日本の少子化問題は誰もが知っている問題です。
少子化にもかかわらず、どんどんと家が建ち、はたまたマンション価格はどんどん上がっている。なんで??
今回は特に近年のタワマン人気について覗いていきましょう。
日本では遅かった
アメリカでは1930年頃には高層マンションなどの建設が見られていました。
しかし、当時の日本では一戸建ての『持ち家』というのが好まれていました。戦後30年が過ぎた1974年に鹿島建設が鉄筋コンクリート製の高層社宅(18階)を建設すると、「こんなマンションもええな~」ってなことで少しずつ広がりました。
建築基本法という法律の中には建ぺい率とか容積率というものが規定されています。
高層マンション建設に当たって特に問題となるのは、容積率です。
容積率というのは、各階の床面積を合わせた総床面積と土地の面積との割合です。土地によっては100%までとか、200%までとか決められています。家を建てた人はわかりますね。
容積率は基本的には防火、日照権、人口コントロールを目的に設定されています。
郊外や河川に
決められた容積率を守って、見かけのいい高層マンションを建てるにはどうすればいいでしょうか?
まずは、容積率の制限が緩い場所、つまり、人があまり住んでおらず日照権や防火による建物への制限が少ないところを探すのが手っ取り早いわけです。
そういう場所では例えば、容積率は700%までOKとか緩くなります。
さらにもう一つ、だだっ広い土地にすれば、容積率は計算上小さくなります。あまった土地に公園や庭や駐車場を作ればいいです。
そういうことで、当初は郊外や河川沿いなどに作られることが多かったのです。
都心回帰
時は流れ、人々の欲はさらに大きくなります。
こんな豪華な高層マンションが都市部にあればもっと便利なのに・・・
ということで、1997年に『特例』を作る規制緩和が行われ、都市部であっても指定された地域では、容積率を600%まで許容し、日照権うんぬんは目をつぶります!となったのです。
こうして、アクセスのいい都市部への高層マンションの建設ラッシュが起こります。いわゆる都心回帰ってやつですね。
ところで、容積率600%まで可といっても、郊外みたいに広い土地の確保は難しいため、それほど高いマンションは建てれなさそうですね。
公開空地
その謎を解くカギが公開空地*1です。
高層マンションの前にベンチがあったり、公園みたいなところや、通路みたいなところって普通に住人以外も通ったり使えたりしますよね?それのことです。
実際はマンション側の敷地内なのですが、そこを公開空地として住居人以外でも自由に使えるようにする代わりに、高層マンションの高さの制限を緩和してくださいねっていう特例があるのです。
こういった規制緩和や特殊ルールで都市部での高層マンション建設が進みました。
地方でもラッシュ
都心回帰の流れは確かによくわかります。
しかし、近年では地方でもタワマンラッシュが起こっているのはみなさんもお気づきですよね?
ま、めちゃくちゃ簡単に言えば、地方でもできればその中心部に住みたいなっていう需要が増えているんです。
特に高齢化社会で、車に乗れなくなったときに通院や買い物に困ると言った問題は、中心部に住むことで車無しの生活で事足りるという需要があります*2。
他にもコロナ禍での在宅ワークで、家にいる時間が増え、少しでもいい環境に住みたいという人々の思いもこの動きを加速させているそうです。
タワマンに住むこと
もちろん、中心地にある立派な高層マンションに住むことは誇らしいことですね。
自慢できるし、街を見下ろせるのは気分もいいです。
しかし、一方で、残念な部分があるのも忘れてはいけません。
例えば、出勤時間などカブると、エレベータに延々乗れない件や、1Fまで降りてから忘れ物に気づいたパターンなどは想像しやすいですね。
災害で、停電などすれば30階まで階段で・・・なんてことも(笑)
あとは、高い建物になれば上の階が重いと不安定になるので、軽く作る必要があります。なので、壁が薄く作られており、隣の部屋の音がよく聞こえる・・・などもあります。
これを考えると高いお金を払って上層階に住みたくないです。他に理由でもあるんでしょうか?
もちろん、投資目的で買ったり、貸して賃料を取るのは容易に想像がつきますが。
タワマン節税
はい、金持ちがタワマンの上層階に住むには理由があるんです。これが有名なタワマン節税と言うものです。
タワマンの3階と40階では、販売価格が違うのはわかりますね。同じ広さであっても、高い所の方が人気なので圧倒的に値段が高いのです。
ところが、その”不動産”で相続税や固定資産税を考えるときは、3階も40階も同じ価値と考えられるのです。
つまり、お金持ちが都市部のタワマンの最上階を高いお金で買って持っていましたが、10年後に死亡したとします。その時の最上階の価格が1億5000万円だったとしても、相続税のときは、2階も3階もみーんな同じ評価額で、例えば5000万円の価値と算定されます。
すると本来なら1億5000万円から計算された税金がかかるはずなのが、5000万円での計算になり、大きな節税になるというトリックです。
これは、法の抜け穴なだけで、もちろん国税庁もこの辺は熟知しており、今後この抜け穴にメスが入るのでは?とささやかれているところです。
さいごに
いかがでしたか?
少子かなのに最近増えているタワマン建設の事情が分かっていただけたでしょうか?
金持ちがタワマンの上層階を買うのは『優越感』だけでなく、節税の意味もあったのですね。
ま、そんなの買うお金ないので我々庶民には関係ないですが・・・
では、また(^^♪