オミクロン株の登場から2ヶ月以上が経ちます。
日本でも多数の都道府県で蔓延防止等重点措置(まん防)が出され、警戒を強めている中、世界ではピークを過ぎた国があったり、ワクチンの代わりにミサイル射つ国があったり・・・
今回のテーマはオミクロン"そうさいせん"です(笑)
そうさいせん①
オミクロン株
オミクロン株は、11月に南アフリカで見つかりました。遺伝学的にはデルタ株やもともとの武漢株とは大きく異なり、これらの親戚ではないとされています。
南アフリカでは人口の20%程がHIV感染者*1と言われ、AIDSによる免疫不全者の体内で新型コロナウイルスが長期間排除されず、他のウイルスとの同時感染により、オミクロン株が誕生したという説*2があります。
それともう一つ仮説があり、中国の研究者らが発表した論文*3によると、新型コロナがネズミに感染し、ネズミの中で変異したものが、再びヒトに感染するようになったというものです。
いずれにせよ、現在オミクロン株が世界での感染の主体となっています。
オミクロン総裁選
勝ち残るオミクロンは誰か?オミクロン総裁選が始まりました。
そう、オミクロン株の亜種、通称”ステルスオミクロン”の登場です。ステルスオミクロン株はオミクロン株からさらに変異が10個多いようです。PCR検査で『陽性』まではわかるけれどオミクロンかどうかまで判別できないことからステルスと言われます。
こいつはオミクロン株よりも1.2倍~2倍感染力が強いとされており、急拡大につながりそうです。ちなみに既に日本でも27件確認されているようです。
過去を見ると、感染力が強いものが出てくると、そいつが勝ち残ってきていますので、このままいけばステルスオミクロンがオミクロンを駆逐し、”総裁”になるんでしょうね。
デンマークの状況
ステルスオミクロン(BA.2)が主流となっている国にデンマークがあります。
デンマークのデータからは、ステルスオミクロンは感染力が明らかに高いが、入院率などは従来オミクロンと差はないとしています。
また、人口の8割以上がワクチン接種済と高いことから、政府は2月1日以降、コロナ対策のすべての規制を撤廃することになりました。これはEU加盟国で最初の国になります。
▼コロナの出口は見え始めた▼
英国の状況
BrexitでEUを脱退した英国は、デンマークに先んじて1月27日から規制撤廃とする方針としました。
英国では人口の72.2%が接種済で、この冬もオミクロン株により感染の急拡大を迎えたもののやはり死者の急増は見られません。
イギリス保健省の発表*4では、オミクロン株での入院リスクはデルタ株の約1/3で、致死率は0.2%まで低下し、医療への負担が軽減したことと、感染のピークも過ぎたことで規制撤廃を決めました。
この背景にはボリス・ジョンソン首相のロックダウン中に飲み会をしたことによる非難をかわす為の一手だという批判もあります。
また、英国でもステルスオミクロンが増加中で保健省が調査に乗り出しています。
そうさいせん②
オミクロン相殺戦
「オミクロンは重症化しない」こんな空気が世間では流れています。
これは間違いで、重症化する可能性が低いだけで、「しない」ではありません。アメリカのデータを見てみましょう。
オミクロン株の到来で1日に140万人というとんでもない数の感染者数をたたき出したアメリカ。
この国での最新の話題は、オミクロン株による死者数がデルタ株による死者数を上回った*5というものです。
例えば、いくら重症化率がデルタ株の1/3でも感染者数が5倍になれば、『弱毒』メリットは相殺されて、結果として死者数は増えるんです。ここを忘れてはなりません。
ワクチン別
アメリカで死者が多い理由は、そもそもの感染者数が桁違いというのが1つの大きな理由なのはお判りいただけたかと思います。あとは肥満です。CDCによるとアメリカ人の肥満は人口の42.4%*6にも及びます。
他にも要因がありそうです。
アメリカでワクチン接種状況別の感染や致死率*7について発表されています。また、オミクロン株ではワクチンの効果が低下するものの、未接種者はオミクロン株に3倍感染しやすいこともわかりました。
以前も書きましたが、アメリカでは伝統的に青い州と赤い州があり、共和党を支持する赤い州では、陰謀論者も多く、接種率が低いことがわかっています。
ワクチン製造国なのに、接種率が伸び悩むという、何たる皮肉。
さいごに
いかがでしたか?
オミクロン株に関する最新情報を手短にまとめてみました。
2回接種済で健康な人は基本的にはそこまで不安になる必要はありません。
追加接種を行うことで感染リスクが下がります。高齢者や高リスクの人はぜひ追加接種を、そしてそれ以外の人は自らの状況で、例えば医療従事者だとか、赤ちゃんやハイリスクの高齢者が家にいるとか、仕事で不特定多数と接するなどで、判断は変わると思います。
たとえ、重症化率が低くても、感染者数が爆増すれば・・・。
また、軽症で終わるとしても、かからないに勝ることはありません。引き続き、いつも通りの対策を!
先陣を切ってコロナ禍を終わらせに向かってくれたデンマークとイギリスの状況は今後もバッチリこのブログで見張っておきます
では、また(^.^)ノ
*1:https://www.avert.org/professionals/hiv-around-world/sub-saharan-africa/south-africa
*2:https://www.theguardian.com/world/2021/nov/24/scientists-warn-of-new-covid-variant-with-high-number-of-mutations
*3:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1673852721003738?via%3Dihub
*4:https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1045619/Technical-Briefing-31-Dec-2021-Omicron_severity_update.pdf
*5:https://www.wsj.com/articles/omicron-deaths-in-u-s-exceed-deltas-peak-as-covid-19-optimism-rises-in-europe-11643201653
*6:https://www.cdc.gov/obesity/data/adult.html
*7:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7104e2.htm?fbclid=IwAR0CeWJzzppA3wxpBJ7Yt_-Ac1AdPUtmnl2kPsc451aOmNpkGwtoA2hglCE