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社会保険の基礎シリーズ1 ~国保と社保~

 

今回は「社会保険」をテーマに4回に分けてわかりやすく書いていきます。社会保険とは医療保険年金保険介護保険の3つをいいます。(雇用保険や労災保険を含めることもあります。)これらは給料から税金と一緒に引かれているので、税金の1種のようなものですが、厳密には税金ではなく、保険です。

第1回は医療保険です。日本では病院に行ったときに3割負担で済みますね。高齢者は1割だったり。日本では国民皆保険(universal health care)と言って全国民がこういった公的保険に加入することになっています。

これも簡単に学びましょう。

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国民皆保険

保険の制度というのは日本では大正時代にまで遡ります。当時は労働者のために健康保険の制度を行っていました。その後も、農家や、漁師の組合などで健康保険が行われたりしていました。1961年になって労働者以外も含める今の保険の制度、つまり国民皆保険制度が出来上がりました。

システムは被保険者(要するに一般people)と保険者(都道府県や組合など)の関係で、被保険者は保険料を払います。で、病気なったり、出産したり、死んだりしたときに何かとお金がかかるので、保険者から保険金が給付されるというシステムです。

この保険者と被保険者と言う言葉は何回も出てくるので覚えてください。基本的には私たちは被保険者の方です。

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公的医療保険のしくみ

公的医療保険の種類

医療保険とだけ言えば、CMで見るような生命保険会社と個人が契約するものをイメージしますね。これらは民間医療保険と呼ばれます。普段病院受診時に3割負担になる保険は、区別するために公的医療保険と呼びます。

公的医療保険はものすごくザックリというと2つに分かれます。

1)会社員など 2)その他(自営業含)です。

さて、これらの2つに分けて公的医療保険を見ていきましょう。

被用者保険(社保)

被用者とは「使われる人」ですから会社員などの勤労者のことです。こういった会社員などが入る保険は健康保険と言いますが、一般的には「社保」と呼ばれます。職種により様々な組合をつくり、労働者を守るシステムがあります。例えば船員、自衛隊、公務員、大企業などそれぞれに社保の組合があります

この保険では労働者が被保険者、組合が保険者の関係になります。

これらの社保の特徴は労使折半と言って、保険金を労働者と企業で折半してくれるのです。(大企業ではさらに多めに払ってくれるところもあります。)

注意したいのは社保の保険料は毎年4・5・6月の収入が基準になります。この時期にたくさん稼ぐと保険料は高くなります!

大まかにはこの時期の平均月給(額面)×10%が1か月分の保険料です。(ただし労使折半により我々が払う分はその半分です。つまり5%が社保の保険料。)

節税するには、4~6月は残業をつけないようにするなどでなるべく抑え気味にしましょう(但し年収が1700万円以上では上限額の支払いとなるので気にしなくていいです

また、7月以降で急激に月額8-10万円とかのレベルで収入が増えると「保険料の改定」となるので、あまりメリットは大きくないのが実情です。笑

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社保のまとめ

地域保険(国保)

被用者保険に入れない、すなわち自営業や無職などの人たちは地域保険に入ります。

ここでは被保険者は個人で、保険者は市町村などとなり、地域から支払われるので地域保険となります。この地域保険は国民健康保険国保)という名前になります。

しかし、実はコチラにも例外があります。全国国民健康保険組合協会全協)です。簡単に言うと、国保に入るべき人たちの中でも、自営業で規模が大きい集団は例外的に自分たちで組合という例外を作ったと考えてください。

国保の範疇なのに社保みたいなものです。どんな人たちかと言うと、土木関係医師・歯科医師・薬剤師などです。この場合は保険者はこれらの組合になります。

しかし、国としては一元化したいので、最近はこういった健康保険組合の新設は認められていません。

こちらの保険料は世帯単位で、加入者の数年齢収入などにより算出します。

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扶養の考え

まず、国保に関しては扶養はないと考えてもらえばいいです。

ですので、ここでは会社員などの社保での扶養について簡単にお話しします。

扶養に入れる条件は色々ありますが、細かいことはすっ飛ばして一般的な内容だけ言うと、配偶者と子供は扶養に入れます。ただし、扶養に入る人たちは年収が130万円以内でないといけません。これを超えると扶養に入れないので自分でも保険料を払う必要があります。これがいわゆる130万円の壁です。

