マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

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ゼロコロナ終了とその余波

カタールでのサッカーワールドカップの中継をみて、ノーマスク、密集で盛り上がる慣習を目の当たりにした中国の国民は、ゼロコロナ政策に不満を覚えました。

『カタールと中国は別の惑星か?』

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ゼロコロナ政策に反対するデモが広がり、やむを得ず中国政府はゼロコロナをやめました。しかし、どうやらかなり雲行きが怪しいようで・・・

脱線ニュース

いきなり脱線で申し訳ないのですが、前回、アメリカのサッカージャーナリストがカタールで突然死したお話を紹介しました。

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その中で、記者たちの間で原因不明のひどい咳、気管支炎が広がっているということもご紹介しました。そういえば、選手たちも原因不明の発熱など多かったですね。

なんと、MERSが原因じゃないかという話*1が出てきています。

カタールでMERS流行?

2015年に問題となったMERSは、ラクダから広がるコロナウイルスの1つです。致死率は30%程と言われております。

たしかにカタールはラクダがたくさんいますね。

MERSについて

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ゼロコロナ続けた理由

さて、本題に入ります。

中国がゼロコロナ政策を続けていた理由については過去記事にまとめています。

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まず、中国が使用しているワクチンが、中国製の不活化ワクチンでどうやらそのワクチンの効果がかなり低いことです。そして、重要なのが一番ワクチンを打つべき高齢者の追加接種が進んでいないことと、農村部などの医療体制が非常に脆弱という事実があります。

ゼロコロナを続けた理由

これらにより、中国政府によると、ゼロコロナ政策により100万人の死者を防いだとしています。

あとは、政治的な意味合いもあるでしょう。

コロナを『恐怖のウイルス』として扱い、外からの情報を遮断することで、国民を統制しやすくするというものです。

ま、既に習近平は絶対的な『神格化』ポジションを固めたわけですが・・・

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感染者少ないけど?

ゼロコロナ政策を辞めてからの中国の状況*2を見ていきましょう。

公式発表よりはるかに多い感染者

国全体で1日に2249人の有症状感染者でしたが、国の状況をみるととてもその数字は信じられないと伝えています。

風邪薬が買い占められたりして、人々はややパニックになっているようです。

そういえば、日本の風邪薬(パ〇ロン)が爆買いされているという話*3もありましたね。

パ〇ロンが大人気?

日本もコロナ禍初期にマスク不足、物品の買い占めが問題となりました。現在の中国はそれに近い感じのようです。

 

黄色いアレ

しかし、他にもあるものが買い占めされているようです。

桃の缶詰が売り切れに

中国では、風邪をひいたときに桃の缶詰を親が食べさせることが多かったようで、その幼児期の記憶を元に桃の缶詰に殺到しているようです。

ま、もちろん、桃に風邪を早く治す効果などはありません。

人民日報『桃に症状改善効果なし』

中国共産党の機関紙である人民日報も、ウェイボーで桃の缶詰にコロナ症状緩和の効果はなく、買いだめしないようにと注意喚起をしました。

葬式が増えている

そして、感染が急拡大すると、残念ながら一定の割合で死者が出ます。そして、どうやら今急速に死者が増えているようです。

死者急増で埋葬は間に合わない

火葬された死体の埋葬が追い付かず、何十万体も現在一時的に政府の施設に保管されているそうです。

そして、この死者数は今後も増え続けると考えられています。

100万人が死亡

香港大学の元病院長を務めた梁卓偉氏らがまとめた報告書*4によると、ゼロコロナ政策終了後、ブースター接種などの大規模な措置を講じなければ、来年1年間で最大100万人の死者が出るとされます。

最大で100万人が死亡する

裏を返せば、中国政府はそれを避けるために、特に高齢者の追加接種を速やかに進めなければなりません。

著者による試算では、4回目の接種が人口の85%を超え、陽性者の6割以上に抗ウイルス薬が投与できるようになれば、死者は最大35%減らせると。

4回接種85%はムズくね?笑

つまり累積死者数は63万人~71万人に減らせると言います。

しかし、追加接種85%はどう考えてもムズかしいでしょう。。。

因みに"公式発表"では現在の累積死者数は約5200人です。

なぜそんなことに?

しかし、日本では累積死者数は3年間で5万3000人ほどです。中国の人口に換算すれば、55万人程度です。

なぜ、中国では今からたった1年でそれを上回ると予想されているのでしょうか?

中国製ワクチンの効果

理由は中国製の不活化ワクチンの効果が低い*5ことが1つ、もう一つは重症化リスクの高い80歳以上の層の接種率が低い(65.8%)こととされます。

つまり、追加接種以前に、未接種の超高齢者が結構いるという問題があるのです。

ワクチン拒否する高齢者が多い

中国は自国ワクチンを接種させるために、ロシアとともにmRNAワクチンの誤情報を流布してきた*6ことがわかっています。しかし、実際は、逆効果でして、欧米ワクチンをディスりすぎたら自国のワクチンも拒否されたという結末に。

さいごに

いかがでしたか?

中国がゼロコロナ政策をやめて以降、どうやら急速に感染は広がっているようです。

埋葬が追い付かないほどに死者も増えていることがわかります。高齢者の接種率が低い上に、地方では医療設備が整っていないとなれば当然死者は相当数見込まれますね。

逆に言うと、だからこそ中国はゼロコロナ政策を貫いてきたわけです。

死者を少なくするには、とにもかくにも未接種の超高齢者のワクチン接種が急務ですね。

 

では、また(^^♪