの返礼品を選び3カ所に総計65,000円のふるさと納税を行ないました。また、確定申告したくないのでワンストップ特例制度を申請・利用しました。

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さて、ここで、もう一つ重要な事実を確認しておきましょう。

ふるさと納税の実態は「寄付」だと言いましたね?寄付なので、所得税と住民税の両方から控除してくれるのです。 

所得税の還付

では、田中氏(仮)は本当に得したのか見てみましょう。まずは所得税の還付から見ていきましょう。

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田中氏(仮)は年収600万円で各種控除(340万円)をした残り(=所得)は260万円でした。この所得に対する所得税率は10%(下図参照)となっています。

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65,000円の寄付をしましたが2000円分は自己負担でしたね。つまり、差額の63,000円分が控除されるべき額です。所得税率は10%でしたから、63,000円×10% = 6,300円(①)が所得税から還付されます。

所得税についてはコチラ

www.multilingual-doctor.com

 

住民税の控除

つづいて住民税の方です。住民税はどこに住んでいようとだいたい10%でしたね?なので基本分控除は 63,000円×10%= 6,300円(②)となります。

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所得税の還付分10%と住民税の控除10%だけでは計20%分しか返ってきていません。

そこで残りの80%(上図の部分)は必殺技 "特例分控除" として返ってきます。

住民税特例分控除は 63,000円×80%=50,400円(③)となります。

で、返ってくる額の総計は①+②+③=63,000円(④)ですね。つまり、寄付した額から2000円引いた63,000円が所得税と住民税から返ってきています。

住民税についてはコチラ

www.multilingual-doctor.com

まとめ

田中氏(仮)はふるさと納税制度で65,000円分の寄付を行ないました。返ってくる税金は63,000円(④)でしたね。つまり、実質2000円だけ支払ったことになります。

返礼品の相場は30%くらいでしたね?なので 65,000円の寄付金の30%で約2万円になります。つまり2万円分の価値のある返礼品を受けたわけです。

ふるさと納税は確実にお得な制度でした。

 

以上。

Time is Money ~時間は偉大だ~

"時は金なり"

これは18世紀アメリカの独立に尽力したベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)が自叙伝に残した名言、Time is money. からきた言葉です。現在のアメリカ100ドル札に、彼の肖像画が載っています。

今回は”時間”をテーマに少し考えてみたいと思います。

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第1章:日本人と時間

日本人の”感覚”

外国人が日本に来た時に、日本の鉄道が時間通りに来ることに驚いてyoutubeに載せているのは有名な話です。そのくらい日本人は時間厳守な性格だと考えられています。

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明治時代、日本の鉄道も遅延は当たり前でした。しかし、1900年ごろにテコ入れが入ったのです。鉄道員たちに懐中時計を持たせ、時間を守ることを徹底させたのです。

さらに、運転マニュアルを作成し、それを徹底しました。

〇〇駅を発車後は時速▽▽kmまで加速し惰行、◇◇の建物を横切るときにブレーキ開始

などというものを作成し、途中駅間での遅延を防ぐ努力をしたのです。これは現在も行われており、運転士は各駅間の運転マニュアルを頭に入れています。

これらの徹底したマニュアルにより日本の鉄道の定時制は保たれており、一般の人たちも”定時”の列車に乗るように行動し、自然と時間厳守が染みついたと考えられています。(一説です)

 

第2章:個人の"時間"感覚

変化した時間の感覚

僕は時間にかなり厳しい方です。約束には基本的に遅れません。メールや連絡は気づき次第すぐに返事する、いわゆる”マメ”なやつなんです(笑)

こういう人って、返信が遅い人たちの気持ちが理解できないし、イライラすることすらあるんですよね~?(みなさんの共感待ち

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さて、僕の時間の感覚は医師になってから大きく変わりました。

忙しいから? じらし作戦?(笑)いえ、そういう理由ではありません。

経過観察

医者がよく使う言葉で「経過観察」ってのがあります。

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たとえば、上の図のような状況。これはよくあるシチュエーションです。

「悪いものかもしれないが、今すぐ判断はできない。いずれにしても今すぐに検査してもおそらく診断つかないし少し待って画像の変化を見よう」と言うわけです。

医師になりたての頃の僕なら、「いや、今の画像で異常なものがあるんだから今すぐに対応しなきゃ!!」と考えていたでしょう。

この考え方間違えてますでしょうか?

 

待つという戦略

もちろん、先ほどの考え方は間違っていません。しかし、今の僕はそうは考えません。理由は経験とともに少し広い見方をするようになったからですです。

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上の図はザックリと経過観察の理由を書いてますが、今回は肺癌がテーマではないので、軽く流しときます。要は、変化しうるものを1時点で判断するなということにつきます。

この考え方は非常に重要だと思います。特に数値などです!採血の検査値や、血圧の値、東京都の新規感染者数・・・w

何度も記事で書いていますが、これらはワンポイントで見たって意味がないです。だから、「今日は多かった」「今日は少なかった」などは判断材料になりません。それだけで「政府の対策がうまくいっていない」とかいうのは、あまりに短絡的です。

変化しうるものは数値の経過や傾向を見ることが重要となります。

時間は偉大です。それに逆らうことはできません。"待つ"というのもれっきとした戦術なのです。

喧嘩をした時や、男女関係がこじれたときも、慌ててすぐに対応してもあまりいいことは望めませんよね?僕も経験的にそれを知っています(笑)

冷却期間をもつことが重要です。 

 

第3章:金持ちの考え方

あなたの時間単価は?

さて、話は変わりますが、お金持ちの人々のマインドって少し僕らと違うようです。僕も去年くらいに聞いた話ですがその一部の話をシェアしてみたいと思います。

時間単価という考え方をご紹介します。

年収600万円のAさんと年収680万円のBさん、自分がなるならばどちらがいいですか?そりゃ当然、Bさんですよね!笑 

しかし、これは年収しか見ていないのです。

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では、これ(↑)でどうでしょう?Aさんは9時~5時の残業無しです。Bさんは毎日平均2時間は残業があるそうです。

ここで出てくるのが時間単価という概念です。

 

時間単価を計算しよう

それでは時間単価を計算してみましょう。

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時間単価の計算は簡単で、収入を労働に関係する総時間(通勤、残業含)で割るだけです。するとAさんの方が時間単価が300円以上高いことがわかります。Aさんの方が作業効率が高いとも言えます。

金持ちマインドはこの時間単価を重視ます。つまり、Aさんにとっての1時間は2566円の価値があり、Bさんにとっては2247円の価値があるという風に考えます。

まさにTime is Moneyの考えですね。

この考え方では、いかに自分の時間単価を上げるかを重視します。給料は変えれませんので、残業を減らして通勤時間が短ければ時間単価は上がります。

時間単価を上げて、余った時間を有意義に過ごすというのが充実した人生につながると考えているのです。

ちなみに僕の時間単価は2081円でした(笑)

医師の勤務・給料についてはコチラ

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応用編

では、この時間単価を日常生活で応用することができます。たとえば、タクシーを乗るかどうか悩んだときに使います。駅から1.5kmの距離、歩けば20分、タクシーで5分です。初乗り運賃で行けるので660円としましょう。

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Aさん(時間単価 2566円)で考えましょう。タクシーに乗ることであなたの大切な15分をセーブできるとすると、644円分浮くと考えるのです。

さらにタクシーに乗るメリットは体力温存や、余裕もって到着すること等たくさんあると思います。それらの+アルファ16円以上の価値があると判断すれば、660円の運賃のタクシーに乗っても問題はないという考え方です。

自分の中で決めていてもいいですね。大雨なら +1000円分の価値とか。

これは特急料金についても同じことが言えます。30分ゆっくり家を出れて広い席でゆっくりできる価値が特急料金以上であればOKです。

ま、正直こんなんイチイチ考えるのめんどくさいと思うのですが(笑)

 

応用編2

家賃についてもこの考えを使うことができます。

通勤に1時間かけているBさん(時間単価 2247 円)の例で見てみましょう。

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通勤に往復で60分かけているBさん。その価値は 2247円ですね。

毎月平日のみ22日出勤するとすると、2247円×22日で49,434円です。つまり、往復1時間の通勤でBさんは月に5万円弱も消耗しているというわけです。

極論ですが、会社のすぐ近くに住んで通勤時間が0分ならば、毎月5万円分のムダ時間をセーブできるので、例えば家賃が2-3万円upしても会社近くに住むのは価値があると考えられるわけです。

 

まとめ

いかがでしたか?あくまでこれは「考え方」ですから、絶対に正しいわけではありません。

要点は、無駄な時間を省いて、時間単価をがあげること。そして、その余った時間を有効活用しようという考えですね。新しい習い事をするのもよし、子供と遊ぶもよし…

Time is Money!

