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『京都市財政破綻?』を知る♪

観光都市・京都は、観光客が増えてコロナ禍前の賑わいが戻ろうとしています。それにより、地元の人がバスに乗れないなどの”観光公害”が出ています。

そんな人気の古都、京都が財政破綻するかもなんて話をちらほら耳にするわけですが、今回はこの問題をちょっと違った角度から見ていきましょう。

財政破綻の危機?

まず、この問題が言われているのは京都府ではなく、京都市なのを確認しておきましょう。

京都市の資料*1によれば、財政難に陥った主な原因は次の図のようになります。

京都市財政難の原因

バブル絶頂期に、「地下鉄作ったら便利やろ~」と大金をかけて作ったのに、需要予想は全くのハズレ、利用者の伸び悩みです。負債ドーン!

あとは平成初期に、コンサートホールに190億円、梅小路公園の整備に530億円、さらに京都駅近辺の鉄道の高架事業で約600億円を使っております。

この時に市債を発行しまくってお金を調達したので、その返済がついて回るのです。

京都市のムダ使い?

さらに、市の資料には一切書かれていませんが、財政難の中、京都市役所の庁舎改修に約160億円使っており、市民の怒りを買っています。

13億円かけた地下鉄駅直結の地下通路は『職員用』と揶揄され、エレベータに漆塗り、茶室に3600万円かける*2など財政難とは思えませんな。

茶室は1回も市民に利用されなかった*3

市営地下鉄

ところで財政難の一番大きな理由として言われるのが地下鉄です。

京都市営地下鉄は烏丸線東西線の2線が走っており、京都市内各区と宇治市を通っています。

先に開業した烏丸線の方はそこそこ儲かっているようですが、後でできた東西線が足を引っ張っています。

京都市営地下鉄について

古都ゆえ、地下に重要な文化財が眠っている可能性があり、それらしきものが出てきたため、工事を中断し大規模な発掘調査が行われました。それゆえ完成はかなり遅れ、バブル期の物価高い時期と重なり建設費も高くなりました。

あと、ATOという運転士がボタンを押せば発車して停止するまでの自動運転ホームスクリーン完備などで費用はかさみました。

東西線は乗客が少ない

京都市オープンデータ*4によると、コロナ前で、東西線の乗客が少ないことはわかりますね。

観光客はバス

京都市内は観光地で道路も慢性的に渋滞のため、地下鉄で移動できれば、時間も読めるし快適!と思いますね。しかし、実情は違います。

京都の観光スポット、神社や寺院は点在しています。例えば金閣寺清水寺も鉄道だけでアクセスはできず、バスに乗り換える必要があります。

京都観光はバスが便利

そんな中、市バスならば渋滞はすれど、京都駅から観光地までダイレクトで行けるし、1日券を使えば安く済みます。

そう、観光客がたくさん来ても、京都市営地下鉄はそこまで利用客が増えないんですね。

どこの街でもそうですが、地下鉄は主に通勤・通学の足、つまり住んでいる人たちが主な客です。

新景観政策

京都市の足を引っ張る地下鉄東西線も、もともと人口増加に伴う渋滞の慢性化の対策として建設が決まりました。

古都としてのプライドの高い京都では、京都の景観を守る!という気持ちが強く2007年には新景観政策が開始となりました。

地下鉄利用者層が減った

これにより、高さ制限や容積率の制限により、高い建物、大きな建物は規制されました。

すると、マンションやショッピングモールや高いビルは作れません。企業は郊外へ移転します。さらに、住宅価格高騰し、若い世代が出ていく・・・

最終的に地下鉄のメイン客が減るという・・・

税収を増やせ①

さて、財政難の京都市は、何とか税収を上げて、支出を減らすしかありません。

2007年からの新景観政策により、企業や、若い世代が流出していましたね。

若い人 come back!!

財政難なので、もう景観がどうとか言うてる場合ではありません。

「若い人 come back!!そして税金払って~」ということで、京都市は新景観政策での規制を大幅に緩和することにしました*5

これで、マンションが建つと、住人から固定資産税増えるし、企業が市内に入ってくるとそこに向かう通勤客も増えますね~

税収を増やせ②

さらに京都市では2026年 全国に先駆けて、空き家税が導入予定です*6

空き家にも固定資産税はかかるのですが、住んでへんしかわいそうやから?ということで特例でめちゃくちゃ安くなっていたのです。

空き家税、全国に先駆け京都で導入

その特例をなくそうというのがこの空き家税で、住まないのに固定資産税ガッツリ支払うことになります。そうなると、持ち主は売るでしょうね。

そうすると、「リノベして住みたい」と、若い世代が市内に戻ってきてくれると、彼らから長い間固定資産税が取れるし、地下鉄の利用も増えるでしょうな。

税収を増やせ③

京都は観光客が多いですね。となると、観光客から税金を取れば?と考える人もいます。しかし、これには歴史的な経緯を知る必要があります。

1985年から京都では古都保存協力税というものが実施されました。要は市内にある40の寺社への拝観料に併せて50円ずつ徴収するというものです。

古都税導入と寺社の反発

しかし、これに反対したのが有名寺院などです*7

「信教の自由に反する」とかいう理由で、宗教関連でお金を取るのはあかん!!ならば、拝観自体を停止する!と。

そうなると観光地・京都のイメージダウンで観光客減ります。結局、寺社らの粘り勝ちで古都税は3年で終わりました

この経緯から宗教関連の施設での観光税課税は難しいです。

古都税反対の本音は??

ま、反対した本音はおそらく、税を徴収すると、最終的にいくら収入があるのかある程度バレることになりますからね。それがイヤだったんでしょうな、知らんけど。

宗教法人は『利益を目的としない』からこそ所得税非課税ですからね。世に懐事情が明るみになり「儲けすぎ!」と反感を買うとまずいですからね。

修繕・防犯のため拝観料値上げ

近年でも、修繕・防犯費を理由に拝観料は値上げが続いています*8。ま、拝観料もインフレということで。。

さいごに

いかがでしたか?

観光地・京都市が財政破綻の危機?と騒がれている事情について見てきました。

一番大きいのは、バブル期のコスト異常高で作った地下鉄東西線が思うように乗客増えず赤字垂れ流しというとこでした。その背景をみると、京都の”プライド”が邪魔をしている部分もありました。

”府”の方が財政難?

それ以外にも豪華茶室などムダ使いや、市の職員の給与が高めなども要因です。

実際は、京都市よりも京都府の方が財政難であり、市が勝手に騒いでるだけだろ!という見方があります。

市長『京都市は破綻しない』

今年の2月には、市長自ら『財政破綻しない』と明言してますしね*9

では、また(^^♪