ここ最近よく聞かれるのが「電車乗んの怖くないですか?」
たしかに、日々通勤で電車に乗る人は同じ心配をしていると思います。特に東京の満員電車は怖いでしょうね(ま、乗ったことないけどw)。
今回はコロナ禍でも安心して電車に乗れることをお知らせいたします。
『電車に乗るのが怖い』
みんながみんなテレワークや自動車通勤ができないのは当然で、怖くても3密の電車通勤をしなければいけない人はたくさんいます。
そしてだいたいは良識のある人たちですが、時々、ノーマスク主義者や、車内でデカい声で談笑する若者たちとかもいるわけです。
そんなやつらはみんなのために頭をバシっ!として次の駅でつまみ出すと他の乗客が安心でき、世の為・人の為であります。しかし、小心者にはそのようなことはできません(笑)
エチケットという概念がわからず「は?マスクが効くエビデンスあるの?」とかいうめんどくさい人とかと揉めるのはあなたの大切な時間と人生のムダです。
というわけで、ムカつきながらも”勇気ある退避”で身を守りましょう。笑
さて、ここからは少し科学的に見ていきましょう~~。
コロナの感染経路
さて、まず新型コロナウイルスの感染経路をもう一度確認しておきましょう。
アメリカCDC*1ではこのように言っています。
意外なのが、普通の呼吸でもウイルスを排出しているという点ですね。
そして、基本的な感染経路は飛沫感染と接触感染だということです。
▼CDCのコロナ情報▼
空気感染と飛沫感染
いつも議論になるのが、空気感染するのかしないのか問題です。
そもそもの空気感染と飛沫感染の違いから確認しておきましょう。なんてことはない、めちゃ簡単です。
くしゃみをしたときにウイルスは水分に包まれて出てきますね、これは飛沫です。
その後、周りの水分が蒸発してしまうと飛沫核になります。当然、周りの水滴がない分飛沫核の方が小さく、普通のマスクでは通り抜けてしまうので予防としては効果なしです。また軽いので遠くまで広がります。
でもまず口から出たときは飛沫核ではなく飛沫なわけで、マスクで相手に飛ばさないようにするという点は重要ですね!
さて、問題は飛沫核になった状態で感染力があるかないかです。はしか(麻疹)や水ぼうそう(水痘)は飛沫核でも感染する空気感染がメインです。
一方、インフルエンザは飛沫核ではパワーを失うので、飛沫感染がメインとなっています。
しかし、メインなだけであって、まれに空気感染も起こすこともあるということも1つ知っておかなければいけません。
最後に、エアロゾル感染という言葉がよく使われますが定義が曖昧なんです。ま、ザックリとどっちもの性質を備えていると考えておけば実生活では困りません。the 玉虫色
新型コロナは?
基本的には先ほど書いたように新型コロナは飛沫感染が『主な』感染経路となっています。しかし、WHOは「換気が悪い状況では空気感染も起こしうる」と見解*2を示しています。
接触感染はのちに「かなりまれ」とわかりました。
いずれにしても、基本は飛沫感染だけれどもしっかりと換気ができていないと空気感染もありうると心得ておくことは重要です。
▼デルタ株は感染力が強い▼
電車の換気
さて、空気感染を起こさない為にも換気が非常に重要であることがわかりました。
現在、電車は空調を使いながらも、雨の日以外は窓を開けているのはみなさんもうおなじみですね。あれもちゃんと研究で示されています。
鉄道総合技術研究所*3の研究結果*4を簡単にまとめてみましょう。
換気量は当然ながら窓を大きく開けた方が大きいです。しかし、開けすぎると空調の効きが悪くなります。だから全開ではありませんね。
それで、各車両6か所の窓を10cm開けた場合、空調の換気も合わせると2-3分に1回車内の空気が入れ替わることがわかりました。さらに、満員電車でも効果にあまり差はないそうです。
このデータは70km/hで走っているときですが、実際電車は駅に止まっている間は、ドアが開いて大きく換気できますし、加速したら70~100km/hほどで惰行するので、多くの時間で車内の換気は大きな問題なしですね。
また、地下鉄に関しても、窓開けを行うことで同様の結果*5が得られております。
新幹線・特急列車は?
では、新幹線や特急列車はどうでしょうか?
まず、新幹線や在来線特急列車は停車駅が少なく、ドアを開ける頻度も少ないですね。また、客室とドアも直接はつながっていませんよね?換気はどうでしょうか?
高速走行や、騒音低減目的に気密性を高めた車両のため、換気は悪そうに思われますが、実際は、換気がキッチリできるように作られており、JR東日本*6によると新幹線・特急列車は5~6分で空気の入れ替えができます。
接触感染はまれ
電車内での飛沫感染については、マスクと換気でなんとかなりそうです。
コロナの感染経路に接触感染もありましたね。
実は、複数の研究結果*7*8*9から新型コロナの接触感染のリスクはかなり低い(1/10000)ことがわかり、CDCのガイドライン*10もそれに準じています。
過剰な消毒は不要だが、リスクは0ではないので手洗い・消毒は有効と言っています。
▼必要以上の対策の副作用▼
さいごに
いかがでしたか?
感染経路不明が多いので、「電車ちゃうか?」と考えるのも無理はありませんが、前回ご紹介した論文*11でも、感染経路不明者の多くは結局『会食』につながったというものでした。
▼感染経路不明者、実は・・▼
普段通勤で乗っている電車は満員だと不安になる人もいますね。みんながマスクをしていて、しっかりと換気が行えていればそれほどリスクが高くなさそうです。
通勤電車も新幹線・特急列車もしっかりと換気が行われていることがわかれば少しは気が楽になるのではないでしょうか。
では、また(^^ノ
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*1:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/science/science-briefs/sars-cov-2-transmission.html
*2:https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/transmission-of-sars-cov-2-implications-for-infection-prevention-precautions
*3:https://www.rtri.or.jp/rd/seika/2020/5-22.html
*4:https://www.rtri.or.jp/press/is5f1i000000j0jb-att/20201028_001.pdf
*5:https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2020/nr20201203/nr20201203.html
*6:https://www.jreast.co.jp/ass/pdf/20200407.pdf
*7:A. M. Wilson, M. H. Weir, S. F. Bloomfield, E. A. Scott and K. A. Reynold, “Modeling COVID-19 infection risks for a single hand-to-fomite scenario and potential risk reductions offered by surface disinfection,” American Journal of Infection Control, vol. Article In Press, pp. 1-3, 2020.
*8:A. P. Harvey, E. R. Fuhrmeister, M. E. Cantrell, A. K. Pitol, S. J. M, J. E. Powers, M. L. Nadimpalli, T. R. Julian and A. J. Pickering, “Longitudinal monitoring of SARS-CoV-2 RNA on high-touch surfaces in a community setting,” Environmental Science & Technology Letters, pp. 168-175, 2020.
*9:A. K. Pitol and T. R. Julian, “Community transmission of SARS-CoV-2 by fomites: Risks and risk reduction strategies,” Environmental Science and Technology Letters, 2020.
*10:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/more/science-and-research/surface-transmission.html
*11:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ghm/advpub/0/advpub_2021.01092/_article