昔から朝食はご飯でなくパンで、バターかピーナッツバターを塗って食べるのが多かったです。
そんなこんなでピーナッツバターは大好きなわけですが、今回はこのピーナッツバターにまつわる健康関連のお話を見ていきましょう。
ピーナッツバター効果
ピーナッツバターが体にいいという報告はたくさんあります。
60~80歳の高齢者3000人を対象にした調査*1では、ピーナッツやピーナッツバターの摂取が多い人たちは認知機能がより保たれているということがわかりました。
また、2023年に行われた研究*2では、ピーナッツバターを摂取する人たちでは、『気分』や『記憶力』を改善する効果があることもわかりました。
これはピーナッツに含まれるポリフェノールの1種が腸内細菌により代謝されることで、このような結果になっているようです。
また、2020年の研究*3では、65歳まで慢性疾患や精神疾患、身体障害や認知症にならずに来た『健康高齢者』は、往々にしてナッツ類を食べており、特にクルミを食べていることがわかりました。
このように、ピーナッツ関連では”体にいい”という研究が多いです。
前立腺の病気
さて、男性にしかない前立腺は重さ20gほどのクルミくらいの大きさです。(またクルミかw)
前立腺は加齢とともに肥大化していき60歳代で6割以上、70歳を超えると8割の男性が前立腺肥大症があると言われており、頻尿などの症状に悩まされています。
特に夜間に何度も目が覚めてトイレに行くというのは睡眠の質の低下もあり、本人にとればかなりストレスに感じうようです。
加齢以外にも肝硬変、高血圧、遺伝、肥満などが関係してると考えられています。
前立腺肥大症には人種差も見られており、我々黄色人種よりも白人や黒人ではさらに多い病気なのです。
βシトステロール
この不快な前立腺肥大症ですが、朝食にピーナッツバターを摂れば、その症状を緩和できる可能性が示唆されています。
カギを握るのはβシトステロールと呼ばれる植物由来の物質です。
βシトステロールは、基本的にはコレステロールを低下させる働きがあります。
前立腺肥大患者がβシトステロールを摂ると、前立腺のサイズは縮小しませんが、排尿症状の改善が見られることが報告*4されているのです。
で、ピーナッツにはこのβシトステロールが多く含まれているということです。
ちなみに、このβシトステロールは乳癌や大腸癌や前立腺癌、その他の生活習慣病に対して予防効果がある可能性もわかっています。
アメリカ人大好き
煎られたピーナッツ100gには50〜90mgのβシトステロールが含まれています。
一方でピーナッツバター100gには130mgほどのβシトステロールが含まれています*5 。
特にアメリカ人は1人で年間1.36kgのピーナッツバターを消費する*6というデータが有るほどの嗜好物なのであります。
さきほど、学んだように、アメリカ人では黄色人種である我々日本人よりも前立腺肥大症になりやすいので、このピーナッツバター文化はある意味、福音となるかもしれません。
しかし、物事には必ず表と裏があります。ピーナッツバターも過剰摂取はよくありません。
過剰摂取に注意
いくら前立腺肥大症によかったり、いくつかの癌の予防効果がありそうでも、アホみたいに摂るのは当然NGです。
2019年に出された論文*7によると、ピーナッツバターを摂取することは限局性前立腺癌のリスクを著明に上げるということがわかりました。ただし、進行性前立腺癌のリスクは上がらないこともわかりました。
これについてカリフォルニア大学の専門家がコメントをしています。
ピーナッツバターは植物由来の製品で、含まれるβシトステロールという成分が前立腺癌含むいくつかの癌に対して予防効果があること、そして前立腺肥大の症状改善効果があるのは重要であると。
しかしながら、ピーナッツバター全体で見ると、かなりの脂質が含まれており、それによる弊害(癌、生活習慣病など)についても見過ごしてはならないと。
前立腺肥大症の症状緩和目的にピーナッツバターをたくさん摂って前立腺癌になるのでは元も子もありません。
さいごに
ピーナッツバターが体にいいといわれる研究が多いです。
また、男性のほとんどが老化とともに患う前立腺肥大症では、ピーナッツバターの摂取で、頻尿などの症状が改善することがわかっています。
この症状に悩む方々にとってみれば朗報ではあります。
しかしながら、やはり、物事には必ず『表と裏』が存在し、ピーナッツバターの摂取が多いと、それに伴う脂質過多で生活習慣病などにつながることも考えられます。
また、ピーナッツバターを定期的に摂取することで前立腺癌の発症リスクがかなり上がることも報告されています。
『○○は体にいい』という話にはあまり食いつかないのが良いということですね。
では、また(^^♪
*1:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2475299123105440
*2:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464623003468
*3:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/2020/5651737
*4:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10890036/
*5:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10890036/
*6:https://www.tabatainc.co.jp/html/column/detail.html?itemnum=27