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絶対損したくない!!5分で学ぶ遺産相続の教養

今回のテーマは相続税です。

これは今すぐに関係あるものでは無いのであまり意識しないかもしれませんが、知っておかなければたくさん持っていかれちゃいますよ~

 

ってなわけで、今回は相続税で損をしないために、誰でもできる節税も含めてお話いたします。少し長い記事で、内容も難しい部分がありますが、何度も読んで理解してみてください。

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導入

相続税の対象

土地などの不動産や自動車、家財、預貯金、有価証券、生命保険などありとあらゆるものに税金がかかり持っていかれます。さらに忘れてはいけないものは過去3年以内の財産の贈与も課税対象です!

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相続税を計算しよう

課税価格の計算

課税価格の計算はあらゆる資産から非課税部分を引いたものになります。

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当然亡くなる直前に財産をあげていると過去3年ルールで課税対象になりますから、もっと早い段階で財産を小分けであげておくことが重要ですね。

まず、「みんなのために使ったお金は非課税」という考えを頭に入れてください。そのため国や地方公共団体への寄付金などは非課税です。他には故人の葬式費用やお墓の費用も非課税です。

また、生命保険は法定相続人1人あたり500万円までは非課税となります。

 

相続税の計算

課税価格が出たところで相続税の計算です。

先ほどの課税価格から基礎控除を引いたものが課税遺産になります。いちいち言葉が変わるのがめんどくさいですが、この2つはしっかりと分けておきましょう。

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この課税遺産を法定相続人でいくらずつに分けるかは遺言書があればその通りに分けます。遺言書がなければ法定相続と言って決まった配分で分けます。(配偶者が1/2、残りの1/2を他の相続人で分ける)

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遺産相続額

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例えば、先ほどの家庭の総課税価格1億4800万円だとすれば、配偶者は7400万円、子供二人は3700万円ずつの遺産を相続することになります。最終的にこれらの額から、この後計算する税金を引いた額が受け取れる額と言うわけです。

相続税(仮)の計算 

では、ここからいよいよ税額の計算にいきます。

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課税遺産は課税価格(1億4800万円)から基礎控除 4800万円を引くので、ちょうど1億円になります。

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では、この課税遺産 1億円を法定相続の割合で分配したら、配偶者が5000万円、長男・長女 2500万円になります。

相続税は以下の表に照らし合わせ計算します。

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この早見表から計算すると、配偶者は 800万円、子供たちは325万円ずつの相続税(仮)がかかることになります。(下図参照)

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しかし、これでは配偶者が税総額の55%の支払いになり、子供たちは22%程のしはらいとなります。そこで、これらを再分配して、法定相続の割合に計算します。

実際の相続税の計算

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相続税(仮)の合計額1450万円を法定相続の割合配偶者1/2, 残りのメンバーで1/2を山分け)のルールで再分配します。

すると、それぞれの相続税は配偶者が725万円、子供はそれぞれ362.5万円ずつになります。

※ただし相続税の配偶者控除があり、実際はおばあさんの支払額は0円です。(後で説明)

 

相続税を安くする

生前贈与

さて、ここからは合法的に相続税を下げるために勉強しましょう。一番最初に相続税には相続税ともう1つ贈与税があると書きました。こちらは相続とは少し違い、お金などをもらったらかかる税金です。

死亡から過去3年以内に贈与したお金は課税対象になります。だから早い段階から財産を渡せばいいのです。

贈与税の基礎控除額は年間110万円です。ですので、年110万円までであれば非課税で財産をあげることができます。これはメジャーな節税ですね。

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生前贈与のウラ話

生前贈与では亡くなる3年前までの贈与に関しては税金がかかりますが、これは相続人に対しての贈与です。つまり相続人以外は3年以内の贈与でも非課税です。

じゃぁ、誰にあげるか?その辺の道歩いてるおじさんにあげますか?笑

です。孫は基本的には法定相続人にはならないので、「過去3年ルール」は当てはまりません。毎年110万円以内であげれば贈与税もかかりません。こうすることで課税遺産を減らすことができます。

あと、もう一つ知っておくべきは教育費です。細かい話は抜きにして、教育費は非課税です。入学金、学費とその都度にあげれば、「日常生活に必要なお金」 と判断されるからです。

注意しなきゃいけないのは、都度払いということです。大学4年分の授業料とかいう名目で1000万円とかドカンとあげちゃうとそれは課税されるでしょう。なので、必ずこれだけは守りましょう。

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配偶者は相続税かからない?!

そう考えてもらってだいたいOKです。配偶者の遺産相続に関しては配偶者の税額軽減というものがあります。1億6000万円までの取り分であれば配偶者は非課税で遺産相続できます。

ならば、課税価格が1億4800万円で課税遺産が1億円だった先ほどの家族で、子供が遺産をもらわず母親が全額受け取れば税金0円なので、みんなhappyなのでしょうか?

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※上図の『総資産』は不正確で『総課税価格』が正しいです

さて、上図では左側に法定相続を行った場合、右側ではおばあさんが遺言書で指定され全額受け取った場合を図示しました。

左側でおばあさんの受領遺産は7400万円<1億6000万円のため相続税は0円です。長男と長女はそれぞれ3700万円ずつ受領し相続税はそれぞれ362.5万円でした。この一家では合わせて725万円支払っています。

一方で、右図の場合でもおばあさんの相続税は0円でした。長男・長女は受領遺産が0円なので当然税金もなしです。この場合、一家としては相続税は1円も払っていません。WOW!! お得ね~

しか~し!甘い話には裏があります・・・

 

配偶者が全額受け取ったら

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6年後おばあさんは亡くなってしまいました。おばあさんの資産はおじいさんからの受領遺産と自分の資産が2000万円あるとしましょう。

まず左からおじいさんが亡くなった時に法定相続した長男・長女は、計算すると今回4700万円ずつ遺産を受け、相続税はそれぞれ340万円ずつでした。

おじいさんの時の分も合算すると、総受領遺産は二人とも8400万円、総支払相続税は702.5万円でした。

一方、右の図では、総受領額が8400万円ずつ、相続税が1190万円ずつでした。おじいさんが亡くなった時は受領遺産も相続税も0円でしたね。

すると、総受領遺産は左の場合と同じく8400万円ずつですが、支払相続税は1190万円ずつと、左の場合よりも大きく損をしています。

これは理由は単純で、おばあさんが亡くなった時は配偶者がいないので税額軽減というものが存在しません。つまり子供たちが受領する大きい遺産はそのままダイレクトに課税されるのです。

ですので、目先の利益に飛びつかずしっかりと計算してから受領遺産の配分を考えましょう。

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生命保険の受取は子!

これも1つテクニックとして覚えておいてほしいのですが、受取人の名前は配偶者ではなく、子供にしておいた方がいい場合が多いです。

生命保険は法定相続人1人あたり500万円までは非課税となります。例えば、先ほどの一家でおじいさんが3000万円の死亡保険に入っていた場合、500万円×3人=1500万円分は非課税になります。

この非課税枠は受け取り人に使えるのですが、配偶者にこれを使うのはもったいないです。なぜなら、配偶者は1億6000万円まで非課税という最強の権利があるからです。

それよりも大きな非課税枠のない子供がこの1500万円の生命保険非課税枠を十分に使って受け取った方が、2次相続を考えると得なのです。

ただし未成年を受取人に指定するのは手続きがかなりややこしいので子供が成人になってからですね。

まとめ

ここでは相続税の概略をお話ししました。ややこしいことも多かったでしょうが、時間があるときにゆっくり読んで理解してみてください。

 

では、また(^^♪