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社会保険の基礎シリーズ3 ~年金の3階部分:企業年金、イデコ、個人年金~

前回に引き続き、日本の年金について学んでいきましょう。

前回は2階建ての年金について学びましたね。今回は「3階」のお話です。

 
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年金の3階

さて、前回の記事では主に公的年金(国民年金と厚生年金)について学びました。その時に日本の年金は2階建てというお話もしました。これについては前回の記事をご参照ください。▼▼

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さて、今回はさらに増築した3F部分についてお話いたします。公的年金(国民年金と厚生年金)だけでは老後が心配と言うことで加入する私的年金です。前回の記事で紹介した第1号被保険者のみが加入できる国民年金基金とおなじですね。

これらはすべて任意の年金でありながらも、公的年金のように社会保険料控除などで節税のメリットもあります。

ここでは、3F部分の企業年金、iDeCo、個人年金について学んでいきましょう。

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企業年金

名前からわかると思いますが、これは会社員などの第2号被保険者に関係のある話です。第2号被保険者は1Fが国民年金、2Fが厚生年金という作りでしたね。

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さて、この上にさらに3Fとなるものができるわけです。企業年金は大きく分けて2つあり、確定給付型年金(DB)確定拠出型年金(DC)です。 これらはともに会社により採用してる会社と採用していない会社があります。

DBの方は、お金に余裕のある大企業が行っており、要は、企業側が労働者のために掛け金を払って、運用して、増やして、老後に給付してくれます。すばらしい。

一方、DCの方はアメリカでは 401(k) と呼ばれています。DCには2種類あって企業型と個人型があります。ここではまず企業型について説明します。企業型DCでは、DBと同じように企業側が労働者のために企業年金を払いますが、その運用方法や運用額は労働者側が決めるという点が異なります。要するに受取額は労働者によって変わってきます。いわば「老後のお金づくりのお手伝いはするけど自己責任で運用してね

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)

いよいよ出てきましたね~。話題のアイツです。iDeCoさん。

先ほど確定拠出年金(DC)を学びました。企業側が掛け金を支払ってくれて、それを労働者自身の責任で運用するんでしたね。一方で、この掛け金を企業でなく個人が払うものを個人型確定拠出年金(iDeCo)と言います。i はindividualですね。確定拠出年金は英語で Defined Contribution の略です。

さきほどまでの企業年金(DB, DC)は会社員などの第2号被保険者のみの話でした。このiDeCoは2017年以降では第1~3号のすべての被保険者が加入できることになっています。

ただし、企業年金(DBやDC)がある企業や公務員では制限があるので、申請時に会社に問い合わせてください。

 

iDeCoのススメ

労働者で掛け金を自ら払っているうちはその掛け金全額分が所得控除になります。つまり節税になります。企業年金がない会社で働く会社員は月 23,000円まで拠出可能ですので、年間で276,000円まで所得控除にできるわけです。第1号被保険者にいたっては月に 68,000円すなわち年間816,000円まで拠出できます。

これらを自分で運用するのですが、難しいことは考えなくても投資信託です!要するにわずかな手数料を払いますが、プロが運用してくれるわけです。

通常、投資信託で利益が出ると20%の税金が引かれますが、iDeCoでの利益分はこの税金が免除となるのです。

メリットばかりではありません。デメリットもいくつかあります。投資なので、元本割れと言って払った額より返ってくる額が低くなることもあります。(ま、世界的大恐慌とか起こればね・・・)

あとは、原則60歳まで引き出せないので、無理のない範囲で行うことに注意してください。個人的には多少余裕があって、退職金が少ない人はフルで行うべきだと考えています。第3号については賛否両論あります。

iDeCoについてはNISAとともにまた別の記事で詳しく説明しますので、そのときに!

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年金の3階建て構造

個人年金

上の図にもあるように企業年金(DBとDC)は第2号被保険者にのみあります。第1号と第3号被保険者にも iDeCo個人年金3Fに設置することができます。第3号被保険者はずっと1階建てでしたが最近3階が作れるようになりました。しかしながら2階部分は何もなく階段のみとなっています。

さて、個人年金というのをお聞きになったことがあると思います。これも国がやっている公的年金とは違い、私的年金の一部とされます。自分で老後のために積み立てて年金として受け取れます。同じくそのお金を運用するので、大恐慌などさえなければ銀行の利子なんかより断然いいです。さらに、この個人年金も節税の効果があり、所得税では最大40,000円、住民税では最大 28,000円の節税が可能です。(iDeCoのあとにこの額を見るとかなり見劣りしますね)

これは年金と名前はありますが、実際は年金保険です。要は貯蓄型の生命保険です。僕は個人的には特に外貨建ての貯蓄型生命保険は嫌いなのでお勧めしません。手数料がわかりにくく実際高いことが多いです。金融庁も2016年に懸念を表明しています。

また、年金を受け取るときに所得税がかかることも注意ですね。

 

以上から、個人年金は僕の中では一番優先度が低いものです。3階部分をつけたい方はiDeCoでいいと思います。iDeCo, NISA, 生命保険などは今後も記事にしていくのでcheckしてくださいね~