オミクロン株の発見から早くも1年が経過しました。
今回はWHOの直近のレポート『オミクロン株登場から1年』*1を見ていきながら解説していきます。
登場から1年
さて、まずおさらいしておきましょう。
2019年12月に武漢で見つかった原始株(or 武漢株)が日本にも入り第1波を起こしたのが2020年2月でした。その後、収束しては変異株がまた新たな波を作っていましたね。
第1波から1年後に、第4波が始まりました。はじめ英国株と呼ばれていた変異株でしたが、WHOが「国名を入れてはいけない」として、以降、ギリシャ文字で名前を付けるようになりました。
インドで見つかったデルタ株までは重症肺炎の問題が付いて回り、世界中で多数の死者を出しました。この頃、同時に世界中でワクチン接種が進んでいました。それに伴い、肺で増殖し重症化させやすいタイプは広がりにくくなりました。
南アフリカをはじめとし、アフリカではAIDS患者が多く、感染してもうまくウイルスを排除しきれず体内に長期に残った場合、他のウイルスの同時感染となり大きな変異を起こすという仮説*2があります。
いずれにせよ、このオミクロン株では、大きく性格が変わり、肺よりも上気道で増殖しやすくなり、重症肺炎は起こりにくくなりました。そして、このオミクロン株が1年以上も続いているのが現状ということです。オミクロン株が最終変異株なのかも?しれません。
とんでもない感染力
重症肺炎を起こしにくくなったオミクロン株ですが、厄介な特徴があります。それは尋常でない感染力です。
発見後1か月もしないうちに世界中に広がったこの感染力はあなどれません。
感染力が強いということは感染者が爆増するということで、いくら致死率が1/10になっても感染者数が20倍になれば、総死者数は増加です。現に、第6波や第7波ではデルタ株の第5波よりも死者数は多いです。
日本のような高齢化社会では、感染者が増えれば増えるほど死者は増えやすいので、むしろオミクロン株で死者が多くなる構図ですね。
前回紹介したようにカタールでは、人口のほとんどが60歳未満で、若い移民労働者(接種済み)が大部分を占めていると、当然多少感染者が増えても死者はそれほど増えません。
ゆえに、現在のワールドカップはコロナ禍を感じさせません。
致死率が下がった今、日本のコロナ禍終了の判断は『どこまでの(高齢)死者を許容するか』にかかっています。
▼コロナ感じないワールドカップ▼
9割が免疫アリ?
2019年に見つかったSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ですが、ワクチン接種が進んだことと、今までに大量の感染者を出したことから、世界の人口の約90%は何かしらの免疫を持っていると推定されています。
しかしながら、既感染だろうがワクチンだろうが、作られた抗体は時間とともに下がるので、再感染します。
ところが、細胞性免疫というもう一つの免疫機構がある程度長く残っていることが確認されており、重症化予防効果はしばらく続くようです。
これに関しては、ワクチンだろうが感染だろうが似たようなものでしょう。
当初の致死率の高い状況では感染して『今後の重症化予防効果』を得るか、接種で得るかという話で、みんな当然接種を選んだわけですね。
で、世界人口の9割以上が新型コロナに対して何かしらの免疫を持っている今、ワクチンは今後誰が打つべきかを考えると答えは明確ですね。未接種の人、免疫が長く続かいない人 など。
しかしながら、感染により血栓症、心筋梗塞などによる致死率が上がる*3ことがわかっているのでかからないに越したことはありません。
ちなみに、インフルエンザワクチンなどに使われる不活化ワクチンでは細胞性免疫はうまく誘導できず、mRNAワクチンや生ワクチンでは”感染疑似体験”でき、細胞性免疫が誘導されます。
▼詳しくはコチラ▼
次の変異株は?
冒頭でも述べたように、オミクロン株になってウイルスの性質が大きく変わって以降、オミクロン株内でのマイナーチェンジを繰り返しています。
現在500以上のオミクロン亜種が確認されているが、どれも『懸念すべき変異株(VOC)』には指定されていません。つまり、致死率が高そうとかそういった危険なものはなさそうです。
オミクロン株の亜種が広がっても対策は同じです。WHOとしても現在はそれほど新たな変異種について恐れていないとしています。
さいごに
いかがでしたか?
何度か記事にしていますが、日本の第6波以降はオミクロン株内でのマイナーチェンジで波が起きています。
既感染、ワクチン2回以上接種済であれば、基本的には重症化予防効果は保たれています。もちろん、高齢者や免疫不全の方などではうまく機能しないこともあるので、追加接種が薦められています。
高齢者の極めて少ない発展途上国などでは、そもそもオミクロン株では死者が非常に少ないため、コロナをもう無視できる状態に入っています。
超高齢化社会の日本はどこまで死者数を許容できるかが、今後の鍵になります。
では、また(^^♪