マルチリンガル医師のよもやま話

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アメリカもやっと『コロナ禍終了』?

5月8日より、日本では新型コロナ感染症はインフルエンザと同じ5類感染症になります。

もちろん、これでウイルスの性質が変わるわけではありませんが、とりあえず社会としてのコロナ禍は一区切り終わったと言えますね。

よく、日本だけマスクしてて『取り残されている』と思われがちですが・・・

今回はアメリカの近況を学びましょう♪

アメリカでもやっと

マスクつけるのは『病人』と考える欧米では、マスク着用に相当な抵抗がありました。しかし、積みあがる死者を目にし、国もマスク義務化などしていました。

その後、ワクチン接種やオミクロン株の登場により、もはや大きな脅威でないと判断されると、2022年にコロナ規制はほぼすべて緩和されました。

非常事態宣言解除

もうとっくにコロナ禍は終わった雰囲気のアメリカですが、2020年に出された国家非常事態宣言は、2023年5月11日で解除することに決まりました*1

おそらく日本も、そのタイミングの近くに合わせたのとG7より前で、GW明け・・・

日本も同じくらいに

ってことで5月8日に5類感染症へ移行としたんでしょうね。

実際は、アメリカでは上下院で「もう早よ終わらせようや」と決議され1カ月前倒して4月11日に非常事態宣言を解除しました。

そして、残っていた水際対策も5月11日に終了となり、やっと社会的なコロナ禍の終了と考えると、日本と同じくらいですね。

ちなみに5月5日WHOも非常事態宣言を解除*2しました。

日本とは意味が違う

今回は超名門・Lancet誌の論説*3を見ていきましょう。

社会としてのコロナ禍終了

アメリカはコロナで死者数は累積で112万人*4(記事作成時点)と世界最大の被害を出しました。
同時期で日本の死者数は7万3000人ほどで、実に16倍の差です。

そのアメリカで、この『コロナ禍』の終了というのは非常に象徴的な出来事になります。

新型コロナ死者数推移

この図を見れば、差は歴然ですね。日本のコロナ対策は優秀です。

超過死亡率の推移

コロナ前の傾向から予測される死者数を超える”超過死亡”の割合も、当然日本は優秀となります。

何が言いたいかといえば、アメリカでのコロナ禍終了は、日本での5類移行とは比べ物にならないくらい大きな意味を持つということです。

どう変わる?

さて、アメリカの社会的なコロナ禍終了に伴いどう変わるのでしょうか?

コロナ禍終了以降・・

コロナワクチン接種は少なくとも2024年9月末までは無料ですが、検査費と治療費は自己負担となるだろうと。これは日本のような保険ではなく、個人で民間の保険を契約するので保険会社によって変わるのでこのようなあいまいな表現です。

見えなくする

また、各州のコロナ感染者報告やワクチン接種状況の公表をやめます。こうして、『見えなくする』という方針です。

反省会をしよう

社会的コロナ禍終了に伴い、コロナ禍の反省会をする時だと書いてあります。

反省会をしよう

なぜGDP世界1位のお金持ちで、感染症専門のCDCを擁するアメリカで110万人以上のコロナ死者数を出したのか?これは今後のためにも振り返るべきです。

例えば、医療へのアクセスや貧困、教育水準などについても検討されました。

致死率が高い州の特徴

この論説としては、アメリカ内の格差社会、健康レベルの不均衡、教育水準の差、国民皆保険がないことが最大の被害を生み出した根底にあるとしてまとめています。

政治にも一言

さらに、論説では政治の問題点についても言及しています。

統率力のなさが初期対応遅れの原因

ま、著者がトランプ嫌いなんかもしれませんが(笑)

たしかに、トランプさんは中国を批判することに力を入れ、エビデンスのないクロロキンの内服を示唆したりと無茶苦茶ではありましたね。

政治的思想による議論も過熱

マスクなどの感染対策は、公衆衛生の議論を通り超え、政治的思想による議論に発展したことも社会的分裂を生み出したと考えられます。

ワクチンと政治

ワープスピード作戦で超短期間でのワクチン制作に成功しましたが、ワクチン忌避が問題となりました。

ワクチン誤情報による接種率低下

11月に行われた大統領選の混沌は長引き、最終決着は年をまたぎました。

12月にアメリカでワクチン接種が開始しましたが、ある政党の支持者側では接種率が低かったのです。

明言はされてませんが、共和党ですね。

低接種率は人種差別と関連

で、その接種率の低い層は人種差別にも相関がある・・・それ共和党ですね。

ミルクボーイみたいな掛け合いですが(笑)

いずれにせよ、共和党で接種率が低いのは事実で、それにより超過死亡が共和党支持者で多い*5のも事実です。それも接種開始前では差がなかったけど、接種開始後に差が開きました。

トランプ氏はブースターも接種済

そもそもはトランプ大統領(共和党)がワクチン開発を進めさせたんですが、大統領選で敗れ、おいしいところをバイデン大統領に持っていかれた。それで、支持者はワクチンに反発しているいわれています*6

オミクロン株でも未接種は致死率高し

一応、データとしては、オミクロン株であっても未接種では致死率が高いです。

ただし、10万人で5人としても致死率は0.005%と非常に小さくなっているのも事実です。

アメリカでは、州によって共和党支持、民主党支持がハッキリわかれている所が多いです。州ごとに教育格差やワクチン接種率の差は大きく、それにより死者数が大きく違うことは以前当ブログでも扱いました。

共和党支持者は超過死亡増加

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さいごに

論説の最後は次のように締めくくっています。

コロナ禍の失敗の根本を正せ

コロナ禍で大量な死者を出したアメリカはその根本の原因を正さなければ次のパンデミックでも同じ失敗をするだろうと。その原因としては、医療アクセスの不均衡や、有害な政治的分裂、公衆衛生への不信を挙げています。

ま、結論、日本はほんまにようやってきました。

気になる点は、日本は欧米と比べて既感染者が非常に少ないんです。まだ30-40%くらいですから、ハイブリッド免疫を持つ人が少ないわけです。また大きな波は来るでしょう。しかし、5類になって『見えなくなる』ので多くの人は気にせず生活できるでしょうね。

では、また(^^♪

ハイブリッド免疫

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