こんにちは、お金の教養シリーズとして、税金や社会保険料を学んできました。これらの制度の中でよく耳にする「103万円の壁」とか「130万円の壁」と言ったものがありますが、それらはいったいどういうものなのでしょうか。
知ってみれば、壁がたくさんあるんです。。。
まず、先に言っておきたいのはこれは主婦の方などでパートをするときに気にしなければならないキーワードなのです。
98万円の壁
まずは1つめ。これは住民税がかかるかかからないかの瀬戸際が98万円なのです。
まずは、おさらいから!住民税の支払額は以下のように決まるのでしたね。
住民税は所得割(所得に応じた額)と均等割(その地域みんな定額)で決まります。均等割は通常5000円です。
すっとばして合わせた住民税はだいたい『課税所得』の10%くらいと学びましたね。いいですか、額面収入ではなく、そこからさまざまな控除を引いた『課税所得』の10%です。
つまり、この課税所得額が0であれば、住民税も当然0円です。この課税所得額が0円になる収入を見てみると・・・
(例)主婦でパートをしているAさん。
<Aさんの課税所得額を0円にしてみよう>
誰でも受けられる基礎控除(住民税では43万円)と給与所得控除(給与額による)です。給与所得控除の一番低い額が55万円です。
上の式にから、課税所得額を0円にするには、収入=各種控除(基礎控除+給与所得控除)になればいいことがわかりますね。
なので、住民税が0円になるのは収入が 43万円+55万円=98万円以下であればいいことがわかります。これを超えると住民税がかかります。
▼住民税についてはコチラ▼
103万円の壁
次にこれが一番よく聞くやつです。「103万円の壁」
これは所得税がかかる瀬戸際のラインが103万円です。上の98万円の壁と同じ考え方なので計算は省略します。違いは基礎控除額が所得税では48万円(住民税では43万円)なので5万円の差が生まれています。
しかし、この103万円の壁にはもう一つ重要な意味があるのです!
それが「配偶者控除」です。奥さんが103万円以下で働いていれば、旦那さんは配偶者控除(38万円)を受けられます。
ただし、税金が38万円減るわけではありませんよ!税金がかかる『課税所得』が38万円低くなります。
103万円の壁が重要なワケ
所得税の記事で説明した田中氏(仮)の例で見てみましょう。
上の図では、田中氏の奥さんは専業主婦で田中氏の年収も1220万円未満なので配偶者控除として38万円控除されています。この控除があるのとないのでどう変わるか見てみましょう。
なんと、田中氏は奥さんが年収103万円を超えて働くと4万円ほど所得税が上がるのです。
以上からこの103万円の壁がかなり重要であることがわかりますね。103万円以内で働けば自分は所得税がかからない上に、配偶者控除が受けられるので旦那さんの所得税も少し下がる!
ただし、年収が1220万円以上ある方は配偶者控除はありませんので、この壁はあまり意味はないです。
▼所得税についてはコチラ▼
130万円の壁
ここまでは住民税と所得税のかからないギリギリのラインの説明でしたね。次は社会保険料の支払い義務が関わってきます。一番深刻な問題です。
年収が130万円を超えると、配偶者の扶養に入れなくなります。つまり、年金の支払い義務、それと健康保険料の支払いの義務が出てきます。
ここまで学んできた通り、所得税や住民税よりも社会保険料が一番高いです!だからこそ、この社会保険料を支払わずに済まそうと130万円以内に働くことがいわゆる「扶養の範囲で働く」という意味ですね。
▼社会保険料についてはコチラ▼
結局どうすればいい?
いかがでしたか、少しはこれらの『壁』についてご理解いただけましたでしょうか。
わかったんだけど、結局私はどうしたらいいの?ってなると思うので大まかな考え方を記しますね。
まず、98万円の壁ですが、これは無視しても構いません。なぜなら例えば102万円稼いで4万円超えたとします。住民税はこの4万円の10%の4000円くらいでしょ?
98万円収入があると手元に残るのは98万円そのまま。102万円稼いだら住民税4000円引かれて手元に残るのは101万6000円。損なんてしていません。だから、この壁はそんなに気にしなくていいんです。
103万円の壁に関しては、超えると住民税と所得税の支払いが出てきます。さらには配偶者控除が使えなくなる(実際には配偶者特別控除がある)、パートで働くならこれを意識すればいいのではないでしょうか。
例えばご主人が年収1300万円くらいあれば配偶者控除が適用されなくなりますので、103万円の壁もさほど意味は持ちません。その時は103万円の壁ではなく、130万円の壁を意識すればいいのではないでしょうか。そうすれば、社会保険料の支払いは免れますね。
さらにさらにご自身が年収150万円以上稼ぐならば、社会保険料を自分で払っても損はしないようなので、余裕を見て年収200万くらいに乗りそうならばこれらの壁はすべて無視してもよいと思います。
ポイント:とりあえずは103万円の壁を意識しよう!
ポイント:150万円以上稼ぐならこれらの壁は気にしない!