東日本大震災から9年です。忘れもしないこの大きな地震は原発事故も伴い世界中で有名な震災となりました。今回から3回のシリーズを組んで、東日本大震災を振り返ってみたいと思います。
<シリーズ1>
2011年3月11日 14:46
日本観測史上最大規模のマグニチュード(=以降M)9.0の地震が発生しました。最大震度7は阪神・淡路大震災で初めて記録してから史上3度目となりました。この地震による死者・行方不明者は1万8000人以上でした。
地震の後の津波による福島第一原発の事故などもあり世界的に有名になったこの震災をもう一度振り返りましょう。
東北地方太平洋沖地震
「東日本大震災」という名で一般に知られていますが、この地震の正式名称は東北地方太平洋沖地震です。東日本大震災というのは、この地震と津波などの被害(原発事故による災害を含む)をまとめた災害を表します。
この地震は東北地方だけでなく、千葉県などの関東地方でも震度6を観測するなど広範囲で大きい揺れがありました。被害は甚大で、特に東北3県(岩手、宮城、福島)で死者・行方不明者の大半を占めました。
最大M9.0は「超巨大地震」に分類されます。阪神・淡路大震災(1995)では最大M7.3でした。マグニチュードは1増えるとエネルギーは約32倍になるので、実質エネルギーは約1000倍くらいでしょうか。気象庁はこの地震は単一の地震ではなく3つの地震による連動型地震であることを発表しました。
この地震により、地球の自転速度がわずかに速まったため、1日の長さが1.8μ秒縮まったともいわれています。この地震のエネルギーのすさまじさを物語っています。
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前震と多発する巨大余震
地震の2日前である3月9日に宮城県ではM7.3、そしてその翌日の3月10日にM6.8の地震が起こっています。これらが「前震」に当たると考えられています。また、振り返ってみてみると1か月前の2月中旬から同じ場所でM5台のの地震が頻発していたことがわかりました。
本震の後1時間以内に最大M7以上の余震が3回もありました。このように大きい規模の余震が頻発したのがこの地震の特徴でもあります。地震発生後1年以上経過しても大規模の余震が続きました。また、地震から5年過ぎた2016年に福島県沖でM7.4の地震が発生しましたが、気象庁はのちにこれも2011年の地震の余震と考えると発表しました。
大津波の発生
地震発生3分後には各地に津波警報・津波注意報が出されました。北海道から千葉にかけて観測史上最大級の大津波が起こりました。岩手・釜石に2009年に設置された世界最深の防波堤は、その約7割が津波の威力により破壊されました。
この津波により14000人以上が亡くなりました。東北大震災全体での死亡者数の実に9割の方は津波で亡くなったということになります。
福島第一原発事故をわかりやすく
大津波に襲われた福島第一原発はすべての電源を失いました。通常核燃料が次々に連鎖反応が起きないように原子炉というところに入れられて冷却されています。冷却水をくみ上げて原子炉に入れるにはモーターがいるわけですが、電源を喪失しているため水汲みができなくなってしまったわけです。これにより核燃料が反応を続け熱が高まり融解してしまいました。これがメルトダウンです。こうして放射性物質が外に流れ出てしまったのがこの事故です。
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震災関連の犯罪
空き巣やATM破壊など、ある程度の災害が起こった時に残念ながら耳にします。また、ボランティアを装った窃盗集団や、性犯罪なども報道されました。
他には厚生労働省の許可を得ずに原発除染作業に人を派遣したというのも何度かありました。これについては興味がある方はネットで調べてもらえばいろいろ出てきます。
また、こんなに人の辛い時期にそれに便乗して詐欺を働く人たちもいるのが本当につらいところです。募金詐欺や振り込め詐欺で逮捕者も出ました。
トモダチ作戦
もちろんこの震災の期間は事件ばかりではありませんでした。被災地のために懸命に救助に当たってくれた消防隊、救急隊、自衛隊や、台湾など海外から義援金などの援助をたくさんしてもらいました。中でもこの言葉は印象に残ってるのではないでしょうか。トモダチ作戦。
トモダチ作戦(Operation Tomodachi)はアメリカ海軍・海兵隊・空軍が1つになり統合軍(UCC)となり、東日本大震災の救助活動や復興支援に当たってくれました。この「3.11トモダチ作戦」のきっかけは2001年の同時多発テロにありました。アメリカの危機であった9.11に日本の救助隊が駆けつけてたことがきっかけだそうです。
もちろん、アメリカは「国」としては日米同盟を中国・ロシアにアピールする狙いもあったでしょうが、「人」としてはこのような心温まるような場面もあったのです。
問題点も指摘されました。トモダチ作戦に加わった米軍兵士の被曝問題などが取りざたされました。なかには、甲状腺癌や白血病で亡くなった兵士もいるというニュースも出回っていました。
しかし、アメリカ国防省は作戦参加兵士の被曝量は極めて少量で健康被害は考えにくいと報告しています。これに関しては決着はまだついていません。
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つづく