公的医療保険の問題点

高齢化社会に伴い医療費が増え続けています。当然保険者(国保組合など)の側は赤字になるところも多いです。そうなったとき国のお金でその赤字を補填します。自分が加入していない保険の組合に自分たちが支払った税金が使われることに不満の声もあります。

他には、保険料滞納世帯が増えており、今は10%弱くらいあるといわれています。

また、外国人が90日以上日本に滞在するのであれば国保に加入しますが、そのとき前年度は日本で収入がありませんので医療費の自己負担は1割です。「留学」という名目でビザを取得し、国保に加入し1割負担で日本の医療を受けて帰国するという悪徳な事案が問題となっています。

まとめ

いかがでしたか?社保と国保の違いはわかってもらえましたか?

多く会社員などの雇用されている方は社保になりますので、扶養などのメリットを十分に使い、さらには4-6月は調整できるのであれば、他の月よりも収入を落とすことで健康保険料の節税になります。

年収が1700万円以下の方(つまり、大多数の人)には意味があります。それ以上になると保険料は一定額です。

 

年金についてはコチラ

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NHK受信料問題の裏側に迫る

僕は普段あまりTVを見ません。

特に最近はAmazon prime videoなどでネットで映画やドラマを見るのでTVはメッキリ見る機会が減りました。

NHKに至っては1年に10時間も見ないかもしれません(笑)これなのに受信料を強制的に取っていくのってほんとに不快です!

あと、引っ越し先に受信料徴収に来る人の態度も非常に不愉快!!ですよね~

今回ははNHK受信料について学んでみてから考えてみましょうか。 

 

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NHKは公共放送

NHK=Nippon Hoso Kyokai (日本放送協会)の頭文字です。

NHK国営放送ではなく公共放送です。

国営放送とは、国が自国政府の予算で直接運営するものです。例としてはアメリカのVOAや、北朝鮮の朝鮮中央放送、中国のCCTVなどがあります。

では、公共放送とはどういう意味でしょうか。定義としては「国家以外の」公的機関により運営される放送です。なので、受信料と政府の負担で運営されています。同じシステムはイギリスのBBCです。

NHKは国営放送ではありませんが、予算や委員の任命には国会の承認が必要です。

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ポイント1

NHKの受信料のはじまり

戦前のラジオときから日本放送協会は ”聴取料” を取っていました。ラジオを聴けるようにしたら聴取料 月1円(現2000円程?)徴収していました。当時は放送事業は大日本帝国政府により管理されていました。 

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戦後はGHQの指導などにより、民営の放送事業参入が認められるようになりました。そして日本放送協会は日本政府からの圧力に屈しないために独立すべく受信料制度を取ることになりました。

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ポイント2

テレビの普及

日本でテレビ放送が始まったのは1953年からです。その後、一般家庭でも白黒テレビが一気に普及していきます。

 

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TVの普及に伴って

その後BS放送が開始され、今のように地上契約と地上+衛星契約になりました。

受信料を取る理由

NHKの説明では受信料を取る”もっともらしい”理由はコレです。

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受信料を取る理由

また、政府や特定の勢力に影響を受けない「独立性」を得るためとしています。これは上で書きましたね。

たしかに民間放送はコマーシャルを流して、広告費で運営しているため広告主の意にそぐわない内容は放送しにくいですね。

受信料の支払いについては放送法第64条に明記されています。

ザックリ言うと・・・

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放送法 第64条

また受信料の月額については放送法第70条によると国会の収支予算で決められることとなっています。

受信料が免除になる基準

視覚・聴覚の障害や重度の身体障害者や精神障害者は半額免除されます。生活保護世帯学校などでは全額免除となっています。

またNHK受信料の支払いは地域差が大きいこともわかっています。2016年度では秋田県が最高の97.6%、東京都は65.5%、沖縄県が最低で48.4%でした。

沖縄はすごいですね・・・たしかに1972年まで日本でなかった影響も多少・・・あるのかも?!まぁもう45年以上は経ちますが(笑)

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ポイント3

スクランブル放送

この問題の一番の解決策はスクランブル放送ですかね。要するに受信料を払っていない家庭はNHKが映らないようにする。こうすれば平等ですよね?