 

二・二六事件、五・一五事件はコチラ

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電気会社の乗り換えで節約生活 ~電力自由化~

久しぶりにコロナ以外の話を。。。

3月末から〇〇ガスから電気の契約をうちに変えませんか?と数回電話が来た。

いまならキャンペーン中なので最初の2か月分無料です

基本的には節約好きなので少し学んでから検討しようと思いましたが、あまりにしつこい電話で、忙しかったので断りました。(笑)

ということで、今回は電力自由化をテーマに学んでいきましょう。

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規模の経済

規模の経済(economies of scale)という言葉をご存じでしょうか。

簡単に言うと一軒の八百屋さんが野菜を売るにしても規模が小さい(売れる量も少ない)ので、薄利多売が通用しません

しかし、地方に何十店舗もあるスーパーならば規模が大きいので薄利多売が可能になります。そのため、同じ野菜でも安く売ることができます。

これが規模の経済と言います。

電気と言うのは誰もが使うものなので国としてはなるべく安くみんなに届けたいわけです。小さい電力会社が1県に100あって電気を売るよりも、大きい会社が電気を一括にして売った方が安上がりですね?

なので、国は地域独占を10社の電力会社に認め、その代わり電気料金を規制してきました。

 

電力の自由化

電力の自由化の概念は簡単には次のようなものです。

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これを見ると、さきほどあった「規模の経済」の理論と真逆を言っているわけです。そうなんです、実はここ最近は電力に関しては”規模の経済”が通用しなくなっているのです。

というのも、技術革新でガスタービンなどでの発電は小規模でも安価に電気を供給できるようになったことが大きいです。

1個の大きな施設だけで作らなくてもよいということです。そこで、電力の独占販売をやめようという流れになりました。

この考えは昔からあったのですが、大きく動いたきっかけは東日本大震災(2011年)でした。

東日本大震災についてはコチラ

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東日本大震災で一部の地域で電力不足が生じました。電力会社が1つだとそこがやられてしまうとたくさんの世帯が電力喪失します。

そうして、国全体で既存の仕組みを変えていこうという流れになりました。

 

電力自由化のメリット

メリットはさきほどの図(電力自由化の基本概念)がすべてです。

要するに自分で電力会社を自由に選べることや、発電方式(原子力、火力など)から選ぶこともできます。何よりも会社が増えたことで、プランも増えました。

例えば、時間帯によって電気代が違えば、家庭によって昼間は電気を使わない家や夜にたくさん使う家やタイプによって適したプランを選ぶことで安くできるといったメリットもあります。

さまざまな企業が電力に参入することで多種多様なサービスが生まれ、経済が活性化することも期待されています。

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電力の供給は大丈夫?

これは非常に気になりますね。答えは大丈夫です。

まず上の図を説明すると発電はたくさんの会社が原子力やら火力やら水力やら太陽光で発電します。作られた電気はいったんすべて変電所に一括集約され、送電ロスが少なくなるように高電圧にして送電されます。

送電の際は契約会社に関係なく各家庭まで一括管理で送られます。「ハード面」は以前と変わらないのです。ですので、どの会社と契約しても電力の供給も安定しています

今回の自由化で最後の「小売」がたくさん増えました。小売店は今まで地域独占していた関電とか東電とかと契約し、電気を買ってそれを小分けにして私たちに売る窓口となっているだけです。(携帯の格安simとよく似た構図)

さらに言うと、電力会社を乗り換えるとなっても大規模な工事など必要ありません。簡単な手続きと場合によってはメーターの交換のみで乗り換えできます。

 

電力自由化のデメリット

一番私たちに重要なことは安くしたいにも選択肢が多すぎて困る。つまり自分で調べて一番合ったものを選ぶという、「めんどくさがり」には一番キツいことですね。

で、他は・・・?

最低契約期間」という縛りがある会社もある!くらいですね。

これも格安simとよく似ていますね。(笑)

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会社選びが大変

デメリットはないことが分かったけど、実際どこにしていいかわからない!

これはよくある話ですね。まとめたサイトを利用して試算してみればすぐ比較できます。最近は便利な世の中になっております。

kakaku.com

こういうサイトで調べて決めていいでしょう。

あとは一番楽なのはセット割ですね。ガスと電気セットにしたら安くなったり、携帯電話の会社とセットで安くなったり色々あります。

各携帯電話の会社のホームページで電力のセット割を調べてみましょう。

 

さいごに

いかがでしたか?電力自由化というものがどんなものかザックリとおわかりいただけましたか?

1つ言えるのは1人暮らしで電力消費の少ない場合はあまりメリットがないことが多いです。2-3人以上で住んでいると安くなる可能性が高いです。

安いだけで飛びつくのではなく、「契約期間の縛り」などがあることもあるので、引っ越しが多い人は注意して選びましょう。というのも、次の引っ越し先ではその電力会社は使えないエリアなんてこともあるので・・・

僕は次引っ越しが終わればそのとき乗り換えも考えます。

日韓スワップ協定をわかりやすく

数日前まで同じ職場にいた後輩からリクエストで「日韓通貨スワップ」。

最近は日韓関係が悪くなるにつれて、

日本「延長する気はない」

韓国「日本がお願いするなら結んであげてもいい」

というお互いの子供の喧嘩?みたいなことで、事実上破棄になっている状況です。今回はこの日韓スワップ協定を根本から学んでみましょう。

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通貨スワップ協定

アジア通貨危機についてこないだまとめましたね。途上国は経済が順調に行っていても海外での出来事などにより急に輸出が冷え込み不景気になることがあります。

景気がいいときは海外からの資本がどんどん入るのですが、先進国での景気や経済政策に振り回されその後極端に経済状況が悪化、自国通貨が暴落すると、海外からの投資額を返済できなくなるわけです。

こうしてその国の通貨の価値が暴落したときに、お金を融通し合って助け合いましょうというのが通貨スワップです。

アジア通貨危機についてはコチラ

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swapと言う単語は「交換する」と言う意味です。

例えば、日米通貨スワップでは、前もって融通し合う交換レートが決まっています。つまり「1ドル=○○円で貸し合いましょう」となっています。

日本が通貨危機になった時はアメリカからドルで、アメリカが通貨危機になった場合は日本からでお金を貸すことになっています。

日米通貨スワップは額が無制限で、無期限の契約となっています!

円とウォンの関係

これは説明不要かもしれませんが、円はドルやユーロと同じく基軸通貨です。別名国際通貨とも呼ばれ世界的に信用の高い通貨です。

いつ暴落するかわからないような不安定な通貨では取引したい国はありません。なので、取引をするときはこのような国際通貨で行います。

ですので日韓の貿易の大半はウォンではなく円で行っています。

ちなみに韓国の外貨準備高は4000億ドルくらいで、日本は1兆2500億ドルくらいなので韓国の3倍くらい持っているわけですね。主にはアメリカの国債として持っています。

日韓通貨スワップ協定

日本銀行と韓国銀行(つまりお互いの中央銀行)がこのスワップ協定を結んだのは2005年です。

1997年にアジア通貨危機でかなり痛い目にあった韓国は、その再発予防としてこういったスワップを結ぶことが重要課題でした。

この通貨スワップは韓国にはさらにメリットがあります。

それは、「円」という保険です。韓国の経済状況が悪くなっても、安定した日本の「円」が借りれるからウォンが大暴落する心配はないのです。

この「有事に円を融通してもらえる」という”保険” を手にしたため、韓国は海外からの投資を受けやすくなりました。

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日本はメリットなし?

「はっきり言ってない」これが答えです。そもそもこの通貨スワップは”助け合う”というものですが、実質は日本が韓国を助けるための協定なのです。

「円」は世界で認められる安定した基軸通貨です。

さらに言うと、万が一のことになった時に、日本はアメリカとのスワップ協定により無制限に無期限でお金を融通してもらえるのです。しかもこちらも基軸通貨のドルで!

