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これからコロナ感染者が減る理由

1か月ほど前に、ポルトガルの状況を元に、『第7波では1万人規模の死者が出る』と言う記事を書きましたが、残念ながら今の調子で行けばやはりその通りになりそうです。

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世界的には『コロナと共存』へ向かっており、ある程度の死者数は受け入れて社会を回す方向で進んでいます。

今回は、日本の状況を客観的に見て、どういう方向に進んでいるのか見ていきましょう。

コロナの状況

ここで少し、コロナの状況を少し見てみましょう。

日本、アメリカ、イギリス、南アフリカの4か国での比較です。

コロナの陽性者と死者数

国によって人口が違うので、100万人当たりにして比較したものです。

まず、感染者数については、終始 南アフリカが少なく、その次に日本が少なく、米英でかなり多いのが見て取れます。そして、直近を見ると、日本がダントツフィーバーです。

死者に関しては、一番少ないのが日本で、次に南アフリカ、そして米英がかなり多いと、ま、ザックリこのくらいはわかりますね。直近では日本が米英を抜きそうな勢いであります。

まとめ

ここまでをザックリまとめると上のような感じになります。

超過死亡比較

では、さきほどの4か国で致死率を比べてみましょう。

致死率の比較

南アフリカがダントツです。

これの一つの理由は、当然検査数などが関係します。先進国ほど検査がたくさんできないので、全陽性者数が過小評価されるため、計算上、致死率が高めに出ます。

しかし、それだけではないのです。

超過死亡数の推移

南アフリカでは、超過死亡が増え続けています。日本はかなり優れていることが見て取れますね。

まとめ2

ここの項をまとめると、上のようになります。

南アフリカでは先進国と比べ検査が不十分で、致死率が計算上 高く出てしまうのは事実ですが、それだけでなく超過死亡がダントツです。つまり、コロナで相当の被害が出ています。

ワクチン接種率

今回の比較でもわかったと思いますが、先進国と途上国を数字だけで単純比較してはいけないのです。

そもそも、人口体系が全然違います。南アフリカでは人口の9割が60歳未満で、いわゆる『重症化しにくい層』です。先進国とは大違い。

それでいても、これだけ超過死亡が出ているのは、なぜでしょうか。

接種完了率の比較

「オミクロンはかぜに近い」と言われる中で、60歳未満がほとんどの南アフリカで超過死亡が増えているのは医療が整ってないからでしょうか?

それも完全否定はできませんが、それよりも大きな差を出すのはワクチンでしょう。

だからこそ欧米では、接種率(2回接種)が6~7割となり、致死率も下がっていることから、規制撤廃を進めていくことになったのです。

それでは、やっと本題に入っていきましょう。

『感染者数世界一』

今回の第7波で一番の話題と言えば、日本での感染爆発でしょうね。

共同通信より引用

第6波までは世界から称賛されてきた日本の対策でしたが、ここに来て日本の感染大爆発で、『世界一』の悲しいタイトルを得ました。

『日本の対策は優秀』

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いろんな専門家たちが色々理由を考えてました。どれもが仮説にすぎませんが。

まず一つ大事なことは、日本は今まであった規制をしなくなったのは当然影響しています。しかし、それを言えば、アメリカなんて日本以上に規制ユルいですよね。

なぜ、アメリカより日本の方が感染者が多いのか・・・

というわけで、アメリカの状況を知ってみましょう。

家庭内検査

実は、アメリカではこの春から家庭内検査(抗原検査)が普及しています。CDCのサイト*1から情報を読み取ります。

CDC:家庭内検査のタイミング

検査を受けるべきタイミングとしてCDCは上記のように記しています。会合などに参加する前に検査をするなんてのも”新たなエチケット”になるかもですね。

ちなみに抗原検査については無料でもらえる場合もあるし、無理だったら薬局で買ってねと言っています。民間保険で一部返金となる場合もあるそうです。

CDC『陽性時の対応』

陽性と出た場合の対応は上記のように指示してあります。若くて元気な人は上の3つです。高齢者や基礎疾患のある人はかかりつけ医に相談し、状況によっては病院へ。

日本のように簡単には受診しません。日本の国民皆保険のようなものがなく、医療費は高いですからね。

で、気づきましたか??

そうです、陽性の報告の義務などないのです。つまり、家庭内検査での陽性は発表される『陽性者』に含まれないわけです。

つまり、アメリカでは発表以上にもっともっとたくさん軽症陽性者がいます。そして、今程度の死者数❨1日300〜400人❩は目をつぶることにしたわけです。

日本も減る

さて、この記事のタイトルですが、なぜコロナ感染者数はこれから減るか。

もう想像つきましたでしょうか?笑

もちろん、感染の傾向を見ていても、そろそろピークだという判断もあるのですが、それだけではありません。

自主検査の開始

実は8月に入ってから日本でも自主療養者という新たな枠組みができました。

若年で重症化リスクの高くない人で、コロナ疑いであれば、自身で県のホームページから抗原検査の申請をすると、キットが送られてきます。

それで検査して陽性であれば、それを登録して『自宅療養』します。これは毎日発表される陽性者数には反映されません!

この制度が進めば日本の「今日の感染者数」は当然減りますね。

尚、自主療養証明がもらえるので、保険とかで必要な場合もこれで済ませられます。

濃厚接触隔離不要

CDCは8月11日、濃厚接触者の隔離は今後は不要とガイドラインを更新*2しました。

これから発症する可能性があるので10日間はマスク着用を推奨しています。❨これは他人に移してしまわないための配慮です❩

CDCガイドライン改訂の意図

CDCによると、ガイドライン改訂の意図は、コロナはまだ終わっていないけれど、社会が回らなくなっては困るからということです。

日本はアメリカの後を追います。いずれ、これが日本でもスタンダードになるでしょう。

さいごに

いかがでしたか?

日本は第7波で感染者数ダントツの世界一となっていますが、規制をなくしていった欧米とこの数字で直接比較すること自体がナンセンスです。ま、メディアは話題になるので騒ぐでしょう。

日本でも、8月から保健所の逼迫などもあり、自主療養者という新たな枠組みができました。これは、アメリカで春からされている家庭内検査と似ており、陽性者には計上されません。

段々と、コロナという存在を社会から見えなくして、誰もが気にしなくなった時点が終息となるのでしょう。

では、また(^^♪

コロナ2022年終息?

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