マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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コロナ感じないW杯の理由とは?

先日、日本がドイツに逆転勝ちということで盛り上がってますね。ま、にわかファンの私としましても次のゲームが楽しみです。

さて、このワールドカップでカタールではコロナ禍は終わっていると感じる日本人は多いと思います。

今回はこれについて見ていきましょう(^^♪

カタールについて

カタールはアラビア半島に位置し、秋田県くらいの大きさの国で、首都はドーハです。人口は280万人ほどで、その6割がドーハとその周辺に住んでいます

純粋なカタール人は1割しかいません。残りの9割はインド、フィリピンなどのアジア圏からの労働者で構成されています。その影響で、カタール国内での男女比は3:1と男が圧倒的に多くなっています。

W杯の工事などに来た6500人の外国人労働者が、劣悪な環境などで働かされ死亡したことなどが世界中から非難されている*1ナウです。

カタールについて

地図の色でお分かりの通り、全域が砂漠なんです。しかし、この砂漠の国にはものすごい武器があるのです、それが1940年に見つかった油田です。このオイルマネーで国の経済を支えているわけです。

一時は一人当たりのGDPが世界一になったこともあり、『世界で最も裕福な国』と呼ばれていましたが、同時に観光・娯楽施設がないことから『世界一退屈な都市』とも呼ばれました。

カタールW杯の裏側

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日韓W杯:2国開催の真相

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「別の惑星で開催中?」

BBCの記事*2で、カタールでは全くコロナ禍の雰囲気がないことについて中国と比較したものです。

BBC『W杯は別の惑星で?』

中国はこの大会には出場できていませんが、中国国民はワールドカップに高い関心を持っています。

中国国民はイライラ

中国ではここ最近、感染状況悪化により、レストランやバーの営業停止などがあり、ワールドカップはアプリでの視聴が推奨*3されている状況です。

そんな中で、マスクなしで密に騒いで応援する現地の姿を見た中国人は苛立ちを隠せないと。

カタールにも中国の影響

中国国営放送(CCTV)もワールドカップの放映をすることになりました。

理由としては、もちろん国民の関心が高いこともありますが、それだけではありません。

中国の”存在感”を示す

今回の大会に中国の企業が多く関わっており、スタジアムの建設から電気バス、エアコンと至る所に”漢字”が目につくのです。それを国民に見せることで、自分たちの中国は偉大な国だというのを示す狙いがあるからです。

裏目に出た?

しかし、そのTV放送などで現地の様子を伝えすぎたことで、ゼロコロナ政策下に置かれた中国国民は、疑問を呈していると。もちろんこのような発言は検閲対象となり削除されます。

ゼロコロナ政策に疑問

中国としてはゼロコロナ政策で死者数が少ないことで、欧米よりも自国の政策が優れていると謳いながら、人民統制のツールにしています。

カタールでのワールドカップを見た中国民の反応(@微博)も記されていました。

世界は二分された

マスクもなく、ソーシャルディスタンスも、直前の陰性証明も必要ないカタールと中国は全く別の生活をしているという意見が広がりました。

ま、これに関しては日本人も同じように感じたことでしょう。

カタールの状況

では、ここでカタールのコロナ関連のデータ*4を見ていきましょう。

確認ですが、カタールの人口は280万人で、日本の1/45です。なので、日本の人口に合わせて見てみましょう。

日本人口換算したカタールの状況

ちなみに、同日の日本の1日陽性者数は11万8764人、入院が1307人、死者が100人*5ということでした。わかりにくいので並べてみましょう。

日本とカタールの比較

すると、陽性者数は日本が11.4倍、入院者数は3.2倍、死者数は2.2倍。日本が感染状況は圧倒的に悪そうに見えますね。

しかしながら、この直接比較はあまり意味がないのです。

背景を見てみよう

2国を見ると、陽性者数は11.4倍なのに死者数は2.2倍でしかありません。

つまり、検査をして報告する割合が日本の方が圧倒的に多いということです。(報告バイアス

他にも、気候の差もあります。11月26日の東京の気温は17/11℃、年中暑いドーハは32/22℃で日本の方が広がりやすいのは自明です。

人口ピラミッド比較

あと、人口ピラミッド*6の比較をすると、日本は高齢者が多く、カタールは発展途上国でよくある若者が非常に多いというパターンです。当然、日本の方が死者が多くなりますね。

ワクチン接種率に関しては、カタールの初期接種は日本よりも高く90~100%(移民が多く総人口が動く為、一定でない)の間と言われています。

入国に際して接種要件がありましたから、この高い接種率なのです。

接種率と超過死亡数

上の図は人口100万人当たりの超過死亡数とワクチンの接種率を合わせて作ってみました。(Our world in data の数字を使用)

接種率が低いと超過死亡が多く、接種率が高いと超過死亡が少ないという最近の研究*7と実世界としっかりリンクしていますね。

日本の超過死亡が少し増えたのを見て「ワクチンで超過死亡」とか言うてる人は、・・・(以下省略)

政治観と超過死亡

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さいごに

カタールは3~11月は蒸し暑い気候があり、欧米や日本のような極寒の冬はありません。寒いと広がりやすいウイルス感染症はマシになりますね。

さらに国民のほとんどがワクチン接種済みで、老人も少なく、実際死者が極めて少ないというのも規制撤廃できる大きな根拠となります。

ま、うだるような暑さが年中通してある国でマスクをずっと着用するのはキツいというのも理由としてはあるでしょう。

地理的、気候的、年齢構成、高い接種率などがカタールで規制なくしても死者も超過死亡もさほど増えていない理由でしょうね。

ま、そういう意味では日本も死者も超過死亡も非常に少ないのでこれに仲間入りできそうですが、高齢者が多いから政府は慎重ということでしょう。

中国はゼロコロナを使って国民を統制しようとしてるので、やめないでしょう。笑

では、また(^^♪