下記に日韓双方のメリット、デメリットをまとめます。

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よく言われるのは『日本にはメリットがなく、韓国にはデメリットがない』。これはこの通貨スワップの基本を知れば正しいことがわかりますね。

日韓スワップの終了

さて、韓国にとっては重要なはずのスワップ協定はなぜ破棄になったのでしょう。理由は単純です。日韓関係が悪くなったからです。

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この流れを見ると2005年に日本銀行と韓国銀行でスワップを締結しています。これは上でもありましたが、円とウォンでのスワップでした。

2008年リーマンショックで世界的に不況となり韓国通貨危機となりました。このときに、韓国銀行は日本の財務省に働きかけ、財務省との間で「ドル建て」でのスワップを締結したのです。

その後は、上図の通り、日韓関係が悪くなり、何より天皇謝罪発言では多くの日本人を怒らせました。当然日本側は、スワップ終了期限が来たら延長はしないとし、韓国も「今の状況で延長は不要」として2015年に終了しました。

スワップ終了後の動き

2015年に終了したものの、必要が生じた場合はまた結びましょうというよくわからん感じでいた両国でした。

2015年と言えば、日韓の協力的な未来のために、安倍総理大臣と朴槿恵大統領が慰安婦合意を結びました。これについてはまた別記事で詳しく解説しますが、アメリカのオバマ大統領の仲介の元、国際的に正式な合意です。

「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」

この合意に日韓の両外務大臣がサインした国と国の約束です

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2016年に釜山にある日本領事館前に市民団体により慰安婦像を設置されました。これは慰安婦合意(2015)に違反すると日本は抗議しましたが、撤去されませんでした。

これに日本も怒り、日韓スワップの話し合いは無期限で中断としました。

アメリカとの為替スワップ

2020年3月に韓国銀行はアメリカのFRBという組織と6ヶ月限定で600億ドル為替スワップを結びました。

この為替スワップは通貨スワップと違って、FRBは韓国銀行経由韓国の民間銀行に600億ドル貸しつけました。しかも短い6か月後に利子付けて返さないといけません。

今韓国経済は少し傾いており、新型コロナウイルス感染症でさらに悪化しています。アメリカの資本がたくさん入っている韓国にもしものことがあっては韓国にいるアメリカ企業も危ないわけです。

その前に韓国から撤退するでしょうが、撤退前に保持しているウォンをドルに換えたいですよね?それなのに韓国内にあるドルが足りないと交換できません。

それは困るので、今回お金を貸したのが理由だろうと考えられています。尚、アメリカは今回韓国だけでなく他のいくつかの国とも同様の為替スワップを結びました。

ただ、意図的かどうかは別として韓国内の報道では「通貨スワップ」締結とされています。そこはご判断おまかせします。↓

japanese.joins.com

まとめ

いかがでしたか?日韓のスワップ問題が少しお判りいただけましたでしょうか?

日韓通貨スワップ協定は基本的には外貨準備高が少なく、通貨信用度が低い(=外国での経済に影響を受けやすい)韓国を助けるための協定でした。

韓国からしては、経済危機にならなくても、日本の「円」がバックにあるということで海外に安心感を与え投資を増やしてもらえるメリットもあります。

日本には基本的にはメリットはありません。

日本としては韓国が友好国、同盟国であれば、結ぶといったところでしょうか。

韓国も国内の世論を意識していま日本に軟化した態度が取りにくこともあり、なかなか難しい話ですね。

 

アジア通貨危機はこうして起こった~経済と近代史~

日本のバブル崩壊後の「失われた20年」については以前勉強しました。

バブル崩壊と失われた20年はコチラ

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なぜ20年もの長い間日本は不景気が続いたのかというと、まず大前提でバブル崩壊の傷跡があまりに大きすぎたことです。

そして、その後、世界での出来事も影響しました。アジア通貨危機リーマンショック、さらには東日本大震災。これらによりなかなか抜け出せない状況だったのでした。

今回はアジア通貨危機(1997)について振り返ってみましょう。

リーマンショックについてはコチラ

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 ▼東日本大震災についてはコチラ

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ドルペッグ制

発展途上国や政状不安定な国では自国の貨幣価値というものはかなり不安定なわけです。そこで、アメリカのドルとの交換額を常に同じにするいわゆる固定相場制を採ることで自国の貨幣を安定させます。このことをドルペッグ(Dollar Peg)制といいます。

タイ政府は1ドルが26バーツとなるように市場に出回るバーツの量を調節していました。日本などは自然な売買で市場の流れに任せる変動相場制ですね。日本政府はここには介入しません。(もちろん相当な急変動があった場合などは為替介入します)

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ドルペッグ制では、その国の通貨はドルと連動するので、急激に価値が下がったりしにくいのです。その安心感から外国からの投資を受けやすいというメリットがあるわけです。

GDPが低い国の方が経済成長する可能性が高いのでしたね?先進国としてもそういう国に安心して投資をしたいので、これはお互いにいい制度だったのです。

GDPと経済成長率はコチラ

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途上国は高金利?

日本はとんでもないくらいの低金利時代ですね。銀行の普通預金の金利は0.001%ですね。100万円預金して1年後に金利が10円ですね。(笑)

ここで、経済を知る上で鉄則を覚えておきましょう。

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 基本的に先進国は低金利新興国(発展途上国)は高金利です。理由は今発展している国はどんどん事業を大きくして儲けようとする人が多く、お金を借りたい人(=景気がいい)が多いのです。こういう場合は金利を高く設定しても借りてくれます。

また、金利が高いと、お金を貸すと高金利で返ってきますね?こうして、海外からの投資が増えるわけです。

逆に先進国では、成熟しきっていれば新たな経済成長も見込めません。あえて事業を大きくしようとしてお金を借りたい人がい少ない(=景気が悪い)ので、金利を低くしてあるのです。

 

日本の東南アジア進出

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オイルショック後、日本は高度経済成長期が終わりました。その後、日本は自動車産業や電化製品に力を入れました。

一方のアメリカもオイルショックの影響で不景気が続いていました。ロナルド・レーガン大統領によるレーガノミクス「強いアメリカ」をめざし、円安・ドル高になりました。

円安は日本にとって輸出のチャンス!これは何度もやりましたね。

そして日本は品質のいい国産自動車などを輸出しまくり儲けたわけです。気を悪くしたアメリカはプラザ合意を結び円高・ドル安の方向にもっていったのでした。

 ▼レーガノミクスとプラザ合意についてはコチラ

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資源のない国、日本は輸出できないと困るわけです。しかし円高の状況では輸出で儲けるのは難しい。そこで、コスト削減のためにタイなどの東南アジアに進出し工場を作りました。

 

組み立て工場で経済成長

日本の自動車メーカーがタイに進出し生産を始めました。タイでの自動車産業が活発化しました。その自動車を輸出することでタイは経済成長するのでした。

但し、タイでは部品を輸入してきて組み立てて出荷するだけでした。「組み立て工場」として活躍したわけです。

1990年代のタイの経済成長率は9%を記録したこともあります。さきほどもやりましたが経済成長が著しいと高金利になります。この頃のタイでは定期預金で金利10%以上、インドネシアに至っては20%近くもあったので驚きです。

こうなるとこの金利で儲けようと海外の資本が入ってくるわけですね。途上国の不安定なはずのバーツですがドルペッグ制により急変動しないことから投資家には好まれました。

 

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強いドル政策

この頃アメリカではビル・クリントン大統領の政権で強いドル政策(1995)を推し進めました。つまりドル高政策です。

振り返れば十数年前、レーガノミクスでもドル高政策をしていました。このときは失敗し、プラザ合意でドル安にしましたね。

ドル高になると、ドルペッグ制(固定相場制)を結んでいるアジア諸国も連動して影響を受けます。つまりタイではバーツ高になりました。

これは輸出には不利となり、タイの景気は後退しました。

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レーガノミクス

チキンレース

ヘッジファンドとは簡単に言えば「手数料は高いけど、どんな手法でも儲けてあげまっせ」という投資信託会社です。(笑)