技術的にはもちろん可能です。CS放送*1は契約者だけが見れるようになってますよね?しかしNHKはそのつもりはなく、否定的な立場をとっています。

理由としてはさきほど登場した

全国どこでも誰でも同じ放送を見れる公共放送の理念が崩れる とかなんとか。

うーむ、これは私の頭が悪いのか?あまり理解が追いつかないぞ。笑

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ポイント4

在日米軍のNHK受信料問題

これも実は結構有名な話なんですけど・・・在日米軍はNHK契約を拒否しており、当然受信料は払っていません。

在日米軍は日本での租税は免除されています。しかしNHK(および日本国政府)の立場としては

受信料は税金ではなく視聴者負担金だから免除されないから払いなさい!

実際問題は米軍基地には立ち入りが難しいためNHKも集金には行っていないようです。

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ポイント5

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海外の公共放送の受信料

英国の放送協会(BBC)では受信料支払い広告収入で成り立っています。

すごいことに受信料の徴収は98%程度だそうです。

これはTVを買うときに「許可証」を買う必要があり、それに伴い受信料を払うシステムになっています。TVだけでなくPCやスマホを持っているだけでも支払いの義務が生じます。日本よりも厳しいですね。

またBBCには徴収しに行く強力な権限も与えられています。現在首相のBoris Johnsonはこの許可証の廃止を検討しているとのことです。

アメリカではどうかというと受信料というものが存在しません。そのため、上記の在日米軍も

「受信料?は?なんやそれ?」

ってなもんでしょうか。笑

お隣の国・韓国ではKBSという公共放送があります。なんとKBSは受信料未払い0%らしいです!!

そもそもKBSは広告収入が多く、収入の半分が広告費なので、受信料がまず安い。また受信料は電気代に上乗せして徴収しているため取りそびれないそうです。 

しかし、公共放送で広告とってるとなると、結局広告主への忖度が出てくるので、これはどうなんでしょうか。。。

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ポイント6

まとめ

NHKの受信料支払いは各種勢力からの独立のためにできた。

放送法によりNHKが受信できる環境にあれば基本的には契約・支払いの義務がある。

地域ごとに受信料の支払いに大きな隔たりがあるのも事実。

 

アメリカではそもそも受信料がない。

受信料のある英国や韓国でも、批判はあれどうまく徴収できている。

 

日本での問題は「不平等」である。

素直に払う人からは取り、拒む人からは取らない。

 

NHK受信料の問題、おわかりいただけましたでしょうか?

*1:WOWOWなど

日本のお金「円」 ~お金の教養シリーズ~

2024年から日本円お札が刷新されますね。一万円札は東京証券取引所などを設立した渋沢栄一が選ばれました。「日本資本主義の父」とも呼ばれた偉大な人です。来年はNHKの大河ドラマも彼の人生を描いたものを行うそうです。

さて、今日は「日本円」について色々とお話ししたいと思います。

 

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三貨制度からの移行

江戸時代の日本では三貨制度と言って、金・銀・銭の3種類が貨幣として流通していました。3つのお金を交換する必要があり、それにより両替商が発達しました。ご察しの通り、国の中に3つの貨幣があるのはややこしく、さらに偽造金銀銭が多く流通したことで、明治政府としては統一貨幣を作るのが急務でした。

また、四角形のお金では使用により四隅が摩耗し、品質の低下が起こることから、円形の通貨の制定が望まれました。

 

新貨条例

大隈重信らの尽力でついに明治4年(1871年)に新貨条例を制定しました。この条例では以下のような変更が起こりました。

・単位「両」→「圓(円)」

・方形→円形

・10進法のお金

円の下にも補助単位の「銭」と「厘」も導入しました。

もう1つ重要なのは1円硬貨に含まれる金の量を1.5gとし、アメリカ1ドルと同じにしました。これにより円とドルも連動することになったわけです。

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大隈 重信

通貨単位「圓(円)」

この「圓(円)」という単位は中国の単位に由来しています。形が円なので「圓(円)」となったそうです。中国語で「圓」はyuanと発音します。これと同じ発音で「元」というものがあり、こちらの方が画数が少なく楽なので、「元」という単位に置き換わりました。※中国の通貨は「人民元」

