マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

MENU

『コロナ対策、日本は超優等生』

日本という国は、本当に不思議で、世界に誇れる部分が多々あるのに、メディアをはじめとして自虐が大好きなことです。

世界的に見て日本のコロナ対策は非常に優れていますが、それでも小さなマイナスの部分に目をつけてギャーギャー騒ぐ。

今回は、日本のコロナ対策に関する海外の評価も見ていきましょう。

『超過死亡が増えている』

今年に入って何人かの患者に聞かれました。

「日本の超過死亡が今年増えているのは、ワクチンのせいって聞きました。」

たしかに、ネット上では反ワクチンの人たちはそのように言いますが、全然違いますね。

例えば、2021年全体の超過死亡とワクチン接種の関係は報告*1されています。

2021年 超過死亡とワクチン接種①

65歳以上で、去年の1回目、2回目ワクチンの接種より前に超過死亡がピークを迎えており、以降下がっています。ワクチンのせいなら、接種後に増えないとおかしいですね。

2021年 ワクチン接種と超過死亡⓶

65歳未満は、当然接種が遅かったですから、高齢者よりもさらにわかりやすく、ワクチン接種のだいぶ前に超過死亡はピークを迎えています。東京だけ遅れて超過死亡が見られますが、いずれにしても全国で見れば超過死亡はマイナスでした。

今年に入って超過死亡は昨年より増えています。超高齢化社会で超過死亡はあるのが普通です。去年・一昨年のマイナスだった分が、今年出ています。

日本は超過死亡少ない

日本は世界的に見ても、ワクチン接種率が相当高いです。もし接種すれば死ぬ人が増えるのであれば、日本では超過死亡がとんでもないことになっているはずですよね。(笑)

日本は超過死亡少ない

100万人当たりの超過死亡ですが、日本は一番下のです。最後にちょっとだけ0を超えたレベルで、それ以前はずっとマイナスです。

これを見て「日本の超過死亡が去年から増えているのはワクチンのせいだ」って言うのは、センスなさすぎですね。

ところで、このグラフで重要なのは、一番上の南アフリカです。

南アフリカは若い人が多い

国民の9割は60歳未満で重症化しにくいはずですが、超過死亡はダントツですね。ワクチン接種率は36%*2と低いんです。

もう何が言いたいかはわかりますね。

南アフリカでは死にまくっている

www.multilingual-doctor.com

日本のデータだけで話をすると迷子になります。広い視野で物事を見る必要があります。

日本の対策はよかった

さて、今回は日本のコロナ対策についての海外の評価を見ていきましょう。

最近、日本のコロナ対策を讃える記事が出てきております。最近ではウォールストリートジャーナルの記事*3もありましたし、今回扱うブルームバーグの記事*4もそうです。

日本のコロナ致死率が世界一低い

この記事のタイトルです。

日本は新型コロナ致死率も世界一低いという評価です。先ほど、超過死亡のお話もしました。超過死亡が少ないということは、『隠れコロナ死』も少ないのです。

つまり、日本の感染対策は非常にうまくいったということです。

結論に達しましたが、一応中身も見ときましょうか。(笑)

先進国で一番

裕福な国の集まりであるOECD加盟国でのコロナ死者数を見てみましょう。

OECDでのコロナ死者数(人口100万人あたり)

当初は日本は致死率は高めだったのですが、2021年夏以降横ばいとなりました。そして、オミクロン株到来でまた増えました。

韓国やニュージーランドでの感染拡大で、現在は日本が最も致死率が低い国となりました。

日本国民の生真面目さと医療体制

理由としては、日本国民の生真面目さとワクチン接種の体制を挙げています。

また、賛否ありましたが、『指定感染症』により、コロナ治療費は無料でしたね。5類になったら自費になります。こういったことが日本の特徴だと書いています。

ロックダウンなし

さらに記事では、日本の重要な特徴として『ロックダウンがなかった』ことに触れています。

日本国憲法では都市封鎖できない

ゼロコロナ政策でかなり厳しい措置を講じた中国と対比させ、日本ではマスク義務化もなく、都市封鎖も憲法上できなかったと書いています。

ユルユル対策が功を奏した?

むしろ、そのユルユル対策が功を奏したのではないかということです。

さらに、記事内で強調されているのは日本の『超高齢化社会』です。高齢者が他国と比して多いのにこの結果は驚きに値するということです。

国民の生真面目さ

日本では、強制しなくても、国民が互いの距離を取ったりできていました。他国では、義務化により、『反発』も生み出しました。

国民の『協力』の賜物

また、初期からずっと継続して国民がマスクしていることにも触れています。

ここ最近、気温上昇に伴い屋外でのマスク着用について議論されており、国としても距離が保てるならば屋外でマスクは不要*5としています。

国民のマスク着用継続

それでも、マスク着用している人が多いという部分も驚いています。日本での着用率は90%を越えているそうです。

3密という言葉

そして政府が掲げた『3密を避けよう』というスローガンもわかりやすく、国民に浸透したといいます。

国民に浸透した感染対策

お店では二酸化炭素濃度を測って換気の効率をチェックしてますよね。

電車でもクーラーが入っていても窓を開けて換気をしていますね。この徹底ぶりは日本の特色です。

コロナ禍の電車

www.multilingual-doctor.com

ワクチン接種

ワクチン接種は、日本では欧米より数か月遅れて、ゆっくりと開始しました。その頃は世界的にワクチンへの需要が高く、ワクチン不足も問題となっていました。

日本のワクチン接種

そのことで、高齢者を中心に「早く打っておかないと」という危機感が高まり、高い接種率につながったのではないかと書かれています。

もう一つ、アメリカではワクチン接種自体が政治問題化されました。共和党支持者では接種率が低いことが知られています。そのようなことが日本では微々たる問題でした。

日本人は健康

そして、そもそもの話、日本人はかなり健康な国民であります。

日本人はそもそも健康

世界一の平均寿命なのは有名ですが、さらに肥満の割合が圧倒的に低いですね。これも欧米より死者が少ない理由の一つでしょう。

アメリカでは、60歳未満の死者も結構いるんです。

さいごに

いかがでしたか?

日本の感染症対策は非常に評価されています。その対策は、大部分は日本人の個人個人の頑張りに依存しています。

日本国憲法では、私権を制限する都市封鎖などはできず、マスクやワクチンの義務化もできません。そんな中で、しつこく国民に対策の必要性を訴えかけて、国民がそれを続けたことが良い結果になったとまとめられています。

生きづらく、堅苦しいと思えるときもありますが、団結力はどこにも負けない、それが日本。アッパレ

 

では、また(^.^)ノ