大富豪とかからものすごい額を集めて、攻めの運用をしてお金を儲けるわけです。

このヘッジファンドが、タイのバーツに仕掛けたわけです。

タイに投資していた資金を一気に引き上げ、タイ国内のドルが少なくなります。その上で、タイのバーツを借りれる限り借り集めてきてそれを売った(=空売り)のです。

タイ政府としてはドルペッグ制を維持するためには、売られた大量のバーツを自国で持っているドル(外貨準備高)で買って均衡を保つしかないのです。

しかし、投資されていたドル資本は引き上げられていますので、タイには残されたドルもいずれ底をつきます。こうして、タイ政府はドルペッグ制をやめ変動相場制に移行しどんどん売られるバーツは暴落しました。(1ドル=26バーツ→207バーツ

ヘッジファンドはその後も空売りを繰り返し、このチキンレース(英語ではchicken game)に勝ったのです。

自力で再生不能に至ったタイはIMF(国産通貨基金)と呼ばれる国連の専門機関の支配下に入りました。

 

他のアジア諸国への波及

バーツを大暴落させたヘッジファンドさんたちは同じようにドルペッグ制を引いているアジア諸国で現地通貨の空売り攻撃を仕掛けたのです。

こうしてインドネシア韓国もタイと同じような状況に至り、IMFの管理下に置かれることになりました。

韓国では国家信用格付けが下げられていき、韓国の株価も暴落しました。1997年末には韓国は海外向けの国債(ドル建て)の返済の期限がせまったことでデフォルト*1寸前にまで行きました。

IMFの介入により財閥の解体や緊縮財政を行い2001年に借金を返済しました。実は日本は韓国がつぶれないようにかなり奔走したのですが、当然韓国ではそんな事実は知らされることもないでしょう・・・

 

韓国の国債と日本の国債

韓国はドル建ての国債を発行して海外からお金を借りているわけです。これはウォンの国際的信頼が低いためドル建てでないと国債を買ってもらえないということです。

また、外貨準備高が底をつき返済ができなくなるとデフォルトとなります。

よく日本は「借金まみれでそのうちつぶれる」という ”” が言われていますが(笑)

日本の借金(=国債)は日本人から借りているので、「円建て」なのです。つまり、万一返済が無理になるような状況が来れば、「円を刷る」ことで返済できるので国がつぶれることは基本的にありません。

もちろんアホみたいに円を刷れば、「お札がただの紙きれ」になってしまうので、やりませんが。

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まとめ

発展途上のアジア諸国ではドルペッグ制で自国通貨の安定させていた

アメリカのドル高政策に連動し、アジア当該国の通貨価値も高騰した

それに伴い輸出が減り、これらの国の経済は鈍化した

不景気なのに通貨価値が高いという”ひずみ”にヘッジファンドが攻撃

基礎体力のない国は経営破綻となった

日本は変動相場制であったことと、ドルを大量に持っていたため同じ攻撃をされても耐えしのぎ、逆にヘッジファンドを倒産させた。

 

*1:国債の返済ができなくなること

バブル期を振り返ろう②

前回に引き続き、バブル崩壊(1991-1993)はどのようにして起こったのかを学んでいきましょう。前回は戦後の高度経済成長期からバブル経済期(1986-1991)までの部分を学びましたね。今回はいよいよバブル崩壊のときを迎えます。

バブル経済についてはコチラ

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土地神話

プラザ合意(1985)ののち、円高・ドル安が進みました。そのせいで日本は輸出で以前のようにボロ儲けが難しくなっていました。

日本政府は低金利政策に乗り出して、「お金を借りやすく」する社会を作ったところ、新たな事業開拓や、都市開発などが加速し土地の価格が上がりました。

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土地神話と財テク

当時は「土地神話」があり、土地の価格はどんどん上がり続けると信じられていました。そうすると、買った土地がさらに値上がりすると、その土地を担保にまた銀行にお金を借りるのでした。

「土地神話」にとりつかれていた銀行もまたどんどんどんどんお金を融資しまくったわけです。値上がりすることを見込んで土地の価格よりも高い額を融資したりもしました。(つまり、土地の価格が暴落したらそれは不良債権となるわけです。)

株価の高騰とその弊害

大企業だけでなく、個人においても大きな動きがありました。1987年にNTTが上場して株を買えるようになったわけですが、その株価がどんどん上がり続けたのです。

その「儲け話」を聞きつけ多くの人たちがよく何も知らないままに「株」を買いまくったのでした。こうして日本の株価は高騰しました。日経平均株価は史上最高値38,957円44銭まで上がったことがあります。

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株価が上がる(多くの人が株を買う)と、企業からすれば、わざわざ銀行にお金を借りる必要がなくなります。しかし銀行はお金を貸して利子で儲けるので、お金を借りてもらわないと困るわけです。

困った銀行は企業ではなく、個人に目を向け融資の話を持ち掛けます

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悪魔のささやき

また、この時期、マスコミも「土地神話」を煽り立てました。そしてこの儲け話に乗った地主たちが土地を担保に銀行からお金を借りてマンションなどを建てまくりました。

総量規制

土地の価格が高騰しすぎ、実態と合わない額にまで膨れ上がったのです。中身がないまま膨れ上がってやがてはじけるのはbubbleにたとえられました。

「浮かれてしまった日本経済」はもう取り返しのつかない状態になっていたのです。

そこで大蔵省は総量規制(1990)を通達し、土地購入のための融資を減らすようにしました。それと同時にプラザ合意後に行った低金利政策を改めて、金利を上げました。

つまり、お金を貸す量に制限をかけ、借りる側にも金利が上がることでお金を借りにくくしたわけです。

他にも地価税と言って土地を持っていると税金がかかりますという法律を作って土地の購入を抑制しにかかりました。

土地価格下落

総量規制に金利上昇、地価税などで、土地をさらに買いにくいし、また持てば持つほど税金を払うことになることから「土地神話」は崩壊し、土地を売る人が後を絶ちませんでした。そうすると、土地の価格は一気に下がり、大企業などは多額の不良債権を持つことになりました。

また、株価もそれらの影響を受けて一気に下がりました。1990年と言えば、湾岸戦争が起こりました。イラクがクウェートに侵攻し、国連軍がイラクを空爆しました。

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このような情勢も相まって日本の株価はどんどん下がり続け、日経株価平均は1年で半分近くまで値下がりしました。

ここまでくると大蔵省の総量規制の副作用だけが強く出たということになります。期待していた景気抑制が行き過ぎたのです。

大手金融機関の破綻

不良債権を多数持つ企業はつぶれていきました。こうして大手企業が倒産するとそこに大金を貸していた銀行もお金を返してもらえません。

こうして、銀行や金融機関の中でも破産するところが出てきます。山一證券北海道拓殖銀行の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。

銀行の営業不振により、融資自体がかなり難しくなり、安定した優良企業でも融資を受けにくい状況となりました。資金繰りが厳しくなった企業ではリストラも行われました。

失われた20年

バブル崩壊後の日本経済はよく「失われた20年」という表現を使われます。20年もの間景気はよくならずきたのです。

当然日本政府も黙って見ていたわけではありません。いろいろな景気刺激策を行ったりしましたが、バブル崩壊のダメージが大きすぎました

さらには、世界規模での影響が続きました。1997年のアジア通貨危機や2000年以降のアメリカでのITバブル崩壊などのあおりも受けました。

その後も、2008年のリーマンショックに、2011年の東日本大震災などにより日本経済はなかなか再興するチャンスをつかめませんでした。

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日経株価平均(イメージ)

上の図を見ると2011年以降株価は上昇しております。今はまた2020年に入ってCOVID-19の件で一時は16000円台まで下がるも少し持ち返して03月27日時点で19000円台です。

しかし、バブル崩壊後の失われた20年の株価と比べるとまだまだ高い状況ではあるのですね。

まとめ

いかがでしたか?バブルが起こったのにはプラザ合意後の日本の円高が原因でした。今までは円安で輸出で儲けてきた日本が円高になったこととそれに呼応する低金利政策により国内への投資が増えたのでした。

そして「土地神話」により土地を買う人が増え、土地の価格は度を過ぎて高騰しました。もうこの時点でバブルの崩壊へと向かっていました。

また、マスコミによる「土地神話」の流布も大きな要因でした。そして「儲け話」に乗っかってみんながこぞって「株」に手を出したのもバブル崩壊後に影響しました。

ここから学べることとしては2つです。

1)メディアの乗せられないこと

2)株や投資に手を出すならば勉強をしましょう

特にメディアの情報は鵜呑みにせず半信半疑くらいがいいかもですね。

バブル期を振り返ろう①

新型コロナウイルスの影響で世界的に株価暴落が起こっており、世界恐慌になるのではと恐れられています。「第二のリーマンショックか」とも言われる今回の世界的な経済危機はどうなるのでしょうか。

