目の前にAとBという選択肢があったとします。しかし、同時にどちらも選ぶことはできません。
その時点の状況でどちらの選択が正しいのかというのは、同一人物が2人いない限り確認することはできないのです。
しかし、一卵性双生児ならばどうでしょう??
今回は、「双子の片割れがビーガンになったら」という記事*1から学んでいきましょう。
ヴィーガン
まず、基本的なところから確認しておきましょう。
ベジタリアン(菜食主義)は、自身の健康のためであったり、宗教上の理由であったり、動物性食品(肉、魚、卵など)を避ける人たちを言います。
歴史は古く、紀元前のピタゴラスも動物を食べることをよくないとしベジタリアンであったといわれています。
日本でも奈良時代に天武天皇が律令体制を築き、以降、動物の殺生や食肉は禁じられ、ベジタリアンでした。
その後、明治時代に肉食は解禁されましたが、禅宗などでは精進料理が発達し今にも残っています。
ちなみに、仏教関連で一部、植物の中でも五葷(ごくん)と呼ばれるニンニクやネギやニラなど臭いのキツいものは食べてはならないというものもあります。
その影響もあり、和食にニンニクはあまり使われません。(なぜかネギやニラは許容されていったのですが)
このようにベジタリアンというのは非常に広い意味合いで程度が様々です。
その中にヴィーガンも含まれると考えるとわかりやすいです。
ヴィーガンでは、肉・卵・乳製品などを食べないだけでなく、ウールや毛皮の動物由来製品も使わず、『動物の権利に重きを置いている』というのがわかりやすい説明かと思います。
つまり、ブランド物の革製品を持ったり、動物実験を経て作られた薬を飲むというのは本物のヴィーガンではないのです。
▼ブランドバッグの真相▼
なお、アメリカでは人口の5%*2、日本でも人口の3~5%*3がヴィーガンだと名乗っています。(”本物”はどのくらいかは不明)
悪玉コレステロール低下
さて、記事に戻って、双子の片割れがヴィーガンになったらどうなったのか見ていきましょう。
ヴィーガンになった方は、2か月後に悪玉コレステロール(LDL-Chol)や体重が相方よりも落ちたんだそうです。
記事で紹介されているスタンフォード大の研究論文*4によれば、悪玉コレステロールは10~15%低下、体重は3%の減少を示していたようです。
別にこの結果は特に驚くことではなく、動物性脂肪などを摂らないのでコレステロールが上がりにくいというのは、多くの人の予想通りですね。
この研究の強みは遺伝子が全く同じ”一卵性双生児”でやってるということです。
食物繊維が豊富
野菜中心の食事では食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、それらが良い結果を生み出しているといいます。
以前の記事で紹介していますが、食物繊維の十分な摂取が若年性大腸癌のリスクを下げるだろうといわれております。
▼食物繊維が予防に▼
また、食物繊維が多いと糖の吸収が穏やかになるので、血糖値の急上昇を防ぐことができます。
血糖値の急上昇は、インスリン分泌を促し、使いすぎて枯渇してしまったり、インスリンが効かなくなる(抵抗性)と糖尿病につながります。
なのでなので、食物繊維たくさん摂りましょう!かく言うわたくしも今強化期間。笑
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
せっかくなので、これらも復習しておきましょう。
そもそも、脂肪酸と言うのは、炭素と水素とカルボン酸(-COOH)でできています。
炭素の集まりが水素で飽和されているものを飽和脂肪酸といいます。この飽和脂肪酸は乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれています。
一方、炭素分子に水素が飽和していないものを不飽和脂肪酸といいます。植物油がその代表的なものです。
不飽和脂肪酸の二重結合の炭素にひっつく水素の位置関係によりシス型とトランス型に分かれます。
天然由来の不飽和脂肪酸(植物油など)はシス型であることが多いのですが、これは常温では液体なのです。
しかし、油脂は固体化したほうが使いやすいし、揚げ物をサクッとしたり、保存がいいことなどから、あえて水素化をして固体化すると、トランス脂肪酸になるわけです
トランス脂肪酸は摂取が多いと、悪玉コレステロールが増えて、動脈硬化や糖尿病に関連することからWHOはトランス脂肪酸なくそうよ!と頑張っているのでした。
これが、2023年マーガリン問題ですな。
めちゃくちゃ簡単に言いますと、体にいいのは常温で液体の油!と覚えてください。
食事制限
ダイエットの時に食事制限をされる人は多いと思います。
しかし、その食事制限はキツいし、短期間だからこそ頑張れるのだと思います。
今回の研究では、一卵性双生児を集めて、そのうちの一人にはヴィーガン食を8週間食べてもらうというものでした。やはり、そのヴィーガン食に当たった人たちは「食への不満」をかなり感じていたそうです。
いくら体に良いとか、痩せれるというメリットがあっても、その裏で「満足できない食事」を摂り続けるという大きなデメリットがあることも著者らは伝えています。
今回の研究では、血管系疾患に影響を与える悪玉コレステロールや糖尿関連の数値がヴィーガン食を摂る双子の一方では短期間で改善することを証明しました。
しかし、著者は必ずしもヴィーガンになるように勧めないといいます。
食事という楽しみを失うデメリットも大きいからです。そこで、今の食生活から少しだけ動物性脂肪の摂取を減らすことを推奨しています。大きくデータが改善しなくとも少しずつ改善することができると。
さいごに
いかがでしたか?
同じ遺伝子を持つ一卵性双生児で、うち一人の食事をヴィーガン食にすると、悪玉コレステロールの改善や、体重低下がしっかりと見られ、動脈硬化や糖尿病の予防につながることが確認されました。
一方で食事というのは味付けも然り、人類に与えられた『楽しみ』の1つです。そこをどの程度まで犠牲にできるかと言うのは人によって違うでしょう。
「何事もバランスが重要」というのが真理ですな。
ヴィーガンも反ワクチンも、自然派も個人の思想の自由で、一種の宗教です。
何を信じて遂行しても構いません。しかし、問題となるのは、勝手に他人に強要することです。迷惑なのは勝手な正義でそれをすることです。
マジ迷惑!以上。
では、また\(^o^)/
*1:https://edition.cnn.com/2023/11/30/health/vegan-twin-study-wellness/index.html
*2:https://news.gallup.com/poll/156215/consider-themselves-vegetarians.aspx
*3:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000074618.html
*4:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2812392#google_vignette