ちなみに、韓国の通貨単位もこの「圓」からできており、韓国語の読み方は(ウォン)なので、韓国の通貨は「ウォン」ですね。

さて、日本の通貨「円」は英語表記ではyenですね。これにも歴史が絡んでいます。「円」という字は元々読みは【ゑん】でした。16世紀ごろまでは日本国内では「え」も「ゑ」も発音に区別なく「いぇ(ye)」と発音していました。その影響がしばらく続き、英語表記されたときに「えん」→「yen」と書かれたことが今に残っているのです。

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金本位制とは

外国と貿易をするときに外国のお金の価値と自国のお金の価値は当然違います。不安定な国のお金をもらっても困ります。そこでイギリスで1816年に金本位制というシステムができました。

金(gold)は有限でその価値は世界共通のため、それを使って貿易をしようということです。しかし、実際問題、金(gold)を持ち運ぶのは困難なので、金(gold)と同価値で交換できるお金を作りました。

この金本位制に参加した国々は各国が保有する金(gold)に合わせて通貨を流通させました。こうして、通貨に金(gold)による「お墨付き」を与えました。この制度は当時発展しまくってたイギリスから一気に世界に広まり、日本でも導入されました。

中国をはじめとした東アジアでは銀を用いた銀本位制と言うシステムを使っていました。実は日本はこの銀本位制も一時併用していました。

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管理通貨制度

金本位制はその後100年以上継続されました。

しかし、第一次世界大戦のとき、敗戦国が戦争賠償金を支払う際に金(gold)を用いて支払いました。当然敗戦国の通貨の価値は低いですから、戦勝国は金(gold)で欲しいですね。

そうすると敗戦国の金(gold)の国内保有量が大幅に減ってしまい、金(gold)を国の貨幣の担保として使えなくなりました。つまり、金本位制が維持できない国が増えだしたのです。

日本でも1931年に金本位制は崩壊し、管理通貨制度に変わりました。管理通貨制度とは国が経済状況などを鑑みて紙幣をする枚数を調整するシステムです。

 

戦後の日本円

世界大戦後の賠償金などから金本位制を辞める国々が増えました。その時は米ドルが一番安定しているので、米ドルが金本位制の代わりとなり、各国の貨幣の価値のバランスを保つこととなりました。

固定相場制により日本円も1ドル=360円と決定されました。諸説ありますが「円」は360°なので 360円となったという噂もあります。これは所詮噂レベルです。

その後、米ドルの価値が急落したときに、日本の経済成長期も重なり日本円の価値が高まってきて、1973年に固定相場制から現在の変動相場制に変更となりました。これが、毎日ニュースでやっている、【今日は1ドル=○○円】というものですね。

 

最後に

お金と言う言葉に「金」が使われる理由には諸説ありますが、金本位制を考えたら納得できますね。

ちなみに「銀行」という言葉も日本語に訳すときに「金行」か「銀行」かで意見が割れたようです。記事でも扱いましたが日本は金本位制、銀本位制を併用していました。結局、「きんこう」よりも「ぎんこう」の方が発音がしやすいため銀行になったようです。

税金の仕組みを知ろう2 ~住民税をわかりやすく~

税金のお勉強2つ目は住民税です。毎年6月に通知が来ますね~。

さて、この住民税についても勉強していきましょう。ただし、前回の所得税の話をある程度理解していれば、この仕組みもかなり似ているので簡単です。

これらの計算式は覚える必要はありません!税金の計算がどのようにされているのかを知るただけなので「ふむふむ」と理解できたらそれでOKです。

 

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住民税とは

そもそも住民税というのは所得税が国に納めるの違い、市町村に納めます。住民税自体は市民税と県民税の合わせたものを市町村が一括で集めているのです。

よく「〇〇市の方が住民税が安い」とか聞きますが、実際は全国的にほとんど変わらずほぼ10%です。大差ないです(市によって100~1000円くらいの差程度)。

さて、住民税の支払いはその年の1月1日時点での住民票の住所がある市町村に納めることになっています。4月に引っ越しても前のところに払うことになります。

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住民税の構造

上図のようい住民税は所得割(所得に応じた額)+均等割(=みな同一料金)の構成になっていますが、均等割は5000円なので、実質所得に応じて値段が決まります。

めんどくさい人は

住民税は課税所得の10%くらい!