リーマンショックについての記事はコチラ

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さて、日本経済の話をするときにいつも出てくるキーワードがあります。そう、バブル崩壊です。バブル崩壊って実際どんなものだったのでしょうか。

2回に分けてバブル崩壊までを一緒に学んでいきましょう。

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経済成長率の鈍化

日本は戦後高度経済成長期であったころ、1973年に第4次中東戦争を機にオイルショックが起こりました。これにより石油依存の社会であった多くの国が大打撃を受けました。

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そして、1974年に日本は戦後初めてのマイナス成長、つまり、GDPの増加率がマイナスに転じたわけです。日本の高度経済成長期はこうして終わりを迎えました。

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その後スタグフレーション*1の状態でありました。日本はエネルギー資源を石油に依存しすぎていたことを顧みてエネルギー改革を行ったため、比較的早期にオイルショックの不況から逃れることができました。

ペティー・クラークの法則

オイルショック後は日本では石油や重油などをたくさん使う産業は低迷していたので、違う分野に力を入れました。自動車産業電化製品です。

また、こうして日本は商業・運輸・サービス業第三次産業へと舵を切りました。簡単に言うとこれが日本がバブルになった理由です(笑)

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ペティー・クラークの法則

上図のように、ペティー・クラークの法則というものがあり、国が発展するときはその産業構造は第二次、第三次産業へとシフトするというものです。日本もオイルショック後は第三次産業にシフトしました。

レーガノミクス

ちょうどこのときアメリカはRonald Reagan大統領レーガノミクスという高金利政策と減税政策を行っていました。ちなみにアベノミクス低金利政策です。

アメリカもオイルショックの影響を受けていて景気が悪く、スタグフレーションにあったためそれを脱却するために、軍事費用を増やし「強いアメリカ」をめざし、さらに減税を行い消費を促すような政策でした。

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レーガノミクスで大儲け

この政策によりドル高・円安となったため、日本にとっては輸出で儲かるチャンスとなったわけです。

覚えておいてください、輸出で儲けるのは円安!!アベノミクスも円安にして輸出を増やしたいのでしたね。

貿易摩擦とプラザ合意

日本は産業構造変化とアメリカのレーガノミクスのおかげで車や家電貿易黒字が相当強まりました。もちろん裏には日本製品の品質の高さもあってのことです。

すると、気が悪いのはアメリカですね。「お前ばっか儲けやがって!」ということで貿易摩擦が起こったのです。

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上の図のような流れでアメリカ様を怒らせてしまった日本は、アメリカからの牛肉、オレンジなどの農作物の輸入拡大と、ジャンボ機の購入をすることになりました。

日本航空(JAL)はボーイング747を113機も導入してその維持費が高すぎたことも経営破綻の理由とされています。

1985年にニューヨークのプラザホテルにG5(米英仏独日)首脳が集まり、なされたのがプラザ合意(Plaza Accord)です。

「ドルが不安定になりつつあったことで世界経済のためにみんなでなんとか安定化させましょう」という名目ですが、実質は円安・ドル高によりアメリカが貿易赤字がひどくなりすぎたので、なんとか円高・ドル安の方向へもっていきたいので合意をとったというのが実質でしょう。

円高不況

プラザ合意(1985)で米ドルの安定化を図り徐々に【円安→ドル安】の方向に進みました。プラザ合意があった時点では1ドル=240円くらいでしたが、その後1987年に入ったころでは1ドル=160円くらいまで円高・ドル安が急速に進みました。

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プラザホテル

さっきもやりましたが、日本が貿易で儲ける(=どんどん輸出する)為には円安が必須条件でした。円高では日本の輸出は伸び悩むわけです。

こうして日本は円高不況と呼ばれる状況にい陥ったわけです。

バブル経済期と財テク

円高不況となった日本政府は景気刺激政策として低金利(金融緩和)を打ち出します。要するにお金を借りるときに返済する利子を下げましょうということです。

こうなると、「お金が借りやすい」状況となり、新しいビジネスを始めたり、事業拡大をすることが容易となるので、お金が回りやすい社会になるわけです。

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土地神話と財テク

そして大都市では再開発事業も進んでいきました。こうして土地の価格は上がりました。当時、一般人の中でもお金を借りて土地を買うブームがありました。土地がどんどん上がると信じられていたからですね(土地神話)。

そして企業も土地や株式に投資しまくり、資産を増やそうとしました。こういったことは財産増加テクニック(財テク)と呼ばれます。また、円高であるために日本企業による国外企業や不動産などの買収も多数行われました。

また、株ブームは「儲け話」によって爆発的に広がり、多くの人が株を買いまくりました。これにより日本の株価が上がったのです。

これがいわゆるバブルの時代(1986-1991)なのです。

高度経済成長期ではない

 ちなみにこのバブルの時代は高度経済成長期に入らないのでしょうか?答えは入りません。高度経済成長期の定義は「実質経済成長率がおおよそ10%以上」でした。

バブル期は土地や株価は実体経済とかけ離れて高騰しただけなのです。この時期の実質経済成長率は5%程度だそうです。

高度経済成長についてはコチラ

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次回は、バブル経済期からバブル崩壊までを簡単に学びましょう~

バブル崩壊はコチラ

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*1:経済は停滞するが物価が上昇し続けること

消費税は逆・累進課税 ~税の基礎シリーズ~

2019年に消費税が10%になり、消費の縮小を少しでも和らげるために軽減税率というシステムが導入されています。それによりあるものは10%, あるものは8%という複雑な消費税のシステムとなっています。

さて、それはそうと消費税(VAT)とはどのようなもので何に使われているのでしょうか?教養として学びましょう。

 

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日本で消費税の開始

消費税の歴史は実は結構浅いんです。平成元年(1989年)に竹下登首相のときに導入されました。最初は3%から開始されています。

さて、ここまでの経緯をものすごく簡単に振り返ってみましょう。

戦後高度経済成長期にあった日本では、『福祉』を重視していました。田中角栄首相の際に70歳以上の医療費無償化が開始されました。

ところが、1974年にオイルショックが起こり、日本の高度経済成長期は終了しました。そのときに戦後初めてのマイナス成長経済*1という厳しい中で、推し進めた高齢者医療費無償を行なうことになったのです。

これを機に、所得税、住民税、相続税などの直接税とは別に間接税を増やす方向に進んできたわけです。これにより1989年に消費税やたばこ税ができました。(※酒税は前からありました。)

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世界の消費税率

日本の現在の消費税は2019年より10%となっています。世界を見てみるとOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均が19%なので、日本はその半分以下です。

EU(欧州連合)加盟国は消費税率は15%以上にすることが義務化されています。

アメリカでは売上税(sales tax)があります。これは消費者からしたら日本の消費税(consumption tax)と同じようなものですが、最終の消費者のみが払う点で異なります。

 

日本の消費税率の推移

平成元年(1989年)に3%でスタートした消費税ですが、その後、段階的に5%→8%→10%と増税をしていきました。

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高齢化社会で社会保障費が年々膨れあがり、国際機関などからの助言もあり消費税増税を行なうわけでありますが、政権としては「消費税増税」というのは支持率低下に直結する上、景気後退などのリスクもあるため本当は腰が重いのです。

 

逆累進課税

過去の所得税や社会保険料を振り返ってみましょう。これらは所得が多い人は税率があがる累進課税制度でしたね。※住民税の税率はみんな一定でした。

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消費税はどうかというと、2020年現在は金持ちが買おうが貧しい人が買おうが消費税率は10%で同じです。もっとわかりやすく言うと1万円の商品を買うとその消費税は1000円です。

この1000円という税金は金持ちにとってはものすごくはした金額ですが、貧しい人からすれば大きな金額になります。これを逆累進制といいます。

これについては色々な意見があります。いくつか紹介すると・・・

・消費税はみんな一律10%だから公平である

・消費税の逆累進制であるため、社会保障の概念に相反する

・金持ちは消費も多いから結局消費税の総額も多いからい問題ない

 

「日本は消費税増税を」

IMF(国際通貨基金)という機関は国が潰れないように、助言を行なったり、本格的にヤバくなった国には融資したりをします。1997年のアジア通貨危機ではデフォルト*2寸前までいった韓国はIMFに援助を要請しましたね。

ちなみに日本のIMFへの出資はアメリカに次ぐ2位です。

そのIMFは日本の経済安定のための助言として「消費税の段階的増税」を挙げています。基本的には15~20%位をめざすように指示しています。つまり他の先進国レベルへの引き上げです。

OECDも日本は消費税は増税すべきとしています。

 

増税による景気への影響

「消費税増税で景気が悪くなる」

これはよく聞く話ですが、実際はどうでしょうか?ここは専門の経済学者の中でも意見が分かれています。増税前は、高額の買い物をしておこうという駆け込み需要があるため、増税直後はその反動で一時的に消費が冷え込みます。ですので、短期的に景気の流れを見るのは無意味です。

1997年に橋本龍太郎首相の際の3→5%増税時で考えてみましょう。

1997年当時の税収は総額で50兆円以上ありましたが、2011年のデータでは税収の総額は40兆円となんと10兆円以上も減収しているのです。

しかし、この1997年の後に長期に及ぶデフレがあったことと1997年に起こったのアジア通貨危機の大きな影響も受けているため消費税増税による景気後退とは一元的に言えなません。

いずれにせよ経済を語るには「増税」という1つの因子だけで「転帰」を占うことはできません。

 

所得税を上げる?

消費税増税以上に僕もいいなと思っている話があります。これは竹中平蔵氏が昔説明していましたが、所得税の問題です。

以前所得税の勉強をしましたが、所得税は収入から諸々の控除を引いた「所得」に応じて決まるのでしたね?日本人の大部分(80%くらい?だったかな)の人の所得税率は10%のところに収まります。

つまり残り少ない高額所得者に高い税率で徴収しても、総額としてはあまり効果がないことは容易に想像できますね~。この日本人の80%ほどが属する部分の所得税を数%上げる方が税収を増やすのに手っ取り早いし、消費を冷え込ませないと思うのですが・・・

 

みなさんはいかがお考えですか?

*1:成長率がマイナスになる、つまりGDPが昨前年より減ること

*2:財政破綻に近い意味

壁だらけの控除 ~損しないための教養:103万円壁、130万円の壁~

こんにちは、お金の教養シリーズとして、税金や社会保険料を学んできました。これらの制度の中でよく耳にする「103万円の壁」とか「130万円の壁」と言ったものがありますが、それらはいったいどういうものなのでしょうか。

知ってみれば、壁がたくさんあるんです。。。

まず、先に言っておきたいのはこれは主婦の方などでパートをするときに気にしなければならないキーワードなのです。

 

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98万円の壁

まずは1つめ。これは住民税がかかるかかからないかの瀬戸際が98万円なのです。

まずは、おさらいから!住民税の支払額は以下のように決まるのでしたね。

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住民税は所得割(所得に応じた額)と均等割(その地域みんな定額)で決まります。均等割は通常5000円です。

すっとばして合わせた住民税はだいたい『課税所得』の10%くらいと学びましたね。いいですか、額面収入ではなく、そこからさまざまな控除を引いた『課税所得』の10%です。

つまり、この課税所得額が0であれば、住民税も当然0円です。この課税所得額が0円になる収入を見てみると・・・

(例)主婦でパートをしているAさん。

<Aさんの課税所得額を0円にしてみよう>

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誰でも受けられる基礎控除(住民税では43万円)と給与所得控除(給与額による)です。給与所得控除の一番低い額が55万円です。

上の式にから、課税所得額を0円にするには、収入=各種控除(基礎控除+給与所得控除)になればいいことがわかりますね。

なので、住民税が0円になるのは収入が 43万円+55万円=98万円以下であればいいことがわかります。これを超えると住民税がかかります。

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103万円の壁

次にこれが一番よく聞くやつです。「103万円の壁」

これは所得税がかかる瀬戸際のラインが103万円です。上の98万円の壁と同じ考え方なので計算は省略します。違いは基礎控除額が所得税では48万円(住民税では43万円)なので5万円の差が生まれています。

しかし、この103万円の壁にはもう一つ重要な意味があるのです!

それが「配偶者控除」です。奥さんが103万円以下で働いていれば、旦那さんは配偶者控除(38万円)を受けられます。

ただし、税金が38万円減るわけではありませんよ!税金がかかる『課税所得』が38万円低くなります。

 

103万円の壁が重要なワケ

所得税の記事で説明した田中氏(仮)の例で見てみましょう。

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上の図では、田中氏の奥さんは専業主婦で田中氏の年収も1220万円未満なので配偶者控除として38万円控除されています。この控除があるのとないのでどう変わるか見てみましょう。

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なんと、田中氏は奥さんが年収103万円を超えて働くと4万円ほど所得税が上がるのです。

以上からこの103万円の壁がかなり重要であることがわかりますね。103万円以内で働けば自分は所得税がかからない上に、配偶者控除が受けられるので旦那さんの所得税も少し下がる!

ただし、年収が1220万円以上ある方は配偶者控除はありませんので、この壁はあまり意味はないです。

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130万円の壁

ここまでは住民税と所得税のかからないギリギリのラインの説明でしたね。次は社会保険料の支払い義務が関わってきます。一番深刻な問題です。

年収が130万円を超えると、配偶者の扶養に入れなくなります。つまり、年金の支払い義務、それと健康保険料の支払いの義務が出てきます。

ここまで学んできた通り、所得税や住民税よりも社会保険料が一番高いです!だからこそ、この社会保険料を支払わずに済まそうと130万円以内に働くことがいわゆる「扶養の範囲で働く」という意味ですね。

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結局どうすればいい?

いかがでしたか、少しはこれらの『』についてご理解いただけましたでしょうか。

わかったんだけど、結局私はどうしたらいいの?ってなると思うので大まかな考え方を記しますね。

まず、98万円の壁ですが、これは無視しても構いません。なぜなら例えば102万円稼いで4万円超えたとします。住民税はこの4万円の10%の4000円くらいでしょ?

98万円収入があると手元に残るのは98万円そのまま。102万円稼いだら住民税4000円引かれて手元に残るのは101万6000円。損なんてしていません。だから、この壁はそんなに気にしなくていいんです。

 

103万円の壁に関しては、超えると住民税と所得税の支払いが出てきます。さらには配偶者控除が使えなくなる(実際には配偶者特別控除がある)、パートで働くならこれを意識すればいいのではないでしょうか。

例えばご主人が年収1300万円くらいあれば配偶者控除が適用されなくなりますので、103万円の壁もさほど意味は持ちません。その時は103万円の壁ではなく、130万円の壁を意識すればいいのではないでしょうか。そうすれば、社会保険料の支払いは免れますね。

さらにさらにご自身が年収150万円以上稼ぐならば、社会保険料を自分で払っても損はしないようなので、余裕を見て年収200万くらいに乗りそうならばこれらの壁はすべて無視してもよいと思います。 

ポイント:とりあえずは103万円の壁を意識しよう!

ポイント:150万円以上稼ぐならこれらの壁は気にしない!

 

経済成長率の低い日本 ~経済の基礎~

経済の話でいつもよく出てくるキーワード「経済成長」。

日本は経済成長率は1%弱と言われております。世界の経済成長率の平均が3%以上なので、明らかに日本の成長は鈍化しています。

今回はこの「経済成長」の基礎を学びましょう。

 

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GNP(国民総生産)

GNPとはGross National Productsの略で国民総生産と訳されます。ある国民により新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計を表したものです。

簡単に言えば「日本人が作ったもの」です。

※厳密には日本人以外も含まれますし、海外にいる日本人も含まれます。ま、わかりやすさの為には「日本人が作ったもの」でいいです。笑

実はこのGNPは最近あまり使われません。

 

GDP(国内総生産)

GDPとはGross Domestic Productsの略で国内総生産と訳されます。こちらは日本国内にある「経済主体」を基準にした数値であり、経済の総合的評価に使われます。

簡単に言えば「日本で作ったもの」です。日本にある海外企業であろうとGDPに含むのです。逆に海外にある日本企業は含まない。

昔はGNPの指標が良く使われましたが、グローバル化とともに日本内で外国人が働く人も増えています。なので、国力を示すのは「日本人の作ったもの」よりも「日本で作ったもの」を使った方がより実情に近いとなったわけです。

ちなみにこのGDPの伸び率がよく聞く「経済成長率」のことです。

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GNPとGDPの違い

 

GDPの計算方法は秘密

GDPの計算方法は公開されておらず、毎年マイナーチェンジなども行なわれています。この計算方法が公開されていない理由は「国家機密」とのことです。

ということは、たとえば日本のGDPと中国のGDPは違った計算なので直接比較するのが適してるかどうか・・・

 

一人当たりのGDP

 現在のGDPの世界順位は1位がアメリカ2位が中国で、日本は3位にランクインしていることが皆さんご存じでしょう。ほんの10年ほど前までは日本が2位で、中国が3位でした。

さて、アメリカも中国も人口が日本より多いです。人口が多いと労働力が大きいので、当然GDPも高くなりやすいです。

なので、国ごとの経済状況を比較するときには「一人当たりのGDP(GDP per capita)」も一緒に比較します。これは「国民の裕福度」を測るものです。

GDPを国の人口で割ったものです。コレで見るとなんとアメリカは8位前後日本は25位前後にランクインしています。韓国が28位です。中国はというと70位前後になります。

つまり、日本は国としては世界的に見て豊かですが、国民一人一人の豊かさという意味ではトップランクに入っていません。中国もそうですね。

国の経済を見るときは「GDP」と「一人当たりのGDP」の両方で見ることが大事です。

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日本の経済成長率は低い

経済成長率GDPの伸び率でしたね。一年前と比べてGDPが何%増えたか。

世界の平均ではこの経済成長率は3.2%とか3.3%といわれています。日本は0.8%とか0.9%となっています。ちなみにアメリカは2.5-2.8%、中国は6-7%とされます。

 

まず、先進国は基本的には経済成長率は低くなるのが普通です。逆に新興国と言って貧しい国が豊になるのはスピードが速いことは想像がつくでしょう。これがインドや中国の経済成長率が高い理由です。

しかし、日本とアメリカは同じ先進国でありながら、成長率に大きな開きがあります。日本が成長率が鈍った理由はいくつか言われています。

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上の図は経済成長に必要となる3要素があります。日本の状況では、まず少子高齢化に突き進み②がまずダメです。さらに、人口の減る状況では国内での需要は当然増加しませんので①もダメです。

③は日本の科学技術力でいいものを作りまくったとしても、日本は現在世界では戦いにくい状況です。まず、人件費が高いことで、中国などが同じような商品を出すと勝てません。また、英語ができないことも世界での流通の妨げに多少なっているでしょう。

経済成長のない未来・・・

ではこのままほとんど経済成長しないまま日本が進むとどうなるでしょうか。

経済成長しないと言うことは消費が落ちていますので、日本政府の税収も当然減ります。しかしながら少子高齢化で医療費や年金の支払う額が増えるとなれば、税金を上げないとカバーできません。つまり消費税はもっとあがることになるでしょう。(20%くらいまで?)

一方で、よく考えると日本の人口はこれから減っていきます。つまり、分母が小さくなるので、国全体のGDPを下げないようにうまく保てれれば、一人当たりのGDPは増えますね?そうすれば国民の裕福度は上げることができます。 

 

これからの日本政府は、モリカケ問題などではなく、高齢化社会での経済政策に焦点を当てていろいろ頑張ってほしいものです。

社会保険の基礎シリーズ4 ~介護保険~

このシリーズの最終回です。高齢化社会の日本にはとても重要なお話です。

介護保険について少し勉強しましょう。

 

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介護保険

できたのは実は最近で、ドイツの介護保険をモデルに2000年から開始されました。以前学んだ医療保険とは違い、この保険の目的は、高齢者の自立をサポートするためのものです。つまり、病気を治すのではなく、加齢とともに入浴や食事や排せつに介護が必要となる高齢者をサポートする保険です。医療と介護を切り離す目的があります。

被保険者は2種類あります。第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)です。この被保険者になるには絶対条件として公的医療保険に加入していることが必要です。

日本では公的医療保険は基本的には全員が加入していますが、生活保護を受けている人は加入していません。

 

医療保険についてはコチラ

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介護保険の保険料

まず、介護保険はどこから払われるか確認しましょう。介護保険の財源は国から50%、そして介護保険料から50%となっています。

さて、介護保険料は第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)で違います。第1号被保険者はだいたい月に6000円弱の支払いとなっています。この保険料は3年に1度改定されます。第2号被保険者は年齢からもわかるように普通はまだ働いている世代ですので医療保険料と一緒に介護保険料も支払います。会社員であれば給料から天引き(=特別徴収という)されています。こちらは常に変動します、大体平均で月に2600円くらいだそうです。

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要介護認定

介護保険を使っての介護サービスを利用するには要介護認定を受ける必要があります。市役所や区役所で要介護認定申請書を提出し、主治医意見書を書いてもらいます。同時並行で認定調査員の面談などがあります。こうして最終的に要介護度が決定されます。要支援1~2、要介護1~5に分類されます。

要介護認定が終わるとケアマネージャー(介護支援専門員)がケアプランを提示し、本人と話し合ってサービスを受けることになります。

 

介護保険の問題点

保険で払われる仕組みができると当然そのビジネスも増えます。デイサービスなどがたくさん作られました。保険から大部分が支払われるので施設は取りそびれないからです。かくして、デイサービスの過剰供給により、保険料の支払いが多くなっています。

小規模デイサービスは多いのですが、一方で、特別養護老人ホームの不足が問題となっています。特別養護老人ホームは通常の介護老人保健施設と違って在宅復帰を目指すものではありません。終身そこで暮らせる施設です。入所には原則、要介護3~5に認定されていることが必要です。

社会保険の基礎シリーズ3 ~年金の3階部分:企業年金、イデコ、個人年金~

前回に引き続き、日本の年金について学んでいきましょう。

前回は2階建ての年金について学びましたね。今回は「3階」のお話です。

 
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年金の3階

さて、前回の記事では主に公的年金(国民年金と厚生年金)について学びました。その時に日本の年金は2階建てというお話もしました。これについては前回の記事をご参照ください。▼▼

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さて、今回はさらに増築した3F部分についてお話いたします。公的年金(国民年金と厚生年金)だけでは老後が心配と言うことで加入する私的年金です。前回の記事で紹介した第1号被保険者のみが加入できる国民年金基金とおなじですね。

これらはすべて任意の年金でありながらも、公的年金のように社会保険料控除などで節税のメリットもあります。

ここでは、3F部分の企業年金、iDeCo、個人年金について学んでいきましょう。

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企業年金

名前からわかると思いますが、これは会社員などの第2号被保険者に関係のある話です。第2号被保険者は1Fが国民年金、2Fが厚生年金という作りでしたね。

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さて、この上にさらに3Fとなるものができるわけです。企業年金は大きく分けて2つあり、確定給付型年金(DB)確定拠出型年金(DC)です。 これらはともに会社により採用してる会社と採用していない会社があります。

DBの方は、お金に余裕のある大企業が行っており、要は、企業側が労働者のために掛け金を払って、運用して、増やして、老後に給付してくれます。すばらしい。

一方、DCの方はアメリカでは 401(k) と呼ばれています。DCには2種類あって企業型と個人型があります。ここではまず企業型について説明します。企業型DCでは、DBと同じように企業側が労働者のために企業年金を払いますが、その運用方法や運用額は労働者側が決めるという点が異なります。要するに受取額は労働者によって変わってきます。いわば「老後のお金づくりのお手伝いはするけど自己責任で運用してね

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)

いよいよ出てきましたね~。話題のアイツです。iDeCoさん。

先ほど確定拠出年金(DC)を学びました。企業側が掛け金を支払ってくれて、それを労働者自身の責任で運用するんでしたね。一方で、この掛け金を企業でなく個人が払うものを個人型確定拠出年金(iDeCo)と言います。i はindividualですね。確定拠出年金は英語で Defined Contribution の略です。

さきほどまでの企業年金(DB, DC)は会社員などの第2号被保険者のみの話でした。このiDeCoは2017年以降では第1~3号のすべての被保険者が加入できることになっています。

ただし、企業年金(DBやDC)がある企業や公務員では制限があるので、申請時に会社に問い合わせてください。

 

iDeCoのススメ

労働者で掛け金を自ら払っているうちはその掛け金全額分が所得控除になります。つまり節税になります。企業年金がない会社で働く会社員は月 23,000円まで拠出可能ですので、年間で276,000円まで所得控除にできるわけです。第1号被保険者にいたっては月に 68,000円すなわち年間816,000円まで拠出できます。

これらを自分で運用するのですが、難しいことは考えなくても投資信託です!要するにわずかな手数料を払いますが、プロが運用してくれるわけです。

通常、投資信託で利益が出ると20%の税金が引かれますが、iDeCoでの利益分はこの税金が免除となるのです。

メリットばかりではありません。デメリットもいくつかあります。投資なので、元本割れと言って払った額より返ってくる額が低くなることもあります。(ま、世界的大恐慌とか起こればね・・・)

あとは、原則60歳まで引き出せないので、無理のない範囲で行うことに注意してください。個人的には多少余裕があって、退職金が少ない人はフルで行うべきだと考えています。第3号については賛否両論あります。

iDeCoについてはNISAとともにまた別の記事で詳しく説明しますので、そのときに!

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年金の3階建て構造

個人年金

上の図にもあるように企業年金(DBとDC)は第2号被保険者にのみあります。第1号と第3号被保険者にも iDeCo個人年金3Fに設置することができます。第3号被保険者はずっと1階建てでしたが最近3階が作れるようになりました。しかしながら2階部分は何もなく階段のみとなっています。

さて、個人年金というのをお聞きになったことがあると思います。これも国がやっている公的年金とは違い、私的年金の一部とされます。自分で老後のために積み立てて年金として受け取れます。同じくそのお金を運用するので、大恐慌などさえなければ銀行の利子なんかより断然いいです。さらに、この個人年金も節税の効果があり、所得税では最大40,000円、住民税では最大 28,000円の節税が可能です。(iDeCoのあとにこの額を見るとかなり見劣りしますね)

これは年金と名前はありますが、実際は年金保険です。要は貯蓄型の生命保険です。僕は個人的には特に外貨建ての貯蓄型生命保険は嫌いなのでお勧めしません。手数料がわかりにくく実際高いことが多いです。金融庁も2016年に懸念を表明しています。

また、年金を受け取るときに所得税がかかることも注意ですね。

 

以上から、個人年金は僕の中では一番優先度が低いものです。3階部分をつけたい方はiDeCoでいいと思います。iDeCo, NISA, 生命保険などは今後も記事にしていくのでcheckしてくださいね~

社会保険の基礎シリーズ2 ~年金の基礎の基礎:2階建ての年金~

社会保険の基礎シリーズ。

今回は日本の【年金】の基礎の基礎を知りましょう~

年金は正確には年金保険で、保険の1種なのであります。この年金の保険料については前回の健康保険料と似ているのでそれと対比しながら勉強しましょう。

健康保険についてはこちら

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年金とペンション

やはり語学から入るのが流儀ですね(笑)

年金は英語で pension といいますね~ 年金受給者は pensionerです。 

ペンションという言葉を聞いて何を思い浮かべますか?どことなく小さな民宿みたいなものでしょうか?

元々は 退職後にpension(年金) をもらい始めた老夫婦が空き部屋を使って学生などの下宿などにしたことから始まった言葉です。日本語で言うと民宿とか民泊とか下宿に相当するものですね。

 

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国民年金と厚生年金

日本の年金の制度は拠出制年金といって、社会保険料を拠出(払う)して、一定の年齢になったら定期的に年金を受け取る制度です。年金は若い人たちから集めたお金を運用して増やしてそれを高齢者に給付しています。これがみなさんがイメージする「年金」ですよね。

さて、その日本の年金は主に2つタイプがあります、国民年金厚生年金です。これは聞いたことがありますよね。

 

まず、国民年金は20~59歳の人全員が加入することが法律で義務付けられています。これは学生だろうと成人になれば払う義務があります。(もちろん申請すれば学生期間中は払わず後でその分を払うこともできます。)

もう一つは厚生年金といって、これは会社員や公務員などだけが加入する年金です。自営業や農家や学生は加入しません。

 

被保険者の種類

さて、さらにもう少しだけ詳しく見ていきましょう。

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被保険者の種類

年金を支払う人のことを被保険者といいます。その被保険者は大きく分けて1~3号に分かれます(上図)。要するにどこか雇われている人は第2号、その妻で専業主婦なら第3号です。それ以外の自営業や学生、自営業の妻の専業主婦は第1号になるわけですね。

上の表を見れば一目瞭然ですが、第2号被保険者の人は国民年金に加えて厚生年金に同時に加入します。なので、支払額も増えますが、65歳以降の受取額も増えるわけです。
国民年金は月額 17,000円で定額支払いです。一方、厚生年金の掛け金(支払額)は月給の18.3%なので収入によって変わりま。ただし、その半分は会社が支払います。(労使折半)
厚生年金の金額は前回やった健康保険と同じく4月~6月の給与を基準に計算されます。ですので、4-6月は時間外を余りつけずに安めにするのがポイントでしたね。
※ただし、実際は7月以降で急に月10万円とかも増えると「保険料の改定」があるので、そこまでメリットは大きくないです(笑)
ちなみに厚生年金の保険金には上限があり、だいたい年収750万円以上からは定額(月に約11万3000円→半分は会社が支払い)になります。
 

さて、またさきの表に戻ります。第1号と第3号は似てますがよく見ると、第3号では年金の支払いがありません。これは第2号(会社員など)の 扶養に入っている” 状態であり、この人たちの年金の掛け金は第2号の払った厚生年金から賄われるわけです。

※注意※ 第3号被保険者は自分の年収が130万円以上となると、”扶養” に入れなくなります。そうなると自動的に第1号被保険者となり、年金の支払いの義務が生じます。

 

公的年金は2階建て

よく「年金は2階建て」という言葉を耳にすると思います。それはどういうことかというと、次の図を見てもらうとわかりやすいです。

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年金は2階建て

これはどういうことかと言うと・・・

基礎年金である国民年金は全員が支払います。これが上の図でいう1Fの部分です。ただし、上で学んだように会社員の妻で専業主婦(=夫の扶養に入っている)の場合は第3号被保険者と言って、国民年金の掛け金(支払い)は夫の厚生年金から支払われるため払わなくていいです。

次に、第2号被保険者(=会社員や公務員)は厚生年金にも加入します。掛け金は給料の18.3%でその半分は雇用者(=会社)が支払ってくれるのでしたね。で、この厚生年金が上の図の2Fに当たります。

じゃぁ、第1号と第3号の保険者は2Fがないのでしょうか?

 

国民年金基金

先ほどまで学んできた国民年金厚生年金は国によるものなので公的年金と呼ばれます。これら以外の任意の年金は私的年金と呼ばれます。私的年金は加入するもしないも個人の自由ですが、公的年金と同じように社会保険料控除などが受けられるメリットがあります。

国民年金基金とは簡単に言うと、第1号被保険者のための上乗せの年金2F部分)だと考えればいいです。第2号被保険者は国民年金以外に2F部分として厚生年金にも加入しているので老後の年金の受取額が多いですね。第1号被保険者は国民年金のみなので老後の受取額は65,000円だけです。そんな第1号被保険者の老後の不安を減らすための私的年金と考えてもらえばOKです。

第1号被保険者なら基本的にはだれでも加入できます。

第2号、第3号被保険者は国民年金基金には加入できません。

 

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マクロ経済スライド

年金にまつわるニュースを見ているとマクロ経済スライドという聞きなれない単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか?これは何かと言うと・・・

ま、一言で言うと「年金の給付額が実質減ります」ということです(笑)

退職後の高齢者は他の年齢層と比べ一番投票に行きます。ですので、「年金を少しずつ減らしますね」とあからさまに宣言すると高齢者から反感を食らい、票を失います。だから、このようにもっともらしい複雑な言い回しで逃げているわけですね。

 

要するに高齢化社会で、しかも少子化という年金システム上、絶望的な状況に追い込まれている日本です。しかも医療の発展で高齢者はますます長寿化しております。年金は死ぬまで受け取る権利がありますので、このままでは年金制度が成り立たなくなってしまいます。

時代により物価が上がるとそれに合わせて年金の給付金も上がるのがルールですが、この給付金の増加割合を一定以上にならないように制限するというのがこのマクロ経済スライドです。例えば、物価が2%増加したら、給付金も2%増加しないと生活が苦しいのですが、これを給付金は1.1%のみの増加にするということです。なので、物価上昇時の年金受け取りが実質減るわけですね。

 

いかがでしょうか、公的年金の2階建ての構造、少しでもご理解いただけたでしょうか。

 

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