と割り切って覚えても問題ないでしょう。

 

まずは課税所得額を計算

若干控除額が違うのですが、前回の所得税と基本的に同じやり方です。

所得税の計算はコチラ

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令和2年度(2021年に確定申告)からは控除などの割合が変わります。今回はそれに合わせて書きますね。

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これは前回の記事で出てきました。課税所得額は収入(=額面)から各種控除を引いたものです。全員が引いてもらえる基礎控除や、配偶者がいれば配偶者控除などありましたね。

<所得税と住民税で異なる主な控除>

基礎控除43万円(所得税では48万円)

配偶者控除*133万円(所得税では38万円)

・扶養控除:33万円(所得税では38万円)

・生命保険控除:最大2万8000円(所得税では4万円)※生命保険、医療保険、個人年金それぞれの上限です

 

田中氏(仮)で計算してみよう

前回の記事で登場した会社員、田中氏(35)で住民税の流れを見ていきましょう。確認ですが、田中氏はiDeCo、ふるさと納税、個人年金は行わず、民間医療保険に入っていません。

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ここで田中氏の住民税における課税所得額は

所得:600万円ー328.8万円=271.2万円

となります。

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所得割額は課税所得額にかかわらず10%となっています。所得税では累進課税でしたよね?そこが違います。

所得割額:271.2万円 × 10% = 27.1万円

ここから家族構成をもとにややこしい調整控除というものをしますが、そんなん微々たるものなのでここではもう無視しましょう。

均等割額は一律5000円 (0.5万円)と覚えましょう。

なので田中氏の住民税は 27.1万+0.5万=27.6万円となります。

※実際は家族構成で調整控除されますので1万円弱ほど安くなるかもです。

 

最後に

いかがでしたか?前回の記事で収入600万円の田中さん(仮)の所得税は16万2500円でしたね。今回住民税は27万円くらい住民税の方が高いことがわかりましたね。

年収800万円ぐらいまでは住民税の方が高く、そこから年収が上がると所得税の方が高くなります。

改めてお判りいただけたかと思いますが、「所得税」も「住民税」も実はそんなに多くないですね。

次のシリーズでは一番高い「社会保険料」を学びましょう。

*1:但し納税者の合計所得が1000万円(収入が1220万円)を超えると控除されない

税金の仕組みを知ろう1 ~所得税をわかりやすく~

確定申告のシーズンですねー。

当ブログでは「初心者向けのお金の勉強」の記事も扱っていきます。

大学まで出ても「お金」のことなんて誰も教えてくれません。自分で学ぶしかないのです。ただややこしい。。。。

そんな人のために最低限の『お金の教養』を一緒に学んでいけたらなー・・・

 

ですので、もう基本なんていらねーよって人はスルーでお願い致します。笑

 

さて、今回は所得税の超基本知識をまとめてみましょう。

 

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はじめに

正直なところ、所得税の計算法など知らなくても生きていけます。知ったところでめちゃくちゃ得するわけでもありません。

ただ、自分たちが支払っている税金や社会保障費がどのくらいなのか、何にどのように使われているかというのは知るとことも重要です。こういうことも政治に関心をもつきっかけにもなります。

ここの内容をマスターする必要はなく、「へー、そういう風にできているんだ~」くらいの理解でいいと思います。

 

所得と収入の違い

まず初心者はここでつまづきます。この違い説明できますか?一般的な会社員の場合で考えてみましょう。(下図参照)

収入:会社から支払われる労働に対するお金(=額面)のことです。

所得:収入から必要経費を引いたもののことです。

 この必要経費と言うものを個人で計算するのは手間なので、給与所得控除(こうじょ)というものがあります。給与所得控除は収入額によって変わります

さらにみなさん社会保険料も払っていますね?年金や健康保険など、これらは全国民強制のものなので経費として引いてくれます。(民間の生命保険なども上限額までは経費にしてくれます。)

会社員は普通、特別徴収(=天引き)なので、会社から実際振り込まれる額は収入(額面)から税金・社会保険料などが引かれています。これが手取りですね。

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このように収入(=額面)と所得は違います。所得税は収入ではなく所得から計算されます。要するに控除が大きければ大きいほど税金がかかる所得が小さくなるので節税になるということですね。

ここからは「所得」と「収入」という単語が何度も出てきますが、ゴチャゴチャにならないようにゆっくり読み進めてくださいね。

 

各種控除

では、次に各種控除について見ていきましょう。控除というのは要するに「必要経費」と考えればOKです。それら必要経費を引いた分に課税しましょうねというルールです。ここでは主な控除について学びましょう。

 

<誰でも受けれる控除>

基礎控除は納税者全員が受けられる控除です。令和2年以降*1、合計「所得」金額が2400万円以下の人(ま、一般人はこれに該当します)は一律48万円控除されます。

あとは給与所得控除です。こちらは会社から支払われる「収入」(=額面)の額に応じて控除額が決まります。令和2年度以降、この給与所得控除額が引き下げられます!

※実質増税と考えれますね。

 

<そのほかの主な控除>

扶養控除:配偶者以外に16歳以上の扶養親族がいる場合。

配偶者控除:配偶者の所得が48万円以下(=額面収入 103万円以下)。※ただし、納税者の所得が1000万円(=額面 1220万円)を超えるとこの控除は受けられません

・雑損控除:自然災害や盗難で被害にあったとき。

・医療費控除:年間10万円以上200万円以下の医療費がかかったとき。

社会保険料控除:年金、健康保険などの社会保険料支払い全額。

・生命保険・地震保険控除:支払った額に応じて控除(上限あり)。

・小規模企業共済等掛金控除:iDeCoなどの掛金の控除。

寄付金控除ふるさと納税などの支払いが控除。

 

所得税の計算

さて先ほどの図(下に再登場)を思い出してください。収入から上で学んだ各種控除を引いたものが所得になりますね。

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ここで、例を挙げてわかりやすく見ていきましょう。

(例)田中氏は35歳で年収600万円の会社員です。奥さんは33歳 専業主婦、子供は5歳です。田中氏はふるさと納税やiDeCoや個人年金はやっていません。生命保険は加入も民間医療保険には入っていません。

さて、ではこの田中氏のモデルをもとに所得税を求めてみましょう。まずはこの人の所得を計算しなければなりません。収入から各種控除を除くわけです。

(注意:これらの計算は令和2年以降の比率で計算します)

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田中氏はふるさと納税もiDeCoも興味なくてやっていませんので、寄付金控除や小規模企業共済等掛金控除はなしです。個人年金もやってませんし、民間医療保険にも入っていないので、生命保険の控除のみの4万円です。また、家族ともに健康で、病院にも風邪で1度かかったくらい(?知らんけどw)ですので、医療費控除もありません。

 

田中氏(仮)の所得税は?

上の図から田中氏は340万円の控除が受けられるので、

田中氏の課税所得:600万円ー340万円=260万円

となります。

この額を次の表に当てはめて所得税を計算します。

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上の図から課税所得が260万円で税率が10%となり、それで計算されたものから右隣の控除額と言うものを引けば所得税となります。

田中氏の所得税:260万円×10% ー 9万7500円 = 16万2500円

ということで所得税は16万2500円になりました。

意外と所得税安くて驚いたのではないでしょうか?

 

最後に

かなりややこしいですが、所得税の基本を簡単に学びました。また、iDeCoやふるさと納税をやる人は税金額も変わってきますが、今回はなしで話を作ってみました。

「所得税は高い」と思われがちですが、実は年収600万円の人では16万円だけだったのですね。給料から引かれてる多くは所得税ではなく社会保険料が高いのです。

これから少しずつ学んでいきましょう。

 

住民税についてはコチラ

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*1:2021年の確定申告から

あなたは賛成?反対?ベーシックインカム

2020年になってすぐZOZO 前 社長の前澤氏総額10億円のお年玉企画をやっていましたね~

あーうらやましい。

それはさておき、そのときにこんなことも言ってました。

「僕が実験したいことは

  『ベーシックインカム、前澤個人でやってみた』です」

                     1月2日 本人 Twitterより

 

最近よく耳にするベーシックインカムってどんなものかご存知でしょうか。なんとなく、社会主義とか共産主義みたいな響きですが・・・

わかりやすく学んでみましょう。

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ベーシックインカムとは

ベーシックインカム(Basic Income)とは簡単に言うと政府が全国民に対して、最低限の生活が送れるようにするためのお金を定期的に支給することです。 

社会保障給付金と違い、一定の条件を満たす人ではなく、全国民に給付することからUBI(Universal Basic Income)と表記することもあります。

 

ベーシックインカムのメリット

  • 貧困対策になる
  • 少子化対策になる
  • 行政運用コストの削減になる

などなどが言われている

 

確かに最悪働かなくても暮らしていけるお金をもらえるわけだから貧困対策にもなりますね。 

それに子供が増えればその人数分ベーシックインカムをもらえるから少子化対策にもなりますね。

また、複雑な年金や生活保護などをやめられるのでそういう意味では行政運用コストの削減につながりますね。
 

ベーシックインカムの問題点

それではベーシックインカムの問題点は何でしょうか。一般に指摘されているのは次のものです。
  • 財源の確保
  • 勤労意欲の低下
  • 賃下げの懸念
  • 社会福祉の水準低下

当然、財源確保の問題が出てきますよね。一応、年金や生活保護などの各種の社会保障を廃止しそのお金を充てるというのがよくある案です。

また、働かなくてもお金がもらえるので労働意欲が下がるのではないかという懸念もあります。僕はそうは思いませんが。(後で説明)

 

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実際の社会保障給付費からの試算

では、先程のべた財源の確保の案についてどのくらいの実現性があるのでしょうか?少し見てみましょう。

 

日本の社会保障給付費は年間120兆円(2017年)くらいあり、そのうち医療費が40兆円くらいあります。日本の高齢化社会を鑑みても医療費を急に削減するのは極めて難しいので、それ以外の部分、つまり、生活保護制度や年金を廃止しても120兆- 40兆=80兆円 / 年 ほどしか財源は確保はできません。

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たとえば、この80兆円をベイシックインカムに使うとすると・・・

80兆 ÷ 1億2500万 = 64万円 / 年

つまり一人当たり年間64万円(月5万3000円)まで給付されるということです。

(※案によっては20歳以上の約1億人を給付対象にするというのもあります。)

 

例えば4人家族では月に21万円の給付になります。正直これだけで1家庭が暮らしていくのはなかなか厳しいので、心配されているような勤労意欲の低下につながるほどのことはないかと思います。

 

しかも、今の社会保障費はみんなが払った税金などが一部の人たちにだけ多く利用されている現実からも、その補償費をみんなにベーシックインカムとして分配するのは公平性が保てているような気もします。 

 

ただ、忘れてはならないのは、この計算はいまと同じだけ税金が払われていて成り立つ計算です。つまり、仕事を辞める人が増えてしまうと税収も減り財源が保てなくなり、成り立たないわけです。そこをカバーするには、他の税金、すなわち消費税相続税をもっともっと上げなければ成り立たないとも言えます。

 

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実は日本でも近いものが過去に

定額給付金(2009年、麻生内閣)では1人につき12,000円の給付金を1回限りで行いました。これに関しては「選挙の票稼ぎ」とも批判がありましたね。

子ども手当(2010-2011、鳩山内閣)もベーシックインカムにちかいものです。しかし、その後、児童手当に変更され、所得制限などが加わったためベーシックインカムの概念とは離れていきました。

 

最後に

みなさんはベーシックインカムについて反対ですか?賛成ですか?

もともとこの考えは貧富の差が広まっていることから声高く叫ばれています。

日本でも貧富の差は大きいと言えど、国として全体的には豊かであり、みんな不満はあれど、治安もよくわりかしうまくいっている現行制度を大きく変えてまで導入するメリットがあるのか?というところですね。

しかし、現在の社会保障費は使う人はたくさん使い使わない人はほとんど使わないという不平等なものです。そういう意味ではそのお金をベーシックインカムとして分配することは平等な考えになるかもしれません。

ただし、税収が減ってはこのシステムは成り立ちません。相続税や他の税金がもっともっと上がってくることは必至でしょう。また、年金もなくなるので、年金支給額よりもベーシックインカムの方が低くなる可能性も高いので不満の声もでるでしょう。

 

みなさんはどう